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クリスの願い
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ティルズの街の宿屋でクリスはまだ養生している。もうとっくに1週間経ったのだけど、私がパン粥を持ち、ノックすると小さなカタッと言う音がしてクリスが
「どうぞエレア」
と返事した。
いや、何で私だとわかるわけ!?怖っ!
「クリス…。そろそろ起き上がれるようになったよね?」
何せ毎日私は癒しの力でクリスを癒しているのだ。良くなるはずなのだ。
だけどクリスは
「いや…まだ、もう少しかかる……手がまだ動かしづらいんだ。魔力が安定してなくて」
とか何とか言いつつ、
「だからエレア…。お願いだ。食事を食べさせてくれる?」
とお願いしてくるのだ。
ていうか、絶対にこれもう仮病よね?
何故ならベッドの下に何故か鉄球みたいなのが見えた。しかも何故か少し汗ばんでいるクリス。
間違いない!クリス…私にバレないように筋トレしてる!!
絶対にもう体に異常はほぼ無いはずなのに、クリスは私にあーんと食べさせてもらいたくて仮病を使っているのである!
「クリス……。もう本当は治って……」
「ん?何のことかな?ゼェハァ!まだ全然ダメだ!エレアに看病してもらわないと僕は無理だ」
やはり。
「そい言うこと言えるくらい元気になったわね。ていうかもうご飯くらい1人で食べれるでしょ?
クリスさっきまで筋トレしてたんでしょ?幼馴染なんだから何となくわかるんだからね!?」
と言うとクリスは……
「何のことかわからない」
とスパッと言い切って顔を爆速で逸らした。
私はテーブルに食事を置き、出て行こうとしたら
「え。エレア食べさせて!」
「嫌よ!嘘つき!!」
甘えるんじゃ無いわよ!!
と部屋を出ようとしたらいつものオシリア様とレギオン王が現れた。
オシリア様は相変わらず完全防御の鎧を身に纏っていた。
『おお、クリス!良くなってきたではないか!!魔力も元通り完璧じゃ!!流石光の勇者じゃな!!』
と言うレギオン王にクリスは睨みつけ
「は?どこが?まだ全然回復してないんだが?ジジイ、てめえボケてるんじゃ無いのか?僕の魔力量はまだ半分以下で全然動けないんだよ!」
と言うとレギオン王はビクっとしてチラッと私の方を見て
『あ、あああ……そ、そうじゃな。す、すまん、最近目がちょっと悪くてのう…』
「目医者に行ったらどうだ?」
とクリスがすかさず言う。
レギオン王は縮こまってしまった。
『クリス……。闇の勇者を封印したあなたの功績を讃え女神から望みを一つ叶えてあげましょう』
「の、望みだと!?」
クリスは私の方をチラチラ見ている。
まずい!まずいわ!!絶対私関連の何かをお願いする気だわ!!
『えーと、ただしエレアのこと以外で!』
とオシリア様が私の事を気遣ってくれた。
「こういうのは何でもと相場が決まっているのにずるいぞ!このクソ女神!!」
『ぴぇぇん!!酷い!!私はエレアが可哀想だと思ってのことなのに!』
「オシリア様…」
私はオシリア様の背中をさする。
「ず、ずるいぞ!エレア!俺の背中なんてさすってくれたことないのに!こんな女神なんかに!!」
『こんなとは失礼な!!叶えてあげませんよ!?そんな態度では!』
「そうよクリス!折角オシリア様が願いを叶えてくれるって言うのに!大体クリスの背中なんてさすったらまた爆速で押し倒されたら堪らないわ!!」
と私が警戒するとクリスは
「そんな心外だ。俺は紳士で…」
「「「どこが!?」」」
と私たちはハモった。
クリスなら絶対に爆速で押し倒すだろう。
「そもそも俺の願いを叶えてくれないクソ女神には用はない」
「因みにどんな願いだったの?」
「もちろんエレアと結ばれて結婚することだ。そして子供は4人は欲しいな」
「絶対断るよ…」
と言うとクリスはこの世の終わりのような顔でがくりとした。
『ではエレアの願いは何?』
とオシリア様が言うので
「え?私何もしてないのに叶えてくれるんですか!?」
と聞くとオシリア様が久しぶりに女神の様な微笑みというか、(本当に女神だけど)をされて私もおおっ!と感動した。
これが本物の女神スマイルなのね!
