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第5話
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その日、みさとはなかなか寝付けずにベッドの中で何度も寝返りを打っていた。
「ここに住まわせてもらって二週間くらい、か」
持ち物は充実してきた。元婚約者にフラれたときより気力も取り戻せてきた。
「だからこそそろそろ動かなくちゃ。……尾上さん、いい人だからこのまま居座ってもなにも言わなさそうだし」
みさとは天井を仰いだ。初めは自分以外に眠っていないベッドがずいぶんと冷たく感じていた。しかし今では来客用であるらしいこの折り畳み式の薄く固いベッドが、どこか心地よくなってきていた。
「……なにがいけなかったんだろう」
みさとは未だにふと考えてしまう。元婚約者はみさとのどこを気に入らなかったのか。
「料理?掃除?それとも仕草?」
じわりと目頭が熱くなった。枕がにじんだ涙を吸った。ふと自分の左手が目に入った。薬指。結婚式までつけるのを我慢していた指輪もあの日、家具や通帳といっしょになくなっていた。
「返品したか、お金にでも替えたか。……楽しみだったのに」
みさとは左薬指の根元を指先でさすった。小さなダイヤモンドがついて、全体がゆるくカーブを描いたシンプルな結婚指輪だった。毎日ケースに並ぶように収まっていたペアの結婚指輪を眺めていたみさとを見て、元婚約者は頭を撫でて笑っていた。
「あの笑顔も嘘だったんだ……。もしかしてプレッシャーかけてた?」
みさとはマイナス思考のループにずぶずぶとはまっていることに気づいていた。
「あ、やばい。これはやばい」
みさとは起き上がって、足早にリビングに向かう。
みさとは蛇口をひねった。水が太い筋のように出てきて、すぐにコップを一杯にした。口の端から飲みきれなかった水が伝い、パジャマ代わりの服を濡らした。それも気にせずみさとは水を飲みきった。
「っはあー……」
みさとは乱暴に頭を掻いた。そのとき急に部屋が明るくなった。みさとがふり返ると、パジャマ姿の尾上が立っていた。
「あ、尾上さん」
「どうしたんですか、こんな時間に……」
「なんだか、その、眠れなくて」
「そうですか」
尾上はみさとの様子を察したからなのか深く追求してこなかった。みさとが「それではおやすみなさい」と部屋に戻ろうとすると尾上は意外にも引き留めた。
「眠れるように、ちょっと魔法の飲み物でも」
「魔法の飲み物?」
尾上はこくんと頷き、みさとに座るよう席を勧めた。みさとは大人しく椅子に腰を下ろした。尾上は冷蔵庫や戸棚を開けるなどなにやらがさごそと動いていた。みさとはじいっとガスの前に立つ尾上の背中を眺めていた。繊細な仕事の割にしっかりとした体格、顔を埋めたくなるくらいボリュームのある全身の毛。しかし風呂にリンスがなかったので意外とごわついているのかもしれない、なんてことを考えていると尾上の言う魔法の飲み物が出来上がっていた。
「どうぞ」
コトッと小さな音を立てて差し出されたのは、マグカップに入ったホットミルクだった。湯気が立っていてミルク独特のにおいのほかに強い甘い香りがした。
「ベタなものですが。ラム酒を少し加えています」
「あ、このにおいラムなんですね。……いただきます」
みさとはゆっくりホットミルクを一口に含んだ。ラム酒の香りが鼻から抜け、温かいミルクは全身を巡った。思わずほうっとため息をついた。
「おいしい……」
「お口に合ったようでよかったです」
そう言って尾上もラム酒入りホットミルクをすすった。
マグカップの中身が半分くらいになったころ、みさとはちらりと尾上の様子を確かめてから尋ねた。
「尾上さんも、眠れなかったんですか?」
「ええ、まあ。変に目が冴えてしまって」
尾上は言葉を濁した。それが仕事関係……ウエディングドレスについてだからだろうと、みさとはすぐにわかった。尾上はいつでもみさとに対してさりげなく気を遣っていた。仕事の話は決してしないし、前回いっしょに買い物に行ったときもブライダルショップの前は通らないように案内していた。みさとは、きっと自分が気づいていないだけでほかにも気を回してくれているだろう、と思った。そして今、感謝の言葉を伝えなければなかなかこのようなタイミングが来ないであろうことも、わかっていた。
「あの、尾上さん」
「はい」
「えっと、その、本当にいろいろありがとうございます。元顧客にすぎない私をここに住まわせてくれた上に、すごく気を遣っていただいて……」
みさとは座ったまま頭を下げた。尾上は首を横に振った。
「そんな大したものではありません。あのころ……婚約者だった彼女に逃げられて、自分が誰かにしてもらいたかったことをしているだけです。まあ簡単に言えば自己満足なので、気にしないでください。
