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危機一髪のエレア
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ゆ、許せない!私を魔法の鎖で縛ったままどこかへ行ったクリス!!
ていうか!さっきからトイレに行きたくて仕方ない!!乙女を何だと思ってるの!
ちょっと自分の理想の女と中身が違うからって幻滅して出て行く?普通。
でもレギオン王も言ってたしね。相当、作者として【理想のエレア】は彼にとって重要でそれこそ世界の中心だったに違いない。それが全く別の魂が入ってるのだから幻滅しても仕方はない。
でもこの仕打ちは酷い!帰ってこなくて漏らして、食事も摂る事もできず、私はここで死ぬのか!?
「はあ、どうしてこんなことに…」
王女の持ってた戦士の力でも振り解けない強固な魔法の鎖だ。私には解けない。
「うう、トイレ行きたいーーー!!うえーん!!」
たまらず泣くとバンと入り口の扉の音がした!?
ドスドスと足音がしてクリスがハアハア息を切らせていた!!
「く、クリス…」
「何故、泣く!?」
「は!?」
「何で泣いてるんだ!?僕には君が泣いてるのがわかるんだ!指の鎖を通して危機を知らせる!」
と言う。そういうこと!?自分で嵌めておきながら!
「あの…ちょっとトイレに行きたいんですけど!」
と言うとクリスは…爆速で鎖の縛りを解いて私はとりあえずトイレへと向かった!
あ、危ない!今はトイレに行けることに感謝だわ!!
とりあえずトイレを済ませて戻ると…クリスはトントンとなんか料理をしていた!!
そしてきっちり自分のと私のを作り分けた。
「ありがとうクリス…」
「…………」
クリスは無言になった。そりゃ、クリスからしたら私は完全に知らない人だ。私だって本当は知らない人だし。
うーん、でもどうしよう。
「あの、クリスは魔王を…倒さないの!?」
と言うと…クリスは
「……何故僕が勇者として生まれたかはわからないが、魔王なんて倒す道理がない。しかも…まだ書ききれなかったけど…各地の魔王を全て倒してしまったら…今度は邪神が復活する設定なのを知っているから僕は魔王なんて倒したくないんだ」
と作者のみ知る事実をサラッと喋ってしまった!!
てか、じゃ、邪神復活ーー!?な、何よそれー!?
「魔王なんか簡単に殺せるが、邪神は勇者でも苦戦する戦いになる。倒した後は右目と左手足が無くなる。そう言う設定だ」
と言い、クリスは俯いた。
「折角生まれ変わったんだから…穏やかな…好きな女の子と穏やかに暮らしたかった…。なのに、君はエレアじゃないし!ふざけんなって話だ!!」
と途中からキレた。
「あの…クリス…。いえ、先生?す、すみません。私がエレアの中に転生してしまって…。それは私のせいじゃないけど…なんだか先生の理想を崩して深くショックを与えてしまいました…」
と言うとクリスは
「………それは…そうだ。僕は今まで知らない人にずっと告白したりプレゼントしたり、す、ストーカーみたいな真似をして……はあ…もう死にたい…」
とクリスは落ち込んでしまった。
「これからどうするんですか!?」
と聞いてみると
「…どうもこうも…とりあえず女神とレギオン王をぶん殴りたいな…」
「それ、絶対出てこないと思いますよ、2人とも。クリスのこと怖がっていたし」
「そうか…」
とだけ言ってクリスはご飯を平らげ皿を洗い、さっさと眠ってしまった。
結局どうするのか聞けないまま。私もとりあえず横になる。
魔王を倒しても邪神を倒してもクリスは身体を半分失い、目も片方失い、勇者の力を失い生きなきゃならないなんて確かに過酷だ。そんなこと知ってたら私だって魔王なんか倒したくないって思っちゃうわ。
でも倒さないとこの世界の平和は訪れない。しかし転生したこの世界は本当に小説通りにしないといけないのかな?確かに勇者はクリスしかいない。クリスにしかできないことだ。
「そうだわ…!」
私は閃いた。
そして次の朝朝食時にクリスに提案した。
「先生!邪神は私に倒させてくれませんか?」
「はあ!?」
とクリスは驚く。
「だって先生はこの先穏やかな生活をしたいんでしょ!?私は理想のエレアじゃないし、身体を半分失おうが、目を失おうが大したことではないわ。邪神にトドメの一撃を放つ瞬間に私と入れ替えて仕舞えば貴方は無事に生還できますよ!」
と名案を言うとクリスは
「君は…何を言ってるの!?バカなの?」
と言われた。
「アニメの見過ぎだろ?そう簡単に入れ替わることなんて出来ないし、主人公の僕が仮にもヒロイン代打の君にそんなクズみたいな真似ができるとでも!?
僕だけのうのうと無傷で生き残るなんて物語への冒涜だ!アホか!!」
「そ、そうだ、聖女の癒しの力で手とか復活できないんですか!?」
と聞いてみると
「設定では聖女の力は魔王を全て倒して邪神になる一歩手前でヒロインがほとんど勇者の回復に全力を注ぐからそれは無理だね。
邪神戦ではヒロインは役立たずだ」
と切り捨てられた。私の力って一体…。
2人とも無言で朝食を食べる。気まずい!!もう万策尽きたよー!!
「…君は僕の話を読んでたのか?えっと…ファンとかなのかな!?」
とちょっと聞きにくそうに聞いてきたので、ギクリとした!!
「えっ!?わ、私は…そ、そのー…」
「そうなのかな?な、なんなら久しぶりにサインでも書こうかな?ハハ」
となんか照れている!
ど、どうしようーー!全然全くファンじゃないーーー!
でもここで断るとクリスの心は今度こそ死ぬ!!
「あ、あの、はいーー!では、よろしくお願いしますー、先生!!」
とろくに作者の名前すら覚えてないので先生呼びで誤魔化しておいた!!
ていうか!さっきからトイレに行きたくて仕方ない!!乙女を何だと思ってるの!
ちょっと自分の理想の女と中身が違うからって幻滅して出て行く?普通。
でもレギオン王も言ってたしね。相当、作者として【理想のエレア】は彼にとって重要でそれこそ世界の中心だったに違いない。それが全く別の魂が入ってるのだから幻滅しても仕方はない。
でもこの仕打ちは酷い!帰ってこなくて漏らして、食事も摂る事もできず、私はここで死ぬのか!?
「はあ、どうしてこんなことに…」
王女の持ってた戦士の力でも振り解けない強固な魔法の鎖だ。私には解けない。
「うう、トイレ行きたいーーー!!うえーん!!」
たまらず泣くとバンと入り口の扉の音がした!?
ドスドスと足音がしてクリスがハアハア息を切らせていた!!
「く、クリス…」
「何故、泣く!?」
「は!?」
「何で泣いてるんだ!?僕には君が泣いてるのがわかるんだ!指の鎖を通して危機を知らせる!」
と言う。そういうこと!?自分で嵌めておきながら!
「あの…ちょっとトイレに行きたいんですけど!」
と言うとクリスは…爆速で鎖の縛りを解いて私はとりあえずトイレへと向かった!
あ、危ない!今はトイレに行けることに感謝だわ!!
とりあえずトイレを済ませて戻ると…クリスはトントンとなんか料理をしていた!!
そしてきっちり自分のと私のを作り分けた。
「ありがとうクリス…」
「…………」
クリスは無言になった。そりゃ、クリスからしたら私は完全に知らない人だ。私だって本当は知らない人だし。
うーん、でもどうしよう。
「あの、クリスは魔王を…倒さないの!?」
と言うと…クリスは
「……何故僕が勇者として生まれたかはわからないが、魔王なんて倒す道理がない。しかも…まだ書ききれなかったけど…各地の魔王を全て倒してしまったら…今度は邪神が復活する設定なのを知っているから僕は魔王なんて倒したくないんだ」
と作者のみ知る事実をサラッと喋ってしまった!!
てか、じゃ、邪神復活ーー!?な、何よそれー!?
「魔王なんか簡単に殺せるが、邪神は勇者でも苦戦する戦いになる。倒した後は右目と左手足が無くなる。そう言う設定だ」
と言い、クリスは俯いた。
「折角生まれ変わったんだから…穏やかな…好きな女の子と穏やかに暮らしたかった…。なのに、君はエレアじゃないし!ふざけんなって話だ!!」
と途中からキレた。
「あの…クリス…。いえ、先生?す、すみません。私がエレアの中に転生してしまって…。それは私のせいじゃないけど…なんだか先生の理想を崩して深くショックを与えてしまいました…」
と言うとクリスは
「………それは…そうだ。僕は今まで知らない人にずっと告白したりプレゼントしたり、す、ストーカーみたいな真似をして……はあ…もう死にたい…」
とクリスは落ち込んでしまった。
「これからどうするんですか!?」
と聞いてみると
「…どうもこうも…とりあえず女神とレギオン王をぶん殴りたいな…」
「それ、絶対出てこないと思いますよ、2人とも。クリスのこと怖がっていたし」
「そうか…」
とだけ言ってクリスはご飯を平らげ皿を洗い、さっさと眠ってしまった。
結局どうするのか聞けないまま。私もとりあえず横になる。
魔王を倒しても邪神を倒してもクリスは身体を半分失い、目も片方失い、勇者の力を失い生きなきゃならないなんて確かに過酷だ。そんなこと知ってたら私だって魔王なんか倒したくないって思っちゃうわ。
でも倒さないとこの世界の平和は訪れない。しかし転生したこの世界は本当に小説通りにしないといけないのかな?確かに勇者はクリスしかいない。クリスにしかできないことだ。
「そうだわ…!」
私は閃いた。
そして次の朝朝食時にクリスに提案した。
「先生!邪神は私に倒させてくれませんか?」
「はあ!?」
とクリスは驚く。
「だって先生はこの先穏やかな生活をしたいんでしょ!?私は理想のエレアじゃないし、身体を半分失おうが、目を失おうが大したことではないわ。邪神にトドメの一撃を放つ瞬間に私と入れ替えて仕舞えば貴方は無事に生還できますよ!」
と名案を言うとクリスは
「君は…何を言ってるの!?バカなの?」
と言われた。
「アニメの見過ぎだろ?そう簡単に入れ替わることなんて出来ないし、主人公の僕が仮にもヒロイン代打の君にそんなクズみたいな真似ができるとでも!?
僕だけのうのうと無傷で生き残るなんて物語への冒涜だ!アホか!!」
「そ、そうだ、聖女の癒しの力で手とか復活できないんですか!?」
と聞いてみると
「設定では聖女の力は魔王を全て倒して邪神になる一歩手前でヒロインがほとんど勇者の回復に全力を注ぐからそれは無理だね。
邪神戦ではヒロインは役立たずだ」
と切り捨てられた。私の力って一体…。
2人とも無言で朝食を食べる。気まずい!!もう万策尽きたよー!!
「…君は僕の話を読んでたのか?えっと…ファンとかなのかな!?」
とちょっと聞きにくそうに聞いてきたので、ギクリとした!!
「えっ!?わ、私は…そ、そのー…」
「そうなのかな?な、なんなら久しぶりにサインでも書こうかな?ハハ」
となんか照れている!
ど、どうしようーー!全然全くファンじゃないーーー!
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