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第二章 穂積海斗 21歳
デジャヴ
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海斗と八重野奈波は、しばらくボーリング場で練習し、その30分後に友達である永井が彼女を連れてやって来た。
「おいおい、もう練習してるのかよ海斗」
「おまえが上手過ぎるからな、練習しておかないと相手にならないだろ」
「なんだよ~、奈波ちゃんにいいところ見せようと思ってたのに」
「……隣に彼女連れてよくそんなこと言えるよな、おまえ」
「いいのいいの海斗君、私は慣れてるから」
横にいた永井ライアンの彼女は自嘲気味に笑った。
永井のようなハーフは日本人グループと群れることは少ないが、珍しく海斗とは気が合うため、こうして時々一緒に遊んだりする。
また彼の彼女も日本人なので、アメリカの国籍を持つ一人としては非常にレアなタイプだ。
「海斗さ、なんだか体が大きくなってないか? 筋トレでもしてるのかよ」
「え? いや……特にしてない」
……そう言われてみると急に筋肉質になったような気がする。
「奈波ちゃんという彼女がいるのにおまえ……まさかまだモテたいのか?」
「確かに逞しくなったし、ちょっとカッコ良くなったかも」
会話に加わった奈波がコロコロと笑う。
「昨日、肉でもたくさん食べたのかな? なっちゃんは俺が何を食べたか覚えてる?」
「ラーメンだったと思うけど……乗ってたチャーシューでそこまで筋肉質になるの?」
「……たぶん無理」
「まあいいや! とっととゲームを始めようぜ」
永井が海斗と奈波の二人を急かした。
そして2時間ほど遊ぶと永井のカップルと別れ、海斗は奈波を連れて近くのカフェに入った。
「くっそ~、やっぱり負けたか」
「永井君、ボーリング上手かったね~。さすがの海斗でも太刀打ちできない感じ」
「筋肉のお陰かボーリングの球が軽く感じたんだけど、コントロールはいつも通りだったわ」
「そうそう聞きたかったんだけど、いつの間に筋トレなんてしてたの?」
「……いや、本当にしてないよ」
「それに目つきも鋭くなったし、いつもの海斗と別人みたい」
海斗はスマホを取り出して、自分の姿をインカメラで映した。
画面に海斗の体や顔が映し出され、何が変わったのかマジマジと見て確認する。
「う~ん、言われてみれば少し雰囲気が変わったかもね」
「ひょっとして違う人? 入れ替わったとか?」
「……そんなオカルトじゃあるまいし。本物だよ本物!」
海斗は戸惑いながらも、笑顔を浮かべて奈波を安心させようとする。
「この話はもういいよ……これから何処へ行こうか? なっちゃんは何かリクエストある?」
「十央パークサイド・ストリートでお買い物したいかな」
「ま~た荷物持ちかよ……」
「文句言わない。私だって家事をけっこう頑張ってるんだから、ご褒美と思いなさい」
やれやれと思いながら海斗は席を立ち、店のカウンターで会計を済まそうとする。
【――海斗っ!】
その時、海斗は何処からか自分の名前を呼ぶ声が聞こえ、思わず振り返った。
「あれ……今呼んだ?」
「えっ? 呼んでないよ。こんだけ近いんだから呼ぶワケないじゃん」
「おかしいな……今度は幻聴かよ」
海斗は不服そうにぶつぶつ言いながら会計を済ませると、カフェを出て奈波と一緒に十央パークサイド・ストリートへと向かった。
目的の場所は歩いて15分のところにあり、若者で賑わうショッピング・ストリートとして、界隈でも有名である。
「着いた着いた。俺は店の外で待ってるから」
「海斗はスニーカーショップに行ったら? しばらく別行動でも大丈夫だよ」
「……じゃあアプリでメッセージを送って。すぐに飛んで行くからさ」
海斗は奈波と別れ、100mほど先にあるスニーカー・ショップへと向かった。
……だが不思議なことに、海斗はすぐ店には向かわず、近くにあった休憩所の椅子に腰を下ろした。
(なんだか今日は落ち着かないな。胸の辺りがザワザワして、息苦しい感じがする)
見た夢が悪かったこともあり、海斗の気分は朝から最悪である。
吐くほど気持ち悪くはないが、頭痛と眩暈が交互にあるため、医者に行った方が良さそうな感じだ。
……そんなことを考えていると、足元にあったマンホールの蓋に海斗は目が行く。
(このマンホールの蓋、なんだか他のと色が違うな。白くする理由はなんなんだろ?)
