私、雨巫女らしいです

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別の世界の日比野くん!?

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 それにしても、ボロい神社だなと思った。石段には苔が生えているし、ここ数年掃除された様子が無い。周りには雑草だらけで、虫もいる。

 ようやく登り切ると、やはり人がいる気配はないし、社も木が朽ちていたり修繕された後は見られない。

「潰れたのかな?」
 賽銭箱は一応ある。ボロボロだし、上についてる鈴?は無くなってるし、紐も色褪せて汚い……。

 それでもとりあえず5円玉を出して賽銭箱に入れて私は手を合わせた。

 《どうか、雨女なんて呼ばれなくなりますように!!》

 と願うと……。

 社の奥から何か一瞬光り、

 ガタンッ!

 と物音がしてビクッとした!

 な、何!?

 ま、まさか野生動物!?

 狸、猪、ハクビシン、鹿、猿!?
 ま、まさか熊じゃないよね!?

 さ、最近ニュースでたくさん見るもん!人間のせいで山に餌がなくて野生動物が街の方に出て人間を襲うって言う!!


 ひ、わ、私みたいなひ弱な女子高生は食べられてしまうう!!
 折りたたみ傘くらいしか武器は無い!

 ギシギシと社から歩く音が聞こえて、私は逃げなきゃと思いつつ恐怖で動けない!!

 学校サボった罰だあああ!!

 そして社の扉がゆっくりと軋みながら開いた!!


「ひいーーー!!」
 思わず、腰が抜けてしゃがみ込んだ!!


 するとそこには……。

「……巫女様!?」

 と声をかけてくる見覚えある爽やかな男の子!

 しかもなんか、神職の人が着る様な装束?を着てるし!

 あ、袴はわかる!紫の袴だ。後、草履履いてるし!


「え?日比野くんだよね?」

 恐る恐る聞いて見ると……。

「ん!?僕の事をご存知で?
 ……ああ!成る程!!こっちの世界の僕とお知り合いなのですか!?巫女様!!」
 となんか日比野くんがわけわかんない事言ってるし、どうしてここに居るのかも社から出てきたのもわからない!

「ひ、日比野くんも学校さ、サボったりしたの!?」
 と聞くと彼はにっこり笑い

「すみません、巫女様。それは多分、こちらの世界の僕の事ですよね?」
 と言った。

「こ、こちらの世界って……!な、何のこと!?」
 すると日比野くんは振っている雨を見て震えた。


「ああ!!雨だ!!雨が降っている!!」
 と喜んでいた。
 雨くらいで何!?
 ていうか、私が雨女だから……。

「やはり、巫女様のお力ですね!!」
 といきなり日比野くんが距離を詰め私の手を握った!!

 んぎゃーーー!?

「……さっきから巫女様とか他の世界とか何?

 わ、私何かしましたか?ごめんなさい!」
 と一応謝ると日比野くんは、

「ふふふ、すみません。僕はこの世界の住民では無く、別の世界の……。

 並行世界から来た日比野充です。そちらの世界では神職についておりまして、儀式に望みをかけこちらに参った次第です!」

 と日比野くんが言う。

「……」

 なんて言ったらいいのか。
 いやいや、流石に無い。そんな非現実的な事!日比野くんからかってるのかな!?

 まさかね。

「信じられないでしょうね。まあ、当然ですが。

 しかし僕は、この世界にいる巫女様を連れて元の世界に戻らねば、我が世界は雨が降らず、人類滅亡の危機にあるのです!!

 どうか巫女様!一緒に来てください!貴方が来るだけで我が世界は水の恵みを得ておろかな殺し合いも無くなり、繁栄します!」
 と日比野くんが真剣な顔して言う!

「えと……、その、も、もう学校行きますから許してください」
 と言うと、日比野くんは勾玉みたいなのを取り出した。

『大丈夫ですか?充くん』
 とそこから男の人の声がしてビビった!!勾玉型のボイスレコーダー?それともトランシーバー?電話!?

「大丈夫です。無事に着きました。巫女様にも会えました!信じてない様ですが、説得します!」
 と言っている。

『おお、そうか!巫女様が居るのだな!!それでは巫女様の準備が整い次第、こちらへ連絡をくれ!

 こちらも繋げよう!!』

「わかりました!神官長様」
 と日比野くんは言う。

 いやいやいや、なんかの劇!?撮影!?ドラマ?日比野くん芸能人でもおかしく無いし、撮影でどこかにカメラあるの!?

 しかし、人の気配がしないことはわかってる。

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