43 / 48
一緒に逃げる私達
しおりを挟む
「イサベル…目を覚ましなさい。アルトゥールなんかに騙されてはダメよ!」
とバルバラお祖母様は言う。
「お祖母様!この方はニルス様です!アルトゥール様ではないのです!」
いくら若い頃が似てるからって…間違えないで欲しい。
「…イサベル…」
ニルス様は悲しそうな顔をした。
「少しは話を聞いたらどうじゃ?昔のことは悪かった!でも孫達は愛しおうておるんじゃ!真実の愛じゃよ?それを引き裂くなど」
「「お前が言うなっっ!!」」
とバルバラお祖母様とレオポルトお祖父様が怒鳴る。
「うぐうっっっ」
とアルトゥール様は言い、
「とにかく帰って!この書状に破棄のサインを送ります!後はそちらで処理を!」
と一方的に切り上げようとしている。
「嫌だ!俺は!!絶対にイサベルと婚約破棄はしない!!」
「まだ言うか!!」
パチンとレオポルトお祖父様が指を鳴らすと従者達が現れ
「イサベルをあの男から引き剥がし部屋に確保せよ!」
と命令され従者達が私達に向かってくる!
その時アルトゥール様が前に出て私達を庇う。
サラとハンさんも攻撃態勢を取り立ち向かう。アルトゥール様は従者達を投げ飛ばしながらニルス様に
「ニルスよ!!しばし身を隠せ!!この爺こ奴らを説得するまでな!!さぁ!はよ行け!!」
と言うとニルス様は私の手を取り
「すみません!!お祖父様!!皆さん!……行こうイサベル!!」
とニルス様は私を抱えて走り出した。
「くっ!!捕まえろ!!孫が誘拐された!!」
とレオポルトお祖父様が叫びいくつかの雷撃魔法が放たれた。御者台のマルクさんは馬車から馬を放して
「ニルス様!これをお使いください!!」
「恩にきる!落ち着き先が決まったら連絡をする!」
「了解しました!!頑張って!!」
と応援され私はそのままニルス様と共に馬に乗り逃げた!!
お祖父様の邸の辺りから煙が上がっていたのが見えた。大丈夫かしら??
結局誤解が解けなかっだし逃げてしまいどうしたらいいんだろう?
……ていうかこれって…
ん?
もしかして?
これってあの?駆け落ち!!!?
私はようやく気付いた。
私達は北へ向かって馬を走らせた為に一気に寒くなり雪が降ってきた。ようやく逃げ切り森の中の小屋を発見した。
木こりが臨時で使っているものだろう。
私達はそこに飛び込んだ。幸い馬小屋も近くにあって蓄えてた藁を発見して馬も休ませる事ができそうだ。
ごめんなさい、勝手に。
と思ったが小屋の中に入りとりあえず暖を取る事にする。魔法で火をつけて薪を入れる。
「はぁ……ニルス様…寒い」
「イサベル…直ぐに暖かくなるからな」
とニルス様が言い、服を脱ごうとしたので…
「え!?な、何?何で脱ごうとするんですか?」
て混乱する。
「は!?いや!別にやましい意味はない!雪に濡れて寒かったから…だな!」
どうやら乾かそうと思って脱いだが余計寒くなる。
小屋を見渡し簡易ベッドを見つけ埃っぽい毛布を見つけた。
「よしイサベルこれを使え!もっと火の側に!」
て毛布を渡し自分は寒そうに肩をさすった。
「……ニルス様一緒に使いましょう」
「……いいのか?」
「凍死したいなら…」
「それは困る…」
ととりあえず毛布に包まる。
ニルス様は冷えた私を後ろから抱きしめた。
心臓だけは熱い。
「こんなことになってすまない…。俺がもっとしっかりしていればなぁ…」
「ニルス様は悪くないです。そもそもお祖父様達の問題が拗れているだけで…後はもうカミラ姉様にお任せします」
「カミラ様もレオポルト様の方につきそうだがな…」
「お姉様は一度した約束は守ってくれる筈です!」
と言うとニルス様は
「そうかな?上手く行ってくれるのを祈るばかりだ。…で、イサベル…これからどうするんだ?」
「今は雪が止むのを待ちましょう。直ぐに追っ手も来られないはずですし…」
パチパチと暖炉の火が鳴る中少し眠くなってきた。
「少し眠った方がいいな。少し硬い床だが我慢してくれ」
と言うとニルス様は私をゆっくりと押し倒すと自分も横になる。後ろから抱きかかえたままなのでなんだか恥ずかしい。
ど、どうしよう。ドキドキして眠れないわ。
するとなんか頭の上からスースーと聞こえてきた!!
