お人形令嬢の私はヤンデレ義兄から逃げられない

白黒

文字の大きさ
19 / 20

23歳と25歳②(レイモンド)

しおりを挟む
「レイア…今日は可愛いドレスを着ようね…」
と用意したドレスをレイアに着せていく。

「ありがとうお父様。レイアも嬉しいわ」
とレイアも嬉しそうだ。可愛い僕の娘のレイア…。どこにも行かないでね。
何故かいつも何処かへ行っちゃう気がして僕は心配なんだ。

仕事を終わらせるとアリスがノックして入ってきた。お腹には第二子がいるのに無理しちゃダメだと言うと

「お疲れ様です。レイモンド様…。あの…話があるの…」
と言う。

「何?どうしたの?」

「レイア…入りなさい。貴方のお父様よ」
と言う。?何?
レイアによく似た5歳くらいの少女が入ってもじもじしている。

「?この子は?」
と言うとアリスは

「レイモンド様…落ち着いて?この子は私達の子よ?見つかったの!お金を使ってごめんなさい。この子を…取り戻す為に必要だったの!」
と言うアリス。
え?
何言ってるんだろう?レイアはここにいるのに?
レイアに似たこの子に何を言ってるの?アリス。

「アリス?レイアはここにいる。その子は誰?」
と言うとアリスは

「レイモンド様!!しっかり見て!貴方が抱えているのはドールなの!!本物のレイアはこちらにいるの!」
と言う。
頭がグワングワンと揺れた。え!?
何?
レイア…!?
女の子の瞳と目が合う。

頭の霞からレイアが誘拐された時の記憶が蘇る。必死で探しても何も見つけられない日々に心が折れそうになり僕はドールの部屋を開けたらレイアがそこにいて笑って……いや……

それは全部僕の見た幻で…僕はずっと現実から逃げていた。

「うわあああああああ…レイア!!うううっ!あああ!」

「レイモンド様!!レイモンド様!!」
とアリスの声が聞こえてくる。
すると小さく

「お…父様…」
と声が聞こえた。

小さな手で僕の頰に触れる。

「うっ…うう、レイア!?レイアなのか!?本当に!?本当に本物の!?」
と僕はドールを床に置いてしがみ付くとレイアは

「お父様……お父様!!」
と泣いた。
アリスも泣き三人で抱き合う。


僕はようやく正気に戻った。
この数ヶ月間アリスにはとても心配をかけた。夢から覚めたようで詳しく話を聞き、アリスと二人で育て親の元を訪ねた。
母親のエルネは茶髪で目も緑で元気が無く父親もゲッソリと貧しかった。そして二人は話始めた。

「侯爵様のお子様を誘拐するだなんて…。とんでもない罪をおかしました。妻が…病気で子供が出来なくてその事を昔の友人のラームという奴に相談したんです…そしたら俺に任せとけって…ある日…レイア様を連れて来られ…その子を育てろって…」

「侯爵家に現れたあの男ね…。私はあいつにお金を支払ったけど…その男は今どうしてるの?」

「わかりません…。5年経ちいきなりまた現れて…子供をレイア様を連れて行ったきり…妻は泣き私も消沈しました。レイア様は元気でしょうか?」
と語った。

「…お金は持ち逃げされたのね…貴方達は利用されただけね。それでも私達に子供を返さなかった罪は重いわ」
と言うアリス。それでもあの子の腕についた痣が僕と重なった。自分の子供にはそんな目に遭ってほしくなかったのに!

「…あの子に傷をつけたのは貴方達ですか?」

「いいえ!そんな!!全部…ラームです!時々やってきてレイア様が大きくなるとたまにやってきて…それで…」
と父親は目を伏せた。

「見てみぬふりを!?どうして?自分の子じゃないから?」
怒りが抑えられなくなりそうだ。

「ひ!違います!私も庇おうとしましたが…!ラームは…む、昔の罪を密告すると言い逆らえなくて…」

「脅されていたのですね…。それでも子供だ。許せない!」
と僕は怒りで震えた。アリスは僕の手を握ると

「貴方達にも罪はある。それなりの償いはしてもらいます!もちろんラームについては指名手配を行います。それでいいですね?」
と言うと育て親達はうなづいた。

「なんなりと…」
とガクリと頭を垂れた。

「うちの領地で水路を建設する予定があるのでその工事を手伝って欲しいの。人員不足だから。レイアも連れて視察に行く事もあるでしょう…」
と言うと育て親達は驚き涙を流しお礼を言った。

「レイア様にまたお会いできる!奥様!!ありがとうございます!!仕事まで!!」

「きちんと働いて…奥さんももっとマシなものを食べて栄養をとる事よ」
と言うと奥さんも涙してお礼を言った。

帰りの馬車で僕は不機嫌だった。

「レイモンド様?」
アリスが困ったような顔をする。

「アリスは甘いよ!もっと苦しめてやろうと呪ってやろうと思っていたのに!!」
とぷんぷんした。アリスが優しくて僕より寛大なのはわかるけど…。

「レイモンド様…この5年確かに私も苦しんだけど…レイアは戻ってきました。それにこの子も産まれたら今度こそ離さずレイアと一緒に幸せになりましょう!

もう…悲しみはたくさんです。…痛みは家族で幸せに変えましょう!」
そう言われると僕は弱い。

「わかった…確かにもう悲しみを我慢するのはたくさんだ。これからは僕も良い父親になり産まれてくる子もレイアの事も癒せるよう努めるよ…アリスとお義父様が昔僕を癒してくれたように」
でもあのラームという男は許せない!

