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【7】伝説とは、痕跡を見てその姿を想像することしかできない

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「【ワーム】ノスミカイッテ、ドースル?」

 骨ピは魔女に問いかけた。
 ただ、なんとなく察(さっ)しはついている。

「?最初から言ってるじゃない。たまご採(と)って食べるのよ。本体をつかまえられたら、なおいいわね」
「「エ!?」」

 魔女からの返答に対し、思わず骨ピとウンラロは声を揃(そろ)えた。
 【長虫(ワーム)】の血肉は不老長生の秘薬の原料になる…と伝えられているが、あくまで伝説にすぎない。ただ地面を掘り進むだけの生き物の血肉に、そんな効能がある訳が無い。しかも【長虫(ワーム)】は大きいものになると、口の大きさはゴブリンの単位で言うと『背丈(せたけ)三人分』、体の長さは『凡(およ)そ歩幅(ほはば)100歩分』もあるのだ。捕(つか)まえられる訳がない。
 そもそも、【長虫(ワーム)】を見たことがある者など、洞窟を住処(すみか)とする者の中でも非常に稀(まれ)である。骨ピもウンラロも【長虫(ワーム)】の実物を見たことがなく、ただ伝説で語られる姿と【長虫(ワーム)】の残していった螺旋状に刳(く)り貫かれた洞窟の穴を見て、その姿を想像することしかできない。数々の状況証拠によって実在は確認されているが誰も見たことがない、いわば『幻の生き物』と言ってよい。
 そんなものを、どうやって見つけて『たまご』を手に入れるというのだ……。


To Be Continued.⇒【8】
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