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元カノの結婚式
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招待状が届いたとき、三秒くらい固まった。
「ご結婚おめでとうございます」
元カノの美咲から。五年前に別れて、それっきり。SNSも繋がってない。なのに、なんで招待状?
裏面を見たら、手書きのメッセージがあった。
「来てくれたら嬉しいです。大切な人だったから」
大切な人、か。
過去形で言われるの、地味に痛い。
「行くの?」
友達に聞かれた。
「…分かんない」
「未練あるなら、やめた方がいいよ」
未練、あるのかな。
別れたのは、仕事が忙しくてすれ違ったから。お互い、しょうがないって納得して終わった。円満な別れ。
でも、彼女が他の男と結婚するのを、祝福できるかって言われると、自信ない。
結局、行くことにした。
式場に着いたら、知ってる顔がちらほら。当時の友達グループ。みんな「久しぶり」って声をかけてくれた。
「お前、来たんだ」
同じグループだった拓也が苦笑いしながら言った。
「美咲に呼ばれたから」
「メンタル強いな」
強いわけじゃない。ただ、断る理由が見つからなかっただけ。
披露宴が始まった。美咲が入場してくる。ウェディングドレス姿。
綺麗だった。
隣にいる新郎は、スーツが似合う爽やかな男。たぶん、俺より年上。落ち着いてる。
「あー、ダメだ」
拓也が小声で言った。
「お前の顔、めっちゃ引きつってる」
「そんなことない」
「嘘つけ」
バレてる。
スピーチの時間。新郎の友人が話してる。仕事で出会って、支えてもらって、プロポーズして。
ありきたりな話。でも、幸せそう。
次は新婦側。美咲の友達が話す。
「美咲ちゃんは、昔から真面目で、頑張り屋で…」
聞いてると、胸が痛くなった。
俺も知ってる。美咲の頑張り屋なとこ。無理して笑うとこ。泣きたいとき、我慢するとこ。
でも、その全部を支えてあげられなかった。
「ねえ、ちょっと外出ない?」
拓也が誘ってきた。
ロビーに出たら、タバコを吸ってる人たちがいた。俺はタバコ吸わないけど、拓也に付き合う。
「未練、あるんだろ?」
「…分かんない」
「じゃあ、後悔は?」
後悔。
ある。めちゃくちゃある。
「もっと、ちゃんと向き合えばよかったって思う」
「今さらだけどな」
「…うん」
拓也はタバコを消して、肩を叩いた。
「でも、お前が来たこと、美咲は嬉しいと思うよ」
「なんで?」
「だって、大切な人だったんだろ?お前も、美咲にとっても」
大切な人。
過去形でも、それでいいのかもしれない。
披露宴が終わって、美咲が挨拶に来た。
「来てくれて、ありがとう」
「おめでとう」
ちゃんと言えた。
「あのね、呼んだのは、けじめだと思ったから」
「けじめ?」
「うん。あなたとの関係も、ちゃんと終わらせたかった」
終わらせる、か。
「だから、来てくれて嬉しかった。ありがとう」
美咲は笑った。昔と同じ笑顔。でも、今は俺に向けられる笑顔じゃない。
「幸せになってね」
「…うん。あなたも」
帰り道、一人で歩きながら思った。
未練、あったのかもしれない。でも、今日でちゃんと終わった気がする。
美咲は幸せそうだった。それが、いちばん大事なこと。
俺も、次に進まないと。
スマホを取り出して、マッチングアプリを開いた。
新しい出会い、探してみようかな。
「ご結婚おめでとうございます」
元カノの美咲から。五年前に別れて、それっきり。SNSも繋がってない。なのに、なんで招待状?
裏面を見たら、手書きのメッセージがあった。
「来てくれたら嬉しいです。大切な人だったから」
大切な人、か。
過去形で言われるの、地味に痛い。
「行くの?」
友達に聞かれた。
「…分かんない」
「未練あるなら、やめた方がいいよ」
未練、あるのかな。
別れたのは、仕事が忙しくてすれ違ったから。お互い、しょうがないって納得して終わった。円満な別れ。
でも、彼女が他の男と結婚するのを、祝福できるかって言われると、自信ない。
結局、行くことにした。
式場に着いたら、知ってる顔がちらほら。当時の友達グループ。みんな「久しぶり」って声をかけてくれた。
「お前、来たんだ」
同じグループだった拓也が苦笑いしながら言った。
「美咲に呼ばれたから」
「メンタル強いな」
強いわけじゃない。ただ、断る理由が見つからなかっただけ。
披露宴が始まった。美咲が入場してくる。ウェディングドレス姿。
綺麗だった。
隣にいる新郎は、スーツが似合う爽やかな男。たぶん、俺より年上。落ち着いてる。
「あー、ダメだ」
拓也が小声で言った。
「お前の顔、めっちゃ引きつってる」
「そんなことない」
「嘘つけ」
バレてる。
スピーチの時間。新郎の友人が話してる。仕事で出会って、支えてもらって、プロポーズして。
ありきたりな話。でも、幸せそう。
次は新婦側。美咲の友達が話す。
「美咲ちゃんは、昔から真面目で、頑張り屋で…」
聞いてると、胸が痛くなった。
俺も知ってる。美咲の頑張り屋なとこ。無理して笑うとこ。泣きたいとき、我慢するとこ。
でも、その全部を支えてあげられなかった。
「ねえ、ちょっと外出ない?」
拓也が誘ってきた。
ロビーに出たら、タバコを吸ってる人たちがいた。俺はタバコ吸わないけど、拓也に付き合う。
「未練、あるんだろ?」
「…分かんない」
「じゃあ、後悔は?」
後悔。
ある。めちゃくちゃある。
「もっと、ちゃんと向き合えばよかったって思う」
「今さらだけどな」
「…うん」
拓也はタバコを消して、肩を叩いた。
「でも、お前が来たこと、美咲は嬉しいと思うよ」
「なんで?」
「だって、大切な人だったんだろ?お前も、美咲にとっても」
大切な人。
過去形でも、それでいいのかもしれない。
披露宴が終わって、美咲が挨拶に来た。
「来てくれて、ありがとう」
「おめでとう」
ちゃんと言えた。
「あのね、呼んだのは、けじめだと思ったから」
「けじめ?」
「うん。あなたとの関係も、ちゃんと終わらせたかった」
終わらせる、か。
「だから、来てくれて嬉しかった。ありがとう」
美咲は笑った。昔と同じ笑顔。でも、今は俺に向けられる笑顔じゃない。
「幸せになってね」
「…うん。あなたも」
帰り道、一人で歩きながら思った。
未練、あったのかもしれない。でも、今日でちゃんと終わった気がする。
美咲は幸せそうだった。それが、いちばん大事なこと。
俺も、次に進まないと。
スマホを取り出して、マッチングアプリを開いた。
新しい出会い、探してみようかな。
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