婚約破棄予定と言われたので透明になって見たら婚約者の本性を知り悩んでいます

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訪問してくる婚約者

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私は結局あれからどの部活にも入らずに大人しく帰宅する日々になった。マリーに調理部に入らない?と誘われたが…同じことになりそうで辞めた。

マリーは私に時々お菓子を持ってきてくれた。
ある日帰り道、あの水色の髪のアンナ先輩が図書室へ前に見た人とは別の人と腕を組み親しげに入ってくのが見えた。
ソッと開いた扉から見たが見えない。
しかし声が漏れ聞こえて来てなんかいやらしい事してるなと思いその場を静かに立ち去った。
一体あのアンナ先輩は何人男をたぶらかしているのだろう?人の事を責めるけど自分がしていることは不誠実そのものだ。

まぁ、私には関係ないけど…。

さっさと家に帰り、透明になる薬を開発してこの世から姿を消そう。

靴箱の前に行くと何故かニルス様が立っていた。腕を組み偉そうだ。公爵子息だから偉そうにしてても問題はないか。
でもまた話しかけられるのか。嫌だなあ。この人と会ってから私はロクな目に合っていない。

「おい!お前!」
と呼ばれ

「はい、なんでしょうか?今帰る所ですが…」
と言うと

「アンナを見なかったか?生徒会に来ないのだ!」
と言われてさっき男の人と図書室でいやらしい事をしていました。…なんて言える訳なく

「さあ?私はお会いしておりません…」
と言うと

「本当だろうな!?お前はしれっと嘘をつくとアンナから聞いたのだ!」
え?何それ?何でアンナ先輩はそんな事を言うの?というか私の事嫌いなのはわかったけど…
なんとなくニルス様を手に入れるため私を徹底的に排除したいのかな?嘘つき呼ばわりされるのは少々嫌であった。

「お見かけしました…」
と言うと呆れた顔で

「ほらなやはり!それでどこに行った?」

「……図書室に男の人と入るのが見えましたよ」
と真実を告げてやると

「ばかな!アンナは誰にでも優しいから図書室で調べ物を手伝って貰っているんだな?」
と開き直るの凄い。

「では、私はこれで…」
と早々に立ち去ろうとするのを…

「待てええ!!まだ話がある!!」
と手首を掴まれた!

「痛っ!!」
と言うと

「…ふん!俺から逃げようとするからだ!…明日は学園が休みだからな!お前の家に行く!」

「え!?急に?一体どうして…」

「どうしてだと?俺たちはまだ婚約関係にあり……うちの家族はお前とうまく言ってると思ってる……。婚約破棄予定だが、最初のうちはまだ仲良き所を誤解させ、徐々にお前から離れるようにしないといけない」
と言う訳の分からない理由で貴重な休みもニルス様がうちに来ると言う…。最悪。

「…ニルス様はご家族にどの様に私の事を伝えているのです?」
と聞くと

「なんでそんな事を聞く?関係ないだろ!俺がどう話そうと!お前の家になんて本当は行きたくないが仕方なくだ!なんなら俺の茶に毒を仕込んでおいてもいいんだぞ?」

「そんなことしません!」
殺人罪で投獄されるではないか!

「ふん!とにかく明日邪魔するからな!お前も仲の良いフリでもしておけ!!」
と指さされた。

ああ、最悪。

休みはいつも思い切り研究しようとしてたのに。なんて邪魔な訪問なんだろう。部屋は片付けないとだし…サラや家族にも伝えねばならない。

「気が重い…。明日は休みなのに」


それから私は両親やサラに明日ニルス様がうちへ来る事を告げると大喜びでメイド達に掃除やお茶の準備をさせた。

「中々二人が会おうとしないから心配していたが大丈夫だな!流石時期公爵様だ!」
と父は嬉しそうに言う。

「お庭の方も案内してあげなさいな?うふふ」
と母は楽しそうに言い、サラは

「お嬢様!お洒落なら任せてください!」
と腕をまくる。

最悪。


嫌だがお休みはやはりやってきた。夜通し研究道具を片付けていたから寝不足である。

馬車から降りてきて一見すると綺麗な金髪の美青年だがニルス様は私の前では俺様なのに一体どうするんだと思っていたら母達に

「この度はご挨拶が遅れまして…大変失礼しました!キルシュ侯爵、侯爵夫人!お初にお目にかかります!イサベルさんと学園では親しくさせていただいてます」
とにっこりしながら無駄に白い歯をキラッと見せた。