海斗は試しにマンホールの蓋を開けようとしたが、少し持ち上がったところで内側にあった鎖に引っ掛かった。
奇妙な話だが、どうしてもこのマンホールの下へ行かなければならないような気がした。
(……近くの雑貨屋で鎖を切る道具がないか探そう)
海斗は雑貨屋へ向かうと、鎖を切るためのチェーンクリッパーを買い、再びマンホールの場所まで戻って留めていた鎖を切断した。
(正気じゃないな……どうしちゃったんだろ俺?)
そんな言葉が脳裏を過ぎったが、海斗は戸惑うことなく梯子に手を掛けて地下へと下りた。
そして地下へと辿り着くと、周囲は霧のような靄が充満しており、視界も極めて悪いため、微かな光を頼りに進む必要がありそうだった。
(何かの施設みたいだな。あそこに倉庫のようなものが見えるぞ)
……海斗は以前に聞いたことを思い出した。
日本は過去、アメリカに13発の原爆を落とされたため、各地に防空壕を急設した歴史があるという。
(……ここは今で言う核シェルターみたいなものか。でも、なんだか前に来たことがあるような気がするのはどうしてだろ?)
海斗は倉庫らしき施設のドアを開けて中に入ると、大量の資材が乱雑に置かれており、足の踏み場もない状態だった。
奥を見てみたいが進めそうにないため、海斗は断念して静かにドアを閉じた。
――その時である、
霧の中から何人かの軍人が突然現れ、海斗に向かってライフルを構えて一斉射撃した。
「うわあああぁぁぁ―――!!!」
海斗は隠れる場所を見つけようと辺りを見回したが、時すでに遅く銃弾は全身を貫いた。
「おいおい、もう練習してるのかよ海斗」
「おまえが上手過ぎるからな、練習しておかないと相手にならないだろ」
「なんだよ~、奈波ちゃんにいいところ見せようと思ってたのに」
「……隣に彼女連れてよくそんなこと言えるよな、おまえ」
「いいのいいの海斗君、私は慣れてるから」
横にいた永井ライアンの彼女は自嘲気味に笑った。
永井のようなハーフは日本人グループと群れることは少ないが、珍しく海斗とは気が合うため、こうして時々一緒に遊んだりする。
また彼の彼女も日本人なので、アメリカの国籍を持つ一人としては非常にレアなタイプだ。
「海斗さ、なんだか体が大きくなってないか? 筋トレでもしてるのかよ」
「え? いや……特にしてない」
……そう言われてみると急に筋肉質になったような気がする。
「奈波ちゃんという彼女がいるのにおまえ……まさかまだモテたいのか?」
「確かに逞しくなったし、ちょっとカッコ良くなったかも」
会話に加わった奈波がコロコロと笑う。
「昨日、肉でもたくさん食べたのかな? なっちゃんは俺が何を食べたか覚えてる?」
「ラーメンだったと思うけど……乗ってたチャーシューでそこまで筋肉質になるの?」
「……たぶん無理」
「まあいいや! とっととゲームを始めようぜ」
永井が海斗と奈波の二人を急かした。
そして2時間ほど遊ぶと永井のカップルと別れ、海斗は奈波を連れて近くのカフェに入った。
「くっそ~、やっぱり負けたか」
「永井君、ボーリング上手かったね~。さすがの海斗でも太刀打ちできない感じ」
「筋肉のお陰かボーリングの球が軽く感じたんだけど、コントロールはいつも通りだったわ」
「そうそう聞きたかったんだけど、いつの間に筋トレなんてしてたの?」
「……いや、本当にしてないよ」
「それに目つきも鋭くなったし、いつもの海斗と別人みたい」
海斗はスマホを取り出して、自分の姿をインカメラで映した。
画面に海斗の体や顔が映し出され、何が変わったのかマジマジと見て確認する。
「う~ん、言われてみれば少し雰囲気が変わったかもね」
「ひょっとして違う人? 入れ替わったとか?」
「……そんなオカルトじゃあるまいし。本物だよ本物!」
海斗は戸惑いながらも、笑顔を浮かべて奈波を安心させようとする。
「この話はもういいよ……これから何処へ行こうか? なっちゃんは何かリクエストある?」
「十央パークサイド・ストリートでお買い物したいかな」
「ま~た荷物持ちかよ……」
「文句言わない。私だって家事をけっこう頑張ってるんだから、ご褒美と思いなさい」
やれやれと思いながら海斗は席を立ち、店のカウンターで会計を済まそうとする。
【――海斗っ!】
その時、海斗は何処からか自分の名前を呼ぶ声が聞こえ、思わず振り返った。
「あれ……今呼んだ?」
「えっ? 呼んでないよ。こんだけ近いんだから呼ぶワケないじゃん」
「おかしいな……今度は幻聴かよ」
海斗は不服そうにぶつぶつ言いながら会計を済ませると、カフェを出て奈波と一緒に十央パークサイド・ストリートへと向かった。
目的の場所は歩いて15分のところにあり、若者で賑わうショッピング・ストリートとして、界隈でも有名である。
「着いた着いた。俺は店の外で待ってるから」
「海斗はスニーカーショップに行ったら? しばらく別行動でも大丈夫だよ」
「……じゃあアプリでメッセージを送って。すぐに飛んで行くからさ」
海斗は奈波と別れ、100mほど先にあるスニーカー・ショップへと向かった。
……だが不思議なことに、海斗はすぐ店には向かわず、近くにあった休憩所の椅子に腰を下ろした。
(なんだか今日は落ち着かないな。胸の辺りがザワザワして、息苦しい感じがする)
見た夢が悪かったこともあり、海斗の気分は朝から最悪である。
吐くほど気持ち悪くはないが、頭痛と眩暈が交互にあるため、医者に行った方が良さそうな感じだ。
……そんなことを考えていると、足元にあったマンホールの蓋に海斗は目が行く。
(このマンホールの蓋、なんだか他のと色が違うな。白くする理由はなんなんだろ?)
海斗は試しにマンホールの蓋を開けようとしたが、少し持ち上がったところで内側にあった鎖に引っ掛かった。
奇妙な話だが、どうしてもこのマンホールの下へ行かなければならないような気がした。
(……近くの雑貨屋で鎖を切る道具がないか探そう)
海斗は雑貨屋へ向かうと、鎖を切るためのチェーンクリッパーを買い、再びマンホールの場所まで戻って留めていた鎖を切断した。
(正気じゃないな……どうしちゃったんだろ俺?)
そんな言葉が脳裏を過ぎったが、海斗は戸惑うことなく梯子に手を掛けて地下へと下りた。
そして地下へと辿り着くと、周囲は霧のような靄が充満しており、視界も極めて悪いため、微かな光を頼りに進む必要がありそうだった。
(何かの施設みたいだな。あそこに倉庫のようなものが見えるぞ)
……海斗は以前に聞いたことを思い出した。
日本は過去、アメリカに13発の原爆を落とされたため、各地に防空壕を急設した歴史があるという。
(……ここは今で言う核シェルターみたいなものか。でも、なんだか前に来たことがあるような気がするのはどうしてだろ?)
海斗は倉庫らしき施設のドアを開けて中に入ると、大量の資材が乱雑に置かれており、足の踏み場もない状態だった。
奥を見てみたいが進めそうにないため、海斗は断念して静かにドアを閉じた。
――その時である、
霧の中から何人かの軍人が突然現れ、海斗に向かってライフルを構えて一斉射撃した。
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