こんなこと、誰に話しても同情しかされないし下手をすれば馬鹿にされるだけです。友人とも気まずくなりますし、親族にも『あの人にはああいうことがあってね』なんて、下の世代にも伝わりますから。それに……ずっと二人でいた場所に独りで居続けるのは辛すぎる」
ふと尾上はマグカップの中に視線を落とした。
「このホットミルク、彼女はあまり好きではなかったんです。お酒のにおいがするから、と。……甘いカクテルくらいしか飲まない人でしたから」
尾上は悲しそうに微笑んだ。みさとの心までずきりと痛んだ。みさとはとっさに尾上の手を握っていた。尾上は目を丸くしていた。尾上とみさとの手の温度がじんわりと溶け合っていく。
「すみません私、尾上さんに辛いことを思い出させてしまって。そんなつもりじゃなかったんです、本当に、ありがたくってお礼を言いたかっただけで……。そんな顔をさせたかったわけじゃなくって……」
「わかっていますよ。こちらこそありがとうございます」
「へ?」
「本当に独りに飽きてしまったんです。けれど誰かをもう一度愛するほどの勇気も覚悟もなくって。それにあなたがここに来てから、なんだか調子がいいんですよ。……おいしい手料理のおかげかもしれませんね。家のこともすべてやっていただいていますし、あまり根を詰めすぎないでくださいね」
「そんなっ。居候の身ですし、これくらいは……」
はた、とみさとはようやく自分が尾上と手を重ねていることに気がついた。そして慌てて手を放した。
「す、すみませんっ」
「いえ」
みさとはホットミルクを味わいながらもできるだけ速く飲み干した。
「あの、ホットミルクありがとうございました。おやすみなさい」
そう言ってもう一度歯を磨きに行ってから部屋に戻った。尾上はまだ三分の一ほど残っているホットミルクをのんびり飲みながら「おやすみなさい」と返事をした。
部屋に戻ったみさとは尾上の手をとっさに握ってしまったことに、自分でも少し驚いていた。
「思っていたより大きい手だったな。……尾上さんが作ったウエディングドレス、着てみたかったなあ」
そんな風に考えていると、ホットミルクの効果があったのか、すうっと気がつかない内に夢の世界へ旅立っていた。
一方マグカップを置いて尾上は、みさとと重ねた左手を見た。まだみさとの体温が残っているような気がした。
「そういえば……人は温かかったな。すっかり忘れていた」
残っている体温がじわじわと尾上の体の中まで染みこんでいくような気がした。
続く
「ここに住まわせてもらって二週間くらい、か」
持ち物は充実してきた。元婚約者にフラれたときより気力も取り戻せてきた。
「だからこそそろそろ動かなくちゃ。……尾上さん、いい人だからこのまま居座ってもなにも言わなさそうだし」
みさとは天井を仰いだ。初めは自分以外に眠っていないベッドがずいぶんと冷たく感じていた。しかし今では来客用であるらしいこの折り畳み式の薄く固いベッドが、どこか心地よくなってきていた。
「……なにがいけなかったんだろう」
みさとは未だにふと考えてしまう。元婚約者はみさとのどこを気に入らなかったのか。
「料理?掃除?それとも仕草?」
じわりと目頭が熱くなった。枕がにじんだ涙を吸った。ふと自分の左手が目に入った。薬指。結婚式までつけるのを我慢していた指輪もあの日、家具や通帳といっしょになくなっていた。
「返品したか、お金にでも替えたか。……楽しみだったのに」
みさとは左薬指の根元を指先でさすった。小さなダイヤモンドがついて、全体がゆるくカーブを描いたシンプルな結婚指輪だった。毎日ケースに並ぶように収まっていたペアの結婚指輪を眺めていたみさとを見て、元婚約者は頭を撫でて笑っていた。
「あの笑顔も嘘だったんだ……。もしかしてプレッシャーかけてた?」
みさとはマイナス思考のループにずぶずぶとはまっていることに気づいていた。
「あ、やばい。これはやばい」
みさとは起き上がって、足早にリビングに向かう。
みさとは蛇口をひねった。水が太い筋のように出てきて、すぐにコップを一杯にした。口の端から飲みきれなかった水が伝い、パジャマ代わりの服を濡らした。それも気にせずみさとは水を飲みきった。
「っはあー……」
みさとは乱暴に頭を掻いた。そのとき急に部屋が明るくなった。みさとがふり返ると、パジャマ姿の尾上が立っていた。
「あ、尾上さん」
「どうしたんですか、こんな時間に……」
「なんだか、その、眠れなくて」
「そうですか」
尾上はみさとの様子を察したからなのか深く追求してこなかった。みさとが「それではおやすみなさい」と部屋に戻ろうとすると尾上は意外にも引き留めた。
「眠れるように、ちょっと魔法の飲み物でも」
「魔法の飲み物?」
尾上はこくんと頷き、みさとに座るよう席を勧めた。みさとは大人しく椅子に腰を下ろした。尾上は冷蔵庫や戸棚を開けるなどなにやらがさごそと動いていた。みさとはじいっとガスの前に立つ尾上の背中を眺めていた。繊細な仕事の割にしっかりとした体格、顔を埋めたくなるくらいボリュームのある全身の毛。しかし風呂にリンスがなかったので意外とごわついているのかもしれない、なんてことを考えていると尾上の言う魔法の飲み物が出来上がっていた。
「どうぞ」
コトッと小さな音を立てて差し出されたのは、マグカップに入ったホットミルクだった。湯気が立っていてミルク独特のにおいのほかに強い甘い香りがした。
「ベタなものですが。ラム酒を少し加えています」
「あ、このにおいラムなんですね。……いただきます」
みさとはゆっくりホットミルクを一口に含んだ。ラム酒の香りが鼻から抜け、温かいミルクは全身を巡った。思わずほうっとため息をついた。
「おいしい……」
「お口に合ったようでよかったです」
そう言って尾上もラム酒入りホットミルクをすすった。
マグカップの中身が半分くらいになったころ、みさとはちらりと尾上の様子を確かめてから尋ねた。
「尾上さんも、眠れなかったんですか?」
「ええ、まあ。変に目が冴えてしまって」
尾上は言葉を濁した。それが仕事関係……ウエディングドレスについてだからだろうと、みさとはすぐにわかった。尾上はいつでもみさとに対してさりげなく気を遣っていた。仕事の話は決してしないし、前回いっしょに買い物に行ったときもブライダルショップの前は通らないように案内していた。みさとは、きっと自分が気づいていないだけでほかにも気を回してくれているだろう、と思った。そして今、感謝の言葉を伝えなければなかなかこのようなタイミングが来ないであろうことも、わかっていた。
「あの、尾上さん」
「はい」
「えっと、その、本当にいろいろありがとうございます。元顧客にすぎない私をここに住まわせてくれた上に、すごく気を遣っていただいて……」
みさとは座ったまま頭を下げた。尾上は首を横に振った。
「そんな大したものではありません。あのころ……婚約者だった彼女に逃げられて、自分が誰かにしてもらいたかったことをしているだけです。まあ簡単に言えば自己満足なので、気にしないでください。
こんなこと、誰に話しても同情しかされないし下手をすれば馬鹿にされるだけです。友人とも気まずくなりますし、親族にも『あの人にはああいうことがあってね』なんて、下の世代にも伝わりますから。それに……ずっと二人でいた場所に独りで居続けるのは辛すぎる」
ふと尾上はマグカップの中に視線を落とした。
「このホットミルク、彼女はあまり好きではなかったんです。お酒のにおいがするから、と。……甘いカクテルくらいしか飲まない人でしたから」
尾上は悲しそうに微笑んだ。みさとの心までずきりと痛んだ。みさとはとっさに尾上の手を握っていた。尾上は目を丸くしていた。尾上とみさとの手の温度がじんわりと溶け合っていく。
「すみません私、尾上さんに辛いことを思い出させてしまって。そんなつもりじゃなかったんです、本当に、ありがたくってお礼を言いたかっただけで……。そんな顔をさせたかったわけじゃなくって……」
「わかっていますよ。こちらこそありがとうございます」
「へ?」
「本当に独りに飽きてしまったんです。けれど誰かをもう一度愛するほどの勇気も覚悟もなくって。それにあなたがここに来てから、なんだか調子がいいんですよ。……おいしい手料理のおかげかもしれませんね。家のこともすべてやっていただいていますし、あまり根を詰めすぎないでくださいね」
「そんなっ。居候の身ですし、これくらいは……」
はた、とみさとはようやく自分が尾上と手を重ねていることに気がついた。そして慌てて手を放した。
「す、すみませんっ」
「いえ」
みさとはホットミルクを味わいながらもできるだけ速く飲み干した。
「あの、ホットミルクありがとうございました。おやすみなさい」
そう言ってもう一度歯を磨きに行ってから部屋に戻った。尾上はまだ三分の一ほど残っているホットミルクをのんびり飲みながら「おやすみなさい」と返事をした。
部屋に戻ったみさとは尾上の手をとっさに握ってしまったことに、自分でも少し驚いていた。
「思っていたより大きい手だったな。……尾上さんが作ったウエディングドレス、着てみたかったなあ」
そんな風に考えていると、ホットミルクの効果があったのか、すうっと気がつかない内に夢の世界へ旅立っていた。
一方マグカップを置いて尾上は、みさとと重ねた左手を見た。まだみさとの体温が残っているような気がした。
「そういえば……人は温かかったな。すっかり忘れていた」
残っている体温がじわじわと尾上の体の中まで染みこんでいくような気がした。
続く
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