先生と。

帆崎

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1 養護教諭と平凡男子

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「ゆうにい?迎えにきたよ~」
ガラッと勢いよく保健室のドアを開ける。俺は小さい頃から叔父さんのことをゆうにいと呼んでいる。少し不思議なところもあるが、いい叔父さんだ。
「おぉ~、だいくん。よくきたねえ~。おやつでも食べて行きなさい~」
ゆうにいにいわゆるポ⚪︎キーをすすめられ、言われるがまま口にくわえた。
「ゆうにい、どれぐらいで帰れそう?早く帰んないと俺が怒られちゃうよ」
ポ⚪︎キーをくわえながらゆうにいに話しかける。
「えぇ~、行きたくないなあ~。親戚たくさんくるんだろお?それならここでだいくんとおやつ食べながらお喋りしてたいよ~」
ゆうにいは不満そうに言った。
「なんでだよ、楽しいだろ?行こうよ」
俺がそういうとゆうにいは頬を膨らませた。
「お子様にはわかんないんですよ大人の付き合いはねえ。あ、ていうか学校ではちゃんと雫沢先生か裕先生って言いなさいよ~。特別扱いされてるとか思われたら面倒でしょう」
「そういうゆうにいだって俺のことだいくんって呼んでんじゃん。そっちの方が特別扱いだと思われるよ」
俺も少し拗ねたようにいう。
「いいんですよ~。僕先生。君生徒。先生の言うことはききなさいよ~」
おりゃっ!といってゆうにいが俺の髪の毛をぐちゃぐちゃにする。
「ちょっ!やめろよゆうにい!」
「おやおや~?生意気にも髪の毛セットしてきたのかなあ~??彼女でもできたのかな~?」
ニヤニヤしながらゆうにいが言う。
「は、はぁ!?そんなんじゃねーしっ!!」
必死に否定するが、多分俺の顔は赤くなっていたと思う。
その瞬間、ゆうにいのまとう空気が変わったような気がした。
でも、それは一瞬で、すぐもとのぽわぽわしたゆうにいにもどった。
「まぁねえ、高校生ですもんねえ~彼女の1人や2人いてもおかしくないよ~」
「だから違うって!!そういうゆうにいこそどうなんだよ!彼女とかいねえの!?」
俺は動揺を隠すために新しいポ⚪︎キーを口にくわえながらゆうにいにきく。するとゆうにいはにやっと笑ってこう言った。
「彼女はいないけど、好きな人はいるよ~」
「えっ!えぇっ!?誰誰!?俺の知ってる人!?」
俺は、ゆうにいにそんな気持ちがあったのかと思わず驚いてしまった。
「ふっふっふ~教えてあげよう!それはねえ~」
ゆうにいはそう言った次の瞬間、顔をこちらにグイッと近づけてきて、俺のくわえていたポ⚪︎キーをパクッと食べ、そのまま俺の唇にキス...した。
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