えっ!?
寝たの!?
ニルス様!狡いわ!こんな体勢で自分だけスヤスヤと!!
頑張ってモゾモゾと身体を反転させてみると確かに先に寝ていた。長い睫毛と金の髪が暖炉の火でキラキラしている。
うぐっ!!美しい!!
流石モテるだけある婚約者様。
私はニルス様の胸に頭を預けるとゆっくりと目蓋を閉じた。
*
朝になりなんか振動と
「ぎゃっ!!」
と言うニルス様の動揺の声と共に目覚めた。
「あ、おはようございます。ニルス様…」
と寝ぼけて挨拶するとニルス様は真っ赤になり
「おおお、おは…おはよう…おま、イサベル…何でそんな冷静だ!?何でこっち向きなんだよ!?」
「え?」
半目でキョトンとする。もぞっと毛布が動き冷気が入り
「ひえ、寒い!」
とまたニルス様にくっ付くとニルス様が
「ああっ!おまっ…くっ付くな!!いや、別にいいけどいや、良くない!!いや…別にああっ!」
と動揺しておろおろしていた。
私はようやく覚醒してバッと起き上がりバシと頰を叩き
「あ、おはようございます」
と冷静になった。ニルス様は真っ赤になり
「……おはよう…」
と2回目の挨拶をした。
するとそこへトントンと山小屋の戸を叩く音がしてビクリとした。
まさか!もう追っ手が!?
ニルス様と顔を合わせニルス様は剣を持ち扉の近くへと行き、私はテーブルの下へ潜り込んだ。
ニルス様は注意して扉を開け入ってくる人影に向け剣の塚で急所を狙いその人影が倒れた。
ドサリと音がし雪で真っ白になった顔面蒼白の女の人だった。でもよく見ると…黒い修道服を着た女でアクアマリンの髪は短くなっていた。白目で倒れているその人はアンナ先輩だった。
とバルバラお祖母様は言う。
「お祖母様!この方はニルス様です!アルトゥール様ではないのです!」
いくら若い頃が似てるからって…間違えないで欲しい。
「…イサベル…」
ニルス様は悲しそうな顔をした。
「少しは話を聞いたらどうじゃ?昔のことは悪かった!でも孫達は愛しおうておるんじゃ!真実の愛じゃよ?それを引き裂くなど」
「「お前が言うなっっ!!」」
とバルバラお祖母様とレオポルトお祖父様が怒鳴る。
「うぐうっっっ」
とアルトゥール様は言い、
「とにかく帰って!この書状に破棄のサインを送ります!後はそちらで処理を!」
と一方的に切り上げようとしている。
「嫌だ!俺は!!絶対にイサベルと婚約破棄はしない!!」
「まだ言うか!!」
パチンとレオポルトお祖父様が指を鳴らすと従者達が現れ
「イサベルをあの男から引き剥がし部屋に確保せよ!」
と命令され従者達が私達に向かってくる!
その時アルトゥール様が前に出て私達を庇う。
サラとハンさんも攻撃態勢を取り立ち向かう。アルトゥール様は従者達を投げ飛ばしながらニルス様に
「ニルスよ!!しばし身を隠せ!!この爺こ奴らを説得するまでな!!さぁ!はよ行け!!」
と言うとニルス様は私の手を取り
「すみません!!お祖父様!!皆さん!……行こうイサベル!!」
とニルス様は私を抱えて走り出した。
「くっ!!捕まえろ!!孫が誘拐された!!」
とレオポルトお祖父様が叫びいくつかの雷撃魔法が放たれた。御者台のマルクさんは馬車から馬を放して
「ニルス様!これをお使いください!!」
「恩にきる!落ち着き先が決まったら連絡をする!」
「了解しました!!頑張って!!」
と応援され私はそのままニルス様と共に馬に乗り逃げた!!
お祖父様の邸の辺りから煙が上がっていたのが見えた。大丈夫かしら??
結局誤解が解けなかっだし逃げてしまいどうしたらいいんだろう?
……ていうかこれって…
ん?
もしかして?
これってあの?駆け落ち!!!?