『ええ、もちろん!エレアには苦労をかけましたからね。本来貴方は聖女ではないところを引き受けてくれたのですから!
さあ!何でも言って?』
と仰られたので私はクリスのジトッとした目を逸らしつつ
「で、ではその…!クリスが襲ってきても対抗できる絶対防御のバリアみたいな力が欲しいですー!!」
と言ってみた。
「エレア!そんな!!そんなに俺を拒否らなくても!!」
と青ざめるクリスに
「こうでもしないとクリスは寝込みも襲いそうだからね…」
しかしオシリア様はそれにうーんと唸った。
『残念ですがエレア。最強のクリスを阻む力は与えられません…。ごめんなさい、私、何でもと言っておいて…』
ええーー!!?
「ほらみろ。この女神には寝顔を叶える力もない。もういい、お前には何も期待しない」
とクリスは言うが
『ま、まだできることはあります!!た、例えば、『一生私の加護の力で飢えることはありません』とか『奇跡が連発します』とか『思いがけないラッキーなことが起こる』とか『災害がおきても無事でいられる』とか!』
とオシリア様が言う。
全部、気を付けて過ごせば普通に生きていけるレベルの願いだった!!
私はヒクヒクしたが折角なので
「では、とりあえずうちの村の繁栄をお願いします。冬になっても農作物が育ちまくるとか、冬も飢えないですむし、村の皆は病気一つせず元気に暮らせたら薬代もいらないですし」
と言うとオシリア様は
『まあ!もちろんよ!!エレア!貴方はやはり聖女ね!他人を思いやる素晴らしい心の持ち主です!!』
とチラッとクリスの方を見るとギロリと睨み返されたのでオシリア様は黙って目を逸らす。
「ああ、そうか。一つだけ願い事を思いついたぞ。エレアのことを除いて」
『まあ、それはなんです?』
とオシリア様が言うとクリスは
「俺をこの世界の神にしろ」
と言った。
「どうぞエレア」
と返事した。
いや、何で私だとわかるわけ!?怖っ!
「クリス…。そろそろ起き上がれるようになったよね?」
何せ毎日私は癒しの力でクリスを癒しているのだ。良くなるはずなのだ。
だけどクリスは
「いや…まだ、もう少しかかる……手がまだ動かしづらいんだ。魔力が安定してなくて」
とか何とか言いつつ、
「だからエレア…。お願いだ。食事を食べさせてくれる?」
とお願いしてくるのだ。
ていうか、絶対にこれもう仮病よね?
何故ならベッドの下に何故か鉄球みたいなのが見えた。しかも何故か少し汗ばんでいるクリス。
間違いない!クリス…私にバレないように筋トレしてる!!
絶対にもう体に異常はほぼ無いはずなのに、クリスは私にあーんと食べさせてもらいたくて仮病を使っているのである!
「クリス……。もう本当は治って……」
「ん?何のことかな?ゼェハァ!まだ全然ダメだ!エレアに看病してもらわないと僕は無理だ」
やはり。
「そい言うこと言えるくらい元気になったわね。ていうかもうご飯くらい1人で食べれるでしょ?
クリスさっきまで筋トレしてたんでしょ?幼馴染なんだから何となくわかるんだからね!?」
と言うとクリスは……
「何のことかわからない」
とスパッと言い切って顔を爆速で逸らした。
私はテーブルに食事を置き、出て行こうとしたら
「え。エレア食べさせて!」
「嫌よ!嘘つき!!」
甘えるんじゃ無いわよ!!
と部屋を出ようとしたらいつものオシリア様とレギオン王が現れた。
オシリア様は相変わらず完全防御の鎧を身に纏っていた。
『おお、クリス!良くなってきたではないか!!魔力も元通り完璧じゃ!!流石光の勇者じゃな!!』
と言うレギオン王にクリスは睨みつけ
「は?どこが?まだ全然回復してないんだが?ジジイ、てめえボケてるんじゃ無いのか?僕の魔力量はまだ半分以下で全然動けないんだよ!」
と言うとレギオン王はビクっとしてチラッと私の方を見て
『あ、あああ……そ、そうじゃな。す、すまん、最近目がちょっと悪くてのう…』
「目医者に行ったらどうだ?」
とクリスがすかさず言う。
レギオン王は縮こまってしまった。
『クリス……。闇の勇者を封印したあなたの功績を讃え女神から望みを一つ叶えてあげましょう』
「の、望みだと!?」
クリスは私の方をチラチラ見ている。
まずい!まずいわ!!絶対私関連の何かをお願いする気だわ!!
『えーと、ただしエレアのこと以外で!』
とオシリア様が私の事を気遣ってくれた。
「こういうのは何でもと相場が決まっているのにずるいぞ!このクソ女神!!」
『ぴぇぇん!!酷い!!私はエレアが可哀想だと思ってのことなのに!』
「オシリア様…」
私はオシリア様の背中をさする。
「ず、ずるいぞ!エレア!俺の背中なんてさすってくれたことないのに!こんな女神なんかに!!」
『こんなとは失礼な!!叶えてあげませんよ!?そんな態度では!』
「そうよクリス!折角オシリア様が願いを叶えてくれるって言うのに!大体クリスの背中なんてさすったらまた爆速で押し倒されたら堪らないわ!!」
と私が警戒するとクリスは
「そんな心外だ。俺は紳士で…」
「「「どこが!?」」」
と私たちはハモった。
クリスなら絶対に爆速で押し倒すだろう。
「そもそも俺の願いを叶えてくれないクソ女神には用はない」
「因みにどんな願いだったの?」
「もちろんエレアと結ばれて結婚することだ。そして子供は4人は欲しいな」
「絶対断るよ…」
と言うとクリスはこの世の終わりのような顔でがくりとした。
『ではエレアの願いは何?』
とオシリア様が言うので
「え?私何もしてないのに叶えてくれるんですか!?」
と聞くとオシリア様が久しぶりに女神の様な微笑みというか、(本当に女神だけど)をされて私もおおっ!と感動した。
これが本物の女神スマイルなのね!
『ええ、もちろん!エレアには苦労をかけましたからね。本来貴方は聖女ではないところを引き受けてくれたのですから!
さあ!何でも言って?』
と仰られたので私はクリスのジトッとした目を逸らしつつ
「で、ではその…!クリスが襲ってきても対抗できる絶対防御のバリアみたいな力が欲しいですー!!」
と言ってみた。
「エレア!そんな!!そんなに俺を拒否らなくても!!」
と青ざめるクリスに
「こうでもしないとクリスは寝込みも襲いそうだからね…」
しかしオシリア様はそれにうーんと唸った。
『残念ですがエレア。最強のクリスを阻む力は与えられません…。ごめんなさい、私、何でもと言っておいて…』
ええーー!!?
「ほらみろ。この女神には寝顔を叶える力もない。もういい、お前には何も期待しない」
とクリスは言うが
『ま、まだできることはあります!!た、例えば、『一生私の加護の力で飢えることはありません』とか『奇跡が連発します』とか『思いがけないラッキーなことが起こる』とか『災害がおきても無事でいられる』とか!』
とオシリア様が言う。
全部、気を付けて過ごせば普通に生きていけるレベルの願いだった!!
私はヒクヒクしたが折角なので
「では、とりあえずうちの村の繁栄をお願いします。冬になっても農作物が育ちまくるとか、冬も飢えないですむし、村の皆は病気一つせず元気に暮らせたら薬代もいらないですし」
と言うとオシリア様は
『まあ!もちろんよ!!エレア!貴方はやはり聖女ね!他人を思いやる素晴らしい心の持ち主です!!』
とチラッとクリスの方を見るとギロリと睨み返されたのでオシリア様は黙って目を逸らす。
「ああ、そうか。一つだけ願い事を思いついたぞ。エレアのことを除いて」
『まあ、それはなんです?』
とオシリア様が言うとクリスは
「俺をこの世界の神にしろ」
と言った。
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