もう行き詰まったので、逃亡したい私〜異世界でこの中途半端な趣味を活かしてお金を稼ぎたいと思います〜

ヴァーロの仕事？

　偏食家としてというより、琴葉が知る小学生の頃の男の子の偏食……いや、好き嫌いの多い子がいたよなぁと思い出したので、無理に食べさせるより食育はどうかと思いつく。
　スーパーの一角にあった100円均一ショップで、大根やブロッコリーなどのタネを購入。そして、簡単なスプラウトを育てるのである。
　一応、スプラウト用に大根、ブロッコリー、オクラ、紫キャベツ、カラシナのタネと、土とプランターを何個か購入し、こちらには大根、ニンジン、コマツナ、ハクサイ、ホウレンソウのタネもまく。
　家の外に撒くと何かあってはいけないので、屋上にプランターを置くことにする。
　そして、

「では、ヴァーロくん。君に、お仕事をお願いします」
「なぁに？」
「お野菜を育てます」
「えぇぇ！」
「あ、簡単なものだよ。お家の中でできます。必要なものはこんなものです」

　消毒をした2リットルのペットボトルの横をカッターで切り、手を切らないようにビニールテープを切り口に貼る。キャップは付けておく。
　脱脂綿かキッチンペーパーを敷き、水を霧吹きなどでひたひたになるまで吹く。その上に、前もって水にしっかり浸して置いたタネを撒き、竹串などで重ならないように広げて、アルミ箔や新聞で覆い、陽の光が入らないようにしつつ水を調節しながら待つ。
　細長い茎が伸び始めたら、アルミ箔を外し、数日しっかり伸びるまで待つ。

　大根のタネをヴァーロに任せ、他のタネを準備する。
　一つ一つ準備して、台所の一角に並べて、わかるようにしておく。

「楽しみだなぁ……」
「そうなの？」

　スプラウトはサラダにもできるし、炒め物や、パスタに入れても良い。何にでも入れられる。
　栄養も豊富。

「あ、手を洗って触ってね？　じゃないとかびたり、腐ったりするから」
「はーい」
「で、上の屋上には小さいプランターや鉢を並べます」
「なんで、空中に浮かせてるの？」
「床に設置してる面が多いと、掃除がしにくいからです」

　鉢を高めに設置する金属製のスチールラックを用意している。

　床にそのままにすると、そこから溢れた水が溜まってドロドロになる。
　排水のためにもおすすめである。

「水撒きも交代でしようね？」
「うん、頑張る」