私はようやく気付いた。
私達は北へ向かって馬を走らせた為に一気に寒くなり雪が降ってきた。ようやく逃げ切り森の中の小屋を発見した。
木こりが臨時で使っているものだろう。
私達はそこに飛び込んだ。幸い馬小屋も近くにあって蓄えてた藁を発見して馬も休ませる事ができそうだ。
ごめんなさい、勝手に。
と思ったが小屋の中に入りとりあえず暖を取る事にする。魔法で火をつけて薪を入れる。
「はぁ……ニルス様…寒い」
「イサベル…直ぐに暖かくなるからな」
とニルス様が言い、服を脱ごうとしたので…
「え!?な、何?何で脱ごうとするんですか?」
て混乱する。
「は!?いや!別にやましい意味はない!雪に濡れて寒かったから…だな!」
どうやら乾かそうと思って脱いだが余計寒くなる。
小屋を見渡し簡易ベッドを見つけ埃っぽい毛布を見つけた。
「よしイサベルこれを使え!もっと火の側に!」
て毛布を渡し自分は寒そうに肩をさすった。
「……ニルス様一緒に使いましょう」
「……いいのか?」
「凍死したいなら…」
「それは困る…」
ととりあえず毛布に包まる。
ニルス様は冷えた私を後ろから抱きしめた。
心臓だけは熱い。
「こんなことになってすまない…。俺がもっとしっかりしていればなぁ…」
「ニルス様は悪くないです。そもそもお祖父様達の問題が拗れているだけで…後はもうカミラ姉様にお任せします」
「カミラ様もレオポルト様の方につきそうだがな…」
「お姉様は一度した約束は守ってくれる筈です!」
と言うとニルス様は
「そうかな?上手く行ってくれるのを祈るばかりだ。…で、イサベル…これからどうするんだ?」
「今は雪が止むのを待ちましょう。直ぐに追っ手も来られないはずですし…」
パチパチと暖炉の火が鳴る中少し眠くなってきた。
「少し眠った方がいいな。少し硬い床だが我慢してくれ」
と言うとニルス様は私をゆっくりと押し倒すと自分も横になる。後ろから抱きかかえたままなのでなんだか恥ずかしい。
ど、どうしよう。ドキドキして眠れないわ。
するとなんか頭の上からスースーと聞こえてきた!!
えっ!?
寝たの!?
ニルス様!狡いわ!こんな体勢で自分だけスヤスヤと!!
頑張ってモゾモゾと身体を反転させてみると確かに先に寝ていた。長い睫毛と金の髪が暖炉の火でキラキラしている。
うぐっ!!美しい!!
流石モテるだけある婚約者様。
私はニルス様の胸に頭を預けるとゆっくりと目蓋を閉じた。
*
朝になりなんか振動と
「ぎゃっ!!」
と言うニルス様の動揺の声と共に目覚めた。
「あ、おはようございます。ニルス様…」
と寝ぼけて挨拶するとニルス様は真っ赤になり
「おおお、おは…おはよう…おま、イサベル…何でそんな冷静だ!?何でこっち向きなんだよ!?」
「え?」
半目でキョトンとする。もぞっと毛布が動き冷気が入り
「ひえ、寒い!」
とまたニルス様にくっ付くとニルス様が
「ああっ!おまっ…くっ付くな!!いや、別にいいけどいや、良くない!!いや…別にああっ!」
と動揺しておろおろしていた。
私はようやく覚醒してバッと起き上がりバシと頰を叩き
「あ、おはようございます」
と冷静になった。ニルス様は真っ赤になり
「……おはよう…」
と2回目の挨拶をした。
するとそこへトントンと山小屋の戸を叩く音がしてビクリとした。
まさか!もう追っ手が!?
ニルス様と顔を合わせニルス様は剣を持ち扉の近くへと行き、私はテーブルの下へ潜り込んだ。
ニルス様は注意して扉を開け入ってくる人影に向け剣の塚で急所を狙いその人影が倒れた。
ドサリと音がし雪で真っ白になった顔面蒼白の女の人だった。でもよく見ると…黒い修道服を着た女でアクアマリンの髪は短くなっていた。白目で倒れているその人はアンナ先輩だった。
0
あなたにおすすめの小説
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
殿下に寵愛されてませんが別にかまいません!!!!!
さくら
恋愛
王太子アルベルト殿下の婚約者であった令嬢リリアナ。けれど、ある日突然「裏切り者」の汚名を着せられ、殿下の寵愛を失い、婚約を破棄されてしまう。
――でも、リリアナは泣き崩れなかった。
「殿下に愛されなくても、私には花と薬草がある。健気? 別に演じてないですけど?」
庶民の村で暮らし始めた彼女は、花畑を育て、子どもたちに薬草茶を振る舞い、村人から慕われていく。だが、そんな彼女を放っておけないのが、執着心に囚われた殿下。噂を流し、畑を焼き払い、ついには刺客を放ち……。
「どこまで私を追い詰めたいのですか、殿下」
絶望の淵に立たされたリリアナを守ろうとするのは、騎士団長セドリック。冷徹で寡黙な男は、彼女の誠実さに心を動かされ、やがて命を懸けて庇う。
「俺は、君を守るために剣を振るう」
寵愛などなくても構わない。けれど、守ってくれる人がいる――。
灰の大地に芽吹く新しい絆が、彼女を強く、美しく咲かせていく。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
氷の騎士と契約結婚したのですが、愛することはないと言われたので契約通り離縁します!
