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《13》受付嬢は飛べばいい

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土下座して許してもらった僕は、ぐちゃぐちゃになってしまった麻酔蜘蛛を見てどうしたものかと頭を悩ませた。
とりあえず、ハンザキさんに水出してもらって洗ってから、

「『アイテムボックス』!」

蜘蛛の死骸に手を当て叫んだ。途端にパッと消える蜘蛛。
ステータスと同じように頭の中で、アイテムボックスと念じる。

麻酔蜘蛛の体×1
麻酔蜘蛛の足×8
麻酔蜘蛛の毒×2

ふむ。上手くいったようだ。
解体までしてくれるのか。
あっ、そうだ。

「『アイテムボックス』!」

何もないところで使ってみたが、何も起こらなかったようだ。
アイテムボックス使おうとして、その場の空気全部吸って窒息死~とか洒落になんないからな。
安全保障はされているようだ。

じゃあ、いくか。
ちょっと時間がかかったが、目指すはあの街、イナズマ国だ。
王が嫌いだが、あそこにはゲームで見るギルドと呼ばれるものがあって、
フグリが居れば無双して、とりま、食うものには困らないだろう。



「あの、これって、麻酔蜘蛛です、よね?」
「はい、そうですけど。」

今、僕達はギルドに来ていた。
麻酔蜘蛛の素材を売るために、カウンターに「麻酔蜘蛛の毒」以外のアイテムを出したのだが、
何かおかしかったらしい。
「麻酔蜘蛛の毒」は何かに使えそうだから、とっておく。

「えっと、本当に麻酔蜘蛛をあなたたちが倒したんですかね?」
「あっ、正確に言えば僕の妹が一瞬で細切れにしましたが」
「えっ!!」

驚きを隠しきれない、受付嬢。
そのまま、素材を持っていってしまった。

しばらくして、帰ってくると、

「本物のようです。全部で、金貨6枚になりますが、よろしいですか?」
「はい。出来ればお金の基準を教えてほしいのですが。」

すると、受付嬢はうなずいて説明を始めた。
話によるとこうらしい。

銅貨×100=銀貨×1
銀貨×100=小金貨×1
小金貨×100=金貨×1
金貨×100=白金貨×1

フグリによると、銅貨1枚は1円とのことなので、白金貨は1億円!
よっぽどの貴族が使ったり、国家資産のレベルだな。

というか金貨6枚って600万円か。
いきなり大金を手にしてしまった。
税金はどうなってしまうのか受付嬢に聞いてみると、

「冒険者登録をしてしまえば、税金は、払う必要はないですよ。」

おっと。
来ました。異世界の醍醐味の一つ、冒険者活動。
すでに、チートな妹と『無双の狙撃銃』とか言う物騒な武器を手に入れているにも関わらずわくわくする。

「でも、冒険者登録の時に「ソロ」か「チーム」か選んでいただきます。」
「じゃあ「チーム」で。」

すると受付嬢は首をふって、

「「チーム」の登録は3人からになります。一度指定したら変えれないので「チーム」にしたいのでしたら....」

「したかったら?」

すると受付嬢はまわりをキョロキョロとかくにんし耳元で、

「出直してきやがれ金銭感覚のわからない田舎の猿共め」

とささやいた。

「では、次のお客様が待っておりますので~」

と帰された。


「なにあいつ感じ悪すぎ!!」

ご立腹のフグリ。

「あいつ、ぐっしゃぐしゃにしてやる。」
「フグリがいうと冗談じゃなくなっちゃうから。でもあの対応はないな。」

うんうんとうなずく二人。

とりあえず、
ハルは残りの一人をどうするか、
フグリは宿の下見と、ご飯の調達、
お金を半分ずつ持って別れた。

フグリならそういう悪い人が来ても大丈夫だろう。

~10分後~

再び二人はもとの場所に集まっていた。

「まず私からね。パンを何種類かと野菜を買ったよ。金貨は1枚も使ってないよ。アイテムボックス保管しとけば.....」

そこでフグリの言葉は止まった。
視線の先は僕の後ろをついてくる、目の光を失ったような少女。
ショートヘアーの黒い髪はぐしゃぐしゃに乱れている。
フグリがこっちをにらんでくる。

「パーティーメンバーが足りなかったから、金貨二枚で、奴隷になってた少女を買ったんだわ。」

そう言いきったときにはすでに目の前に触手が迫ってきていた。



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主人公クズ説は生まれません。
安心してください。

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