完全に騙された父と母にサラ達はめちゃくちゃ喜んでいた。もう笑うしかない。

キョロキョロとニルス様は見回したりして私の部屋でお茶を飲んだら庭を散策させ適当に帰らせようと思っていた。

部屋に付きサラは紅茶とお菓子を用意して

「お嬢様!ファイトですよ!ニルス様に手くらい握って貰えるくらい頑張ってくださいまし!」
と言い部屋から出て行った!!
ニルス様はキョロキョロとしていたが侍女がいないと気付くと態度はやはり一変した。

「は!地味な部屋だな!」

「はい、すみません…」
普段は研究物やら本が散乱しているが流石に片付けたのだ。だからほぼ何も置かない様に気を付けた。

しかし棚に置き忘れた試作品の瓶をしまい忘れている事に気付いて慌てて私はそれをパッと手に取り隠したがバッチリ見られていて、

「おい、その瓶は一体なんだ!?」

「な、なんでもありません!関係ありません!」
私が透明になる薬を開発中のことは誰にも言っていない。

「気になるな…一体なんだ!よこせ!」
とこっちに歩いてくる!不味い!

「ひ、来ないで!」

「なんでそんなに嫌がる?さては怪しい薬を作って…」
と手の中の物を奪おうとして掴みかかり私は抵抗した。暴れて足がもつれ絨毯に二人して倒れてしまい、瓶の中身が割れた!!
ああ!試作品が!!!!
と嘆いていたが私の方の胸に違和感。

よく見ると至近距離に碧の目があり、ニルス様の片手が私の胸にあり。ニルス様は完全にフリーズしていた。

暫くして少し頰に赤みがさしてハッとして飛び退いて…

「いい、今のは事故だ!お前が見せないから転んだ!お前が悪い!変なものいつもコソコソ作って!!いいか!俺は全く悪くないからな!!お前の見苦しい身体になんて興味はない!」
と言い張る。私は起き上がると

「はい、すみません…」
と言う。

「ふん、いつも謝ればそれで済むと思って!気分が悪い!」
ととりあえずバクバクと用意されたお菓子や紅茶を飲みまくり急いで飲んだのかゲホゴホと喉につっかえていた。

なんだこの人?

ハンカチを差し出すと奪う様にバッと取り口を拭く。そんなに私の事が嫌いなら訪問するなと言いたい。

とりあえずお菓子を食べ切り
私とニルス様は庭を散策した。

「うちの庭の方が広いな。大したことはない。…あの花栄養が足りてないな…萎れかけている。あの木の枝ちゃんと手入れしたるか?お前のとこの庭師サボりまくりだな!…雑草は抜いとけよ!他の植物の栄養を奪うんだぞ!?…おい、ここに白い毒キノコ生えとる!!」
とダメ出しばかりされた。うるさいなぁ!
さっさと帰って欲しいなとため息を吐いたら

「なんだそのため息は!こっちが付き合ってやってるのに!」

「す、すみません」

「は、またそれか!それしかお前は口にできないらしいな!この無能が!」
と罵られる。しかしあまりこの人と喋りたくないし仕方なく謝ってるんだけど。

庭の散策が済むと両親達にまたにこにこして

「大変楽しいひと時でした!ありがとうございます!今度はうちのお茶会に招待しましょう!」
と社交的な挨拶を済ませてニルス様は手を振り馬車で帰って行った。

……疲れた。
私の頭にはもはやそれしかなかった。試作品は割れたからまた一から作り直しだ。
もういや、この世から早く消えたい。
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