悪役転生を望んだが男にしろとは言っていない！

設定おっっっも

まさか僕が攻略対象になっているとは思わなかった。
しかし悪役転生で攻略対象なんてどういうことだ。
僕は気を取り直して自分のことが書かれているページに目を通した。

隠れ攻略対象ジークハルト・エリオス
エリオス伯爵家の長男でクリスティーナの異母弟ということになっている。得意属性は光以外の全属性で特に闇が秀でている。
物静かで他人に同調するだけの人形のような性格でいつも義姉クリスティーナの悪事の手伝いをしているという設定。
本名はジークハルト・レオン・サシリアでサシリア王国の第二王子で行方不明扱いになっている。
もともと内向的な性格で口数も少なかったため、義姉クリスティーナにいじめられながら幼少期を過ごす。
いじめられる日々を過ごす中、心の支えであった幼馴染が事故で亡くなり、幼馴染を蘇らせるために封印の祠に行き、死亡。魔王に体を乗っ取られる。
魔王はジークハルトの記憶をなぞりながらジークハルトの演技をしているが物語後半で本性を現す。
あ、魔王の代わりに君を入れといたから魔王は後でちゃんと倒してね！よろピコ！
君の設定だから他の子とは違って公式設定全部載せてあげたよ！感謝してね！

行方不明の王子で義姉にいじめられてて心の支えの幼馴染を喪ってて魔王とか設定おっっっも。
それに対して神様のコメントかっっっる。
他の登場人物の設定が一言二言で終わってたのは神様の仕様か。
僕については乙女ゲームの公式設定のまま載せてくれたみたいだし、百歩譲って許してやろう。


「Hey！ 神！」


「本日二度目のお呼び出し？！」


僕は再び転生の間に戻ると再び神様に詰め寄った。


「ジークハルトの設定重過ぎません？！ あとジークハルトのどこが悪役なのかがよく分かりません！」


「え？！ 魔王だし悪役じゃない？あ、あと魔王がお義姉ちゃんの悪事の手伝いしてるし！ ね？ 転生完了しちゃったもんはしょうがない！ ジークハルトとしての人生を頑張るのだ～！ あ、魔王は倒してね！ 絶対だよ！ じゃあまた何かあったら呼んでね！ でもお呼び出しは一日一回にしてほしいな！ 僕もアニメ観る時間がほしいから。それじゃあエンジョイ転生ライフ！」


「いやいや待って神様！ 魔王を倒すってどうするんですか！」


「え～それはこの世界の使命だから神様パワーは貸せないよ。乙女ゲーム通りならジークハルトが魔王になって聖女になったヒロインが浄化するんだけどさ。今はジークハルトには君が入ってるから魔王の器が誰になったのか分からないんだよね。まあ、ヒロインと協力して頑張ってよ。僕は日本のアニメでも観ながらいい知らせを待ってるからさ！ あっアニメそろそろ始まっちゃう！」


この神、もしや結構放任主義か。
アニメを理由に強制的に転生広場から帰された僕は神様を殴りたいと思った。うん。次会ったら一発かまそう。
魔王については討伐軍があるくらいだから国がなんとかしてくれそうな気もする。

さて、お待ちかねの悪役令嬢のページだ。
僕が前世でなりたいと切望していた悪役令嬢。きっと豪華なドリルが拝めるはず。
僕は期待を膨らませながらページをめくった。