MEMOVERUS ~幻異界転生~

中島 弓夜

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第六章 コールダスク 18歳

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マラーニャは、蜘蛛《くも》が吐き出すような白い糸を伝って頭上から下りて来た。

「……おまえはスパイダーマンか」
「うっせぇ! いきなり著作権ちょさくけんに引っ掛かりそうなこと言うんじゃねぇよ。こいつはアタイの特技の一つなんだ」
「55階の床に穴を開けたのはおまえか?」
「テメェらがあんまり遅いんで、爆弾でふっ飛ばしてやったぜ。お陰で手間がはぶけただろう?」
「まあな。おまえがこらえ性のない性格で助かったよ」
コールダスクは日本刀の切っ先をマラーニャに向け、さらに質問を重ねる。
「……それから聞きたいことがある。あの子供たちに何をした?」
「ああん? どの子供だよ?」
とぼけるんじゃねぇよ、俺たちを襲った子供たちだ!」
「いや~ん、怒らないでよコールちゃん。顔真っ赤っ赤で茹蛸ゆでだこみたいになってるよ~」
「質問に答えろっ!」
「黙れよカスが! あれはアタイの精鋭部隊なんだよ。原生種を寄生させた子供たちの体をバラバラにして、パズルみたいに組み合わせたんだ。見た目も可愛くて萌え萌えしただろ?」
「貴様……っ!」
「な~に正義感ぶってんだ、このガキ! 忘れたのかよ? アタイら悪しき者は、ネガティブな感情を喰らう存在なんだぜ。子供の感情は純粋だから大好物なんだ。きったねぇ大人の感情ばかり喰らってると、反吐へどが出るからな」
「痛みや苦しさも純粋だから大好物だと?」
「そういうこと~」

その言葉を聞き、コールダスクは怒りで蟀谷こめかみ青筋あおすじが立つ。

「やはりおまえは倒すべき存在だ。もう容赦はしない」
「キャハハハ、いいねいいね! そう来なくちゃ張り合いがねぇよな」

――バシュ!

マラーニャが高笑いしたその時、コールダスクは日本刀を横に素早く振り払い衝撃波を放つ。
不意を突かれたマラーニャは慌てて横跳びし、かろうじて衝撃波をかわしたが、その威力で吹き飛ばされて壁に激突した。
見ると、壁に埋め込まれた人間が何人か潰れてしまい、肉塊にくかいと化してしまう。

「て……テメェ、卑怯だぞ! 喋っている間に、エネルギーを溜めやがったな」
「卑怯もクソもあるか。これは子供たちの痛みだ、思い知れ」
「ケッ! そう来るならアタイだってやり返しちゃうから!」

マラーニャの指先から白い糸が吐き出され、それは鞭のようにしなってコールダスクに襲い掛かった。
コールダスクは、何本かの糸を日本刀で切り落としたが、数が多いため避け切れそうにない。
「危ねぇ! 俺が切り落としてやる」
すると門脇が横から加勢かせいし、子供が持っていたファルシオンを使って、残りの白い糸を切断した。

「……はあ? おいおい、1対2とは聞いてねぇぞ。テメェらズルばっかで冷めるわ」
「こっちはいい勝負なんか望んでない。おまえみたいな子供を苦しめるゲスい野郎に、正々堂々とする必要なんてないからな」
「だ・か・ら、アタイは悪しき者の刺客だっての! 子供を標的にして何が悪いのさ?」
「残念だったな。今の日本は少子化が進んでいるから、おまえもさぞ寂しかろう」

――その言葉を聞き、マラーニャは大声で笑い出す。

「ギャハハハハハハ! 馬鹿かテメェは! 因果関係が逆なんだよ」
「……なんだと?」
「アタイたちは、転生の連鎖れんさを歪ませるのも仕事の一つなんだよ。キッショイ国づくりをしてれば、幽界にストックされたピュアな人の子の魂が転生を拒むのさ。その魂たちはどうなるか知ってるか? 停滞した魂はどんどんよどんで、より強欲な国家へと流れちまうんだ。そうして地球は、文明の潰し合いが起こりやすい環境になるってワケよ」
「おまえの言う、キッショイ国づくりとはなんだ?」
「政治家、インフルエンサーとか、やたら声のデカイ変人を育てりゃいい。そいつらの影響力は、ネットの力を借りて広まりやすい時代だからね~」
そしてマラーニャは話すのを止め、再び指先から何本かの白い糸を垂らした。

「……さて、お喋りは飽きちゃった。こっちはテメェらを殺したくてウズウズしてんだ、行くよっ!」
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