柚屋志宇
恋愛
「お前を愛することはない」
『氷の騎士』侯爵令息ライナスは、伯爵令嬢セルマに白い結婚を宣言した。
セルマは家同士の政略による契約結婚と割り切ってライナスの妻となり、二年後の離縁の日を待つ。
しかし結婚すると、最初は冷たかったライナスだが次第にセルマに好意的になる。
だがセルマは離縁の日が待ち遠しい。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
白い結婚のはずが、騎士様の独占欲が強すぎます! すれ違いから始まる溺愛逆転劇
鍛高譚
恋愛
婚約破棄された令嬢リオナは、家の体面を守るため、幼なじみであり王国騎士でもあるカイルと「白い結婚」をすることになった。
お互い干渉しない、心も体も自由な結婚生活――そのはずだった。
……少なくとも、リオナはそう信じていた。
ところが結婚後、カイルの様子がおかしい。
距離を取るどころか、妙に優しくて、時に甘くて、そしてなぜか他の男性が近づくと怒る。
「お前は俺の妻だ。離れようなんて、思うなよ」
どうしてそんな顔をするのか、どうしてそんなに真剣に見つめてくるのか。
“白い結婚”のはずなのに、リオナの胸は日に日にざわついていく。
すれ違い、誤解、嫉妬。
そして社交界で起きた陰謀事件をきっかけに、カイルはとうとう本心を隠せなくなる。
「……ずっと好きだった。諦めるつもりなんてない」
そんなはずじゃなかったのに。
曖昧にしていたのは、むしろリオナのほうだった。
白い結婚から始まる、幼なじみ騎士の不器用で激しい独占欲。
鈍感な令嬢リオナが少しずつ自分の気持ちに気づいていく、溺愛逆転ラブストーリー。
「ゆっくりでいい。お前の歩幅に合わせる」
「……はい。私も、カイルと歩きたいです」
二人は“白い結婚”の先に、本当の夫婦を選んでいく――。
-
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
白い結婚に、猶予を。――冷徹公爵と選び続ける夫婦の話
鷹 綾
恋愛
婚約者である王子から「有能すぎる」と切り捨てられた令嬢エテルナ。
彼女が選んだ新たな居場所は、冷徹と噂される公爵セーブルとの白い結婚だった。
干渉しない。触れない。期待しない。
それは、互いを守るための合理的な選択だったはずなのに――
静かな日常の中で、二人は少しずつ「選び続けている関係」へと変わっていく。
越えない一線に名前を付け、それを“猶予”と呼ぶ二人。
壊すより、急ぐより、今日も隣にいることを選ぶ。
これは、激情ではなく、
確かな意思で育つ夫婦の物語。
『影の夫人とガラスの花嫁』
柴田はつみ
恋愛
公爵カルロスの後妻として嫁いだシャルロットは、
結婚初日から気づいていた。
夫は優しい。
礼儀正しく、決して冷たくはない。
けれど──どこか遠い。
夜会で向けられる微笑みの奥には、
亡き前妻エリザベラの影が静かに揺れていた。
社交界は囁く。
「公爵さまは、今も前妻を想っているのだわ」
「後妻は所詮、影の夫人よ」
その言葉に胸が痛む。
けれどシャルロットは自分に言い聞かせた。
──これは政略婚。
愛を求めてはいけない、と。
そんなある日、彼女はカルロスの書斎で
“あり得ない手紙”を見つけてしまう。
『愛しいカルロスへ。
私は必ずあなたのもとへ戻るわ。
エリザベラ』
……前妻は、本当に死んだのだろうか?
噂、沈黙、誤解、そして夫の隠す真実。
揺れ動く心のまま、シャルロットは
“ガラスの花嫁”のように繊細にひび割れていく。
しかし、前妻の影が完全に姿を現したとき、
カルロスの静かな愛がようやく溢れ出す。
「影なんて、最初からいない。
見ていたのは……ずっと君だけだった」
消えた指輪、隠された手紙、閉ざされた書庫──
すべての謎が解けたとき、
影に怯えていた花嫁は光を手に入れる。
切なく、美しく、そして必ず幸せになる後妻ロマンス。
愛に触れたとき、ガラスは光へと変わる
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる