15 / 85
第一章 穂積海斗 22歳
旧神楽坂駅周辺
しおりを挟む
市街地を車で走ると、建物の多くが爆撃を受けたのか深い傷跡が残っている。
自分が見慣れた光景とはかけ離れており、海斗は街の景色が通り過ぎる度に陰鬱な気持ちになった。
「これが今の東京……」
「かろうじて『東京』という名前は残っているけど、地名のほとんどは改名されているか番号制になっている。ここは神楽坂駅周辺だと思われるが、現在はメトロ東西線85番地区と呼ばれているな」
――そんな話をしていると前方に何台かの戦車が現れ、こちらに向かって迫って来た。
「マズイな……」
「どうする七奈美さん?」
「引き返して奴らが通り過ぎるまで待とう。無用な戦闘は避けたい」
だがそんな願いも空しく、戦車はこちらへ向かって砲撃した。
「くそっ、見つかったか! 仕方ない、バックして逃げるぞ」
七奈美はバックしながら車を180度回転させ、思い切りアクセルを踏んだ。
少し気付くのが遅れていたら、戦車の砲弾がこの車に届いていたかもしれない。
「……砲弾は避けましたが、何台かの車が後ろから追って来ますね」
「カーチェイスでもやる気か? 私はそれほど運転が得意ではないぞ」
七奈美は愚痴を言いながらハンドルを切り、主要道路を避けて左の脇道へと入った。
「こんな道に入って大丈夫ですか七奈美さん?」
「大丈夫だ、この辺りの地図なら頭に入っている。軍部に所属する人間になると、都市部の地図を覚えるのは必須だからな」
「……軍部に所属って?」
「この体の娘の話だ。貴様と出会う前は軍人の一人として参戦していたらしい」
そして脇道を進むと別の主要道路に出た。
しかし相手が悪かったのか、行き先を何台かの車で封鎖しており、すでにアサルトライフルを手に持って待ち構えている者が数十人いる。
「待ち伏せされたな……」
「あの……人を殺してもメモヴェルスの力でなんとかなるんですよね?」
「何が言いたい?」
「背に腹は代えられないってやつですよ」
海斗はドアを開け、車から外へ出た。
海斗が両手を上げたため、先頭でライフルを構えていた軍人二人はこちらに歩み寄って来る。
遮蔽物からその軍人が出たことを確認した海斗は、リボルバーをホルスターから取り出して二人を一瞬で射殺した。
「敵の発砲を確認!」
「総員、一斉に射撃せよ!」
先頭の二人が倒れたのを確認すると、後方の車両で身を隠していた軍人たちが、一斉に海斗へ向かってライフルの弾を浴びせた。
海斗は飛び交う銃弾をかわし、建物の壁に前転しながら隠れる。
射殺した軍人のアサルトライフルを奪った海斗は、マガジンを取り出して弾の残数を確認した。
(前方に三人、右側建物のエントランスから狙う男が二人、それから非常階段で上から銃を構える奴もいたな……)
海斗はライフルにマガジンを装着し、壁の端から顔を出して前方の三人を撃った。
パン、パン、パパンと音が鳴ると、前方で銃を撃っていた三人の軍人は、海斗のアサルトライフルで頭を貫かれて絶命する。
あまりの射撃精度に、エントランスで銃を構えていた男二人に混乱が生まれ、その隙を見逃さずに海斗は壁から飛び出し、非常階段で待ち構えていた男を射殺した。
(あ……エントランスの二人は移動したな)
……どうやら一時退却したらしい。
海斗は七奈美の運転する車に戻り、射殺した人数を報告する。
「5人ほど殺しちゃいましたけど、ちゃんと生き返るんですよね?」
「少し待て、今やってる……終わったぞ」
体から微量な光が発せられ、七奈美は閉じていた瞼を開けた。
海斗は窓から外を見ると、すでに5人の死体が消えていた。
「5人も過去を書き換えるのは手間が掛かるんだ。それに体力の消耗も激しくなる。今度は事前に相談してくれ」
「相談する時間もないような気が……また人数を増やしてこちらへ迫って来たみたいですよ」
100mほど道路の先を見ると、先ほど退却した二人が仲間を引き連れてこちらへ向かっている。
「仕方がない、車を捨てて下水へ逃げよう」
「うえ……エグいわ」
車から降りた海斗と七奈美は、近くにあったマンホールの蓋を開けて地下の下水道に向かった。
自分が見慣れた光景とはかけ離れており、海斗は街の景色が通り過ぎる度に陰鬱な気持ちになった。
「これが今の東京……」
「かろうじて『東京』という名前は残っているけど、地名のほとんどは改名されているか番号制になっている。ここは神楽坂駅周辺だと思われるが、現在はメトロ東西線85番地区と呼ばれているな」
――そんな話をしていると前方に何台かの戦車が現れ、こちらに向かって迫って来た。
「マズイな……」
「どうする七奈美さん?」
「引き返して奴らが通り過ぎるまで待とう。無用な戦闘は避けたい」
だがそんな願いも空しく、戦車はこちらへ向かって砲撃した。
「くそっ、見つかったか! 仕方ない、バックして逃げるぞ」
七奈美はバックしながら車を180度回転させ、思い切りアクセルを踏んだ。
少し気付くのが遅れていたら、戦車の砲弾がこの車に届いていたかもしれない。
「……砲弾は避けましたが、何台かの車が後ろから追って来ますね」
「カーチェイスでもやる気か? 私はそれほど運転が得意ではないぞ」
七奈美は愚痴を言いながらハンドルを切り、主要道路を避けて左の脇道へと入った。
「こんな道に入って大丈夫ですか七奈美さん?」
「大丈夫だ、この辺りの地図なら頭に入っている。軍部に所属する人間になると、都市部の地図を覚えるのは必須だからな」
「……軍部に所属って?」
「この体の娘の話だ。貴様と出会う前は軍人の一人として参戦していたらしい」
そして脇道を進むと別の主要道路に出た。
しかし相手が悪かったのか、行き先を何台かの車で封鎖しており、すでにアサルトライフルを手に持って待ち構えている者が数十人いる。
「待ち伏せされたな……」
「あの……人を殺してもメモヴェルスの力でなんとかなるんですよね?」
「何が言いたい?」
「背に腹は代えられないってやつですよ」
海斗はドアを開け、車から外へ出た。
海斗が両手を上げたため、先頭でライフルを構えていた軍人二人はこちらに歩み寄って来る。
遮蔽物からその軍人が出たことを確認した海斗は、リボルバーをホルスターから取り出して二人を一瞬で射殺した。
「敵の発砲を確認!」
「総員、一斉に射撃せよ!」
先頭の二人が倒れたのを確認すると、後方の車両で身を隠していた軍人たちが、一斉に海斗へ向かってライフルの弾を浴びせた。
海斗は飛び交う銃弾をかわし、建物の壁に前転しながら隠れる。
射殺した軍人のアサルトライフルを奪った海斗は、マガジンを取り出して弾の残数を確認した。
(前方に三人、右側建物のエントランスから狙う男が二人、それから非常階段で上から銃を構える奴もいたな……)
海斗はライフルにマガジンを装着し、壁の端から顔を出して前方の三人を撃った。
パン、パン、パパンと音が鳴ると、前方で銃を撃っていた三人の軍人は、海斗のアサルトライフルで頭を貫かれて絶命する。
あまりの射撃精度に、エントランスで銃を構えていた男二人に混乱が生まれ、その隙を見逃さずに海斗は壁から飛び出し、非常階段で待ち構えていた男を射殺した。
(あ……エントランスの二人は移動したな)
……どうやら一時退却したらしい。
海斗は七奈美の運転する車に戻り、射殺した人数を報告する。
「5人ほど殺しちゃいましたけど、ちゃんと生き返るんですよね?」
「少し待て、今やってる……終わったぞ」
体から微量な光が発せられ、七奈美は閉じていた瞼を開けた。
海斗は窓から外を見ると、すでに5人の死体が消えていた。
「5人も過去を書き換えるのは手間が掛かるんだ。それに体力の消耗も激しくなる。今度は事前に相談してくれ」
「相談する時間もないような気が……また人数を増やしてこちらへ迫って来たみたいですよ」
100mほど道路の先を見ると、先ほど退却した二人が仲間を引き連れてこちらへ向かっている。
「仕方がない、車を捨てて下水へ逃げよう」
「うえ……エグいわ」
車から降りた海斗と七奈美は、近くにあったマンホールの蓋を開けて地下の下水道に向かった。
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!
nineyu
ファンタジー
男は絶望していた。
使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。
しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!
リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、
そんな不幸な男の転機はそこから20年。
累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!
【完結】奪われたものを取り戻せ!〜転生王子の奪還〜
伽羅
ファンタジー
事故で死んだはずの僕は、気がついたら異世界に転生していた。
しかも王子だって!?
けれど5歳になる頃、宰相の謀反にあい、両親は殺され、僕自身も傷を負い、命からがら逃げ出した。
助けてくれた騎士団長達と共に生き延びて奪還の機会をうかがうが…。
以前、投稿していた作品を加筆修正しています。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる