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【13話】謝罪
翌朝。
ドゥランシア邸の食堂では、四人が朝食を食べていた。
席の配置は、昨晩の夕食のときとまったく変わっていない。
双子はエレナの両隣。
ジオルトはエレナの対面で、ひとりで食べている。
相変わらずバランスが悪い。
(今日こそは昨日のリベンジをするわよ!)
意気込んだエレナが闘志を燃やしていると、その両隣で双子たちの言い争いが始まった。
「今朝はあんたが向こうに行きなさいよ」
「……やだ。ここから動きたくない」
「なによそれ! あんただけずるいじゃない!」
「じゃあ今日は、二人とも向こうに行くっていうのはどうかな!」
姉妹喧嘩が勃発しそうな怪しい空気の中、エレナは弾んだ声で提案してみる。
どちらか一人が向こうに行くから、喧嘩になってしまう。
それならいっそ、二人とも移動すればいいのだ。
喧嘩も防げるし、ジオルトも喜ぶ。
一石二鳥のナイスな提案ではないだろうか――と思ったのだが、
「……」
「……」
結果は、無言。
双子は黙ってしまった。
姉妹喧嘩を防げたのはいいにしろ、二人は動こうとしない。
ジオルトの隣には行きたくない、という強い意志を感じる。
昨日のリベンジをしたかったのに、失敗。
またしてもジオルトを傷つけることになってしまった。
(それにしても、アクアがこんなにも頑固だったなんて……。ちょっと意外だわ)
フレイはともかく、聞き分けのいいアクアであればエレナの言うことを聞いてくれると思っていた。
でも、このことに関してはなぜか頑固だ。
絶対に席を動こうとしない。
(つまりそれだけ、私の隣がいいってことよね!)
そんな風に思ってくれているなんて嬉しい。
朝から最高の気分になる。
(って、今はそうじゃないわよね……!)
昨夜エレナは、双子との仲を縮めることを手伝うとジオルトに約束した。
喜んでいる場合ではない。
ここはどうにかして、双子をジオルトの両隣につけたいところだ。
「二人とも、最近はどうだ?」
策を練ろうとしていたところで、ジオルトが声をかけた。
その視線は、エレナの両隣――双子に向けられている。
両隣を見てみれば、二人ともびっくりしていた。
これまで娘たちと深く関わってこなかった――ジオルトは昨晩、そう言っていた。
双子にとっては、こうして雑談を振られるのが初めてのことなのかもしれない。
「楽しいわよ」
答えたのはフレイ。
これはかなり意外だ。
フレイは大人への憎しみが強い。
ジオルトに対しても、そう簡単に距離を詰めないと思っていた。
(でもそれは、私の勘違いだったようね)
フレイはジオルトと、仲良くしたいと思っていたようだ。
しかしその考えが間違っていたことにエレナが気づいたのは、わずか一秒後のことだった。
「エレナは私とアクアのことを、ものすごくかわいがってくれるもの! お父様と違ってね!」
語気を強めてそう言ったあと、極めつけにハンと鼻を鳴らした。
やっぱりフレイは、ジオルトとの距離を詰める気がないようだ。
「お姉ちゃん、そんな言い方はないよ……」
「だって本当のことじゃない」
「でも――」
「すまなかった」
アクアが言いかけたところで、ジオルトが謝った。
深く頭を下げる。
「フレイの言う通りだ。俺はこれまでお前たち二人としっかり関わってこなかった。逃げていたんだ。だが、これからは違う。お前たち二人と、きちんと向き合っていきたい。俺はもう、お前たちから逃げない」
ジオルトが二人を見つめる。
まっすぐな眼差しは、真剣そのものだった。
ジオルトの言葉が予想外だったのか、フレイは戸惑っていた。
なにか言いたそうではあったが、なにも言えないでいた。
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