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プロローグ

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(---ああ、私はまたやり直してしまうようだ)

 不意に浮上した意識の中で、ぼんやりとそんなことを考える。
 意識だけが漂っているこの状態で初めて目覚めた時には恐怖したものだ。
 何も見えず、暑さも寒さも感じず、手も足の感覚もないこの無防備な状態は、自分の全てを曝け出しているようだ。

 前回は何を失敗してしまったのだろうか、分岐点はどこだったのだろうか。
 何度やり直せばこのやり直しは終わるのだろうか、今度こそ、人生を全うすることができるだろうか。

 再び沈んでいく意識の中、願わずにはいられなかった。

(今度こそ、幸せに---)
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