推しにリアルに恋してる。

白猫

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特典映像 インタビュー

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ーーーはじめにファンの皆さんへ一言どうぞ。


「僕たちkasisの三枚目のアルバムを手にとっていただき、この特典映像を見ていただいて、ありがとうございます!伊原律、19歳です」



ーーー律くんにとって、このアルバムのおすすめポイントはなんですか?


「今回のアルバムはポップな曲からバラード系まで幅広く入っているんですが、どれも気持ちが上向きになる曲ばっかりってことですね。五人で話し合って、どの曲を入れるか選んだんです。自信作ですよ!」



ーーー律くんが作詞を担当した曲もあるとか?


「そう、実は……。五曲目の【眠り姫】はメンバーの悠真くんがタイトルを考えてくれて、二人で作詞しました。初の試みで、詩を書くのが最初は恥ずかしかったんですけど、いつの間にかどんどん気持ちが入り込んでいって。最終的に、いい曲になったなあって思います」



ーーー全体を二人で考えたんですか? それともパートごとに分けて?


「一番は悠真くん、二番は全部僕が考えました。最後に話し合って少しずつ手直しをして、完成させたという感じです。でも曲に対するイメージがお互い合っていたので、全体を通して素晴らしい曲になりました。それをメンバー五人で歌うというのもまた、なんとも言えない感動があって……最高の気持ちです」



ーーーファンの皆さんにも絶対その思いが届きますよ。


「たくさん聴いて、曲に込めた思いを感じ取ってもらえたら嬉しいです!」



ーーーところで律くん、最近どんどんかっこよくなってますよね?


「ありがとうございます。めちゃめちゃ嬉しいです。噂ではネットで整形疑惑も出ているとか……? ふふっ」



ーーーそんな疑惑が?


「あ、してないですよ、もちろん! 成長中なので、きっとまだまだ進化します。止まらない僕を見ていてください!」



ーーーとっても楽しみですね。じゃあ最後に、ファンの皆が気になる、伊原律の恋愛観について語ってください。


「え!? インタビューの最後、それ!? ……んー……僕はけっこう奥手なので、自分からはあんまり行けないタイプです。……うわ、自分で言ってて女々しい……。でも、ファンレターとかもそうなんだけど、僕が知らないあいだに僕のことを考えていてくれるっていうのが、一番幸せなことだと思うから。僕のこと、たくさん思い出して欲しいな。会えないときも心で繋がっていられるみたいな、そういう恋愛が理想です」




***



活動休止のお知らせから一ヶ月が経った。直前に発売されたアルバムの特典映像は、内容を暗記してしまうほど繰り返し見た。夜道を歩きながら、律くんの応答を反芻し、思いを巡らせる。


『僕のこと、たくさん思い出して欲しいな』


いま、私にできることはそれしかない。毎日律くんのことを考えること。幸せを願うこと。無理はして欲しくないので、活動は二の次でいいから、とにかく一刻も早く元気になって笑ってもらいたい。


休止のメールが届いた日は、あまりにも辛くて死すら覚悟したが、再開の日まで死ぬ気で生きなくてはならないため、私は現実逃避することを覚えた。会社で仕事をする以外の時間は、kasisのファンになる前からの唯一の趣味だった読書に全力でのめり込んでいる。


今日も仕事帰り、図書館への道をとぼとぼと歩く。律くんのことを考えながら。


私のように彼の健康と幸せを願うファンの思いが、キラキラした魔法のような光になって、残らず律くんに届けばいい。そんなことを願いながら。


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