僕はジョルジュの知り合いである呪術師を呼ぶ。

「これはアリスには内緒にしてくれる?ジョルジュさん」

「はい旦那様…。もちろんです」
と儀式を行いラームと言う男を呪った。

すると数ヶ月後にとある集落の村の川でラームが死んで発見されたと言う。
アリスは報いが起きたのねと言った。

「アリス…大丈夫?」
お腹が大きくなりもう数日でお産予定のアリスだから心配かけさせたくなかったけど

「大丈夫よ。むしろスッキリしたわ。お金を持ち逃げされたけど神様が罰を与えてくださった。レイモンド様…私はそれで充分です」
と言った。ごめん呪いました。とは言えずアリスは数日後に元気な男の子を産んだ。

レイアと共に可愛い赤ん坊を見る。

「レイアの弟だよ!」
とニコリと言うとレイアはクマの人形を抱きしめ

「おとうと…可愛い…」
と呟いた。そしてニコリと笑い

「早く大きくなってね!!」
と笑った。
子供にはハリソンと名付け可愛がった。


それから数年…レイアとハリソンがすくすく大きく育ち、僕とアリスは歳を取る。なんの疑いもなく。

そう、レイアが本当は僕達の子供ではないことは僕達には知り得なかった事で…僕とアリスが事故に遭い死にかけた頃ようやくレイアが重い口を開き

「今迄ありがとうお義父様、お義母様…。私本当は…レイアじゃないの…偶然はアリス様の子供の頃に似ていたからラーム叔父さんに目を付けられ…この家に入り込んだだけ…。でも裕福な暮らしができて良かったし、可愛いお義弟もできた…。

ありがとう二人とも安らかに眠ってね」
と手を組んだところを僕達はぼんやりと眺めたけど

「レイア…僕達…の娘…し…あわせに…」
と頭を撫で僕の意識は無くなった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

じゃない方の私が何故かヤンデレ騎士団長に囚われたのですが

カレイ
恋愛
 天使な妹。それに纏わりつく金魚のフンがこの私。  両親も妹にしか関心がなく兄からも無視される毎日だけれど、私は別に自分を慕ってくれる妹がいればそれで良かった。  でもある時、私に嫉妬する兄や婚約者に嵌められて、婚約破棄された上、実家を追い出されてしまう。しかしそのことを聞きつけた騎士団長が何故か私の前に現れた。 「ずっと好きでした、もう我慢しません!あぁ、貴方の匂いだけで私は……」  そうして、何故か最強騎士団長に囚われました。

天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎ ギルドで働くおっとり回復役リィナは、 自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。 ……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!? 「転ばないで」 「可愛いって言うのは僕の役目」 「固定回復役だから。僕の」 優しいのに過保護。 仲間のはずなのに距離が近い。 しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。 鈍感で頑張り屋なリィナと、 策を捨てるほど恋に負けていくカイの、 コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕! 「遅いままでいい――置いていかないから。」

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

【完結】死の4番隊隊長の花嫁候補に選ばれました~鈍感女は溺愛になかなか気付かない~

白井ライス
恋愛
時は血で血を洗う戦乱の世の中。 国の戦闘部隊“黒炎の龍”に入隊が叶わなかった主人公アイリーン・シュバイツァー。 幼馴染みで喧嘩仲間でもあったショーン・マクレイリーがかの有名な特効部隊でもある4番隊隊長に就任したことを知る。 いよいよ、隣国との戦争が間近に迫ったある日、アイリーンはショーンから決闘を申し込まれる。 これは脳筋女と恋に不器用な魔術師が結ばれるお話。

婚約者は冷酷宰相様。地味令嬢の私が政略結婚で嫁いだら、なぜか激甘溺愛が待っていました

春夜夢
恋愛
私はずっと「誰にも注目されない地味令嬢」だった。 名門とはいえ没落しかけの伯爵家の次女。 姉は美貌と才覚に恵まれ、私はただの飾り物のような存在。 ――そんな私に突然、王宮から「婚約命令」が下った。 相手は、王の右腕にして恐れられる冷酷宰相・ルシアス=ディエンツ公爵。 40を目前にしながら独身を貫き、感情を一切表に出さない男。 (……なぜ私が?) けれど、その婚約は国を揺るがす「ある計画」の始まりだった。

治療係ですが、公爵令息様がものすごく懐いて困る~私、男装しているだけで、女性です!~

百門一新
恋愛
男装姿で旅をしていたエリザは、長期滞在してしまった異国の王都で【赤い魔法使い(男)】と呼ばれることに。職業は完全に誤解なのだが、そのせいで女性恐怖症の公爵令息の治療係に……!?「待って。私、女なんですけども」しかも公爵令息の騎士様、なぜかものすごい懐いてきて…!? 男装の魔法使い(職業誤解)×女性が大の苦手のはずなのに、ロックオンして攻めに転じたらぐいぐいいく騎士様!? ※小説家になろう様、ベリーズカフェ様、カクヨム様にも掲載しています。

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛

らがまふぃん
恋愛
 こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。10~15話前後の短編五編+番外編のお話です。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。※R6.5/18お気に入り登録300超に感謝!一話書いてみましたので是非是非! *らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。 ※R7.2/22お気に入り登録500を超えておりましたことに感謝を込めて、一話お届けいたします。本当にありがとうございます。  ※R7.10/13お気に入り登録700を超えておりました(泣)多大なる感謝を込めて一話お届けいたします。 *らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.10/30に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。 ※R7.12/8お気に入り登録800超えです!ありがとうございます(泣)一話書いてみましたので、ぜひ!

処理中です...