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第二章 人間の国
第18話 冒険者ギルド
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──冒険者ギルド。
異世界と言えば、定番の存在。少しだけ期待に胸を踊らせながら、俺はその建物の前に立っていた。
「やっぱり、酒場なんだな……」
これも、お決まりの設定だ。ウエスタンゲートを潜り、俺はそう呟いた。正面に見える受付と、右側に併設された酒場。如何にも、俺の思い描いていた冒険者ギルドだ。
「クロス、冒険者になる?」
アスカが問いかけて来る。
「とりあえず、稼がなきゃならないだろ? だったら、冒険者になるのが一番だ」
ある程度、この世界のギルドについては話を聞いた。宿屋のオーナー、ケリーからだ。
冒険者のランクはSからC。其々、条件を満たせす事でランクアップして、相応の依頼を受ける事が出来る。この辺りの仕組みも、俺の想像と同じだ。何のあてもコネも無い、そんな人間が腕ひとつだけで夢を見れる職業。それが、この世界の冒険者だ。
「新規のご登録ですか?」
受付の前で立ち尽くしていると、声をかけられた。目の前の窓口に座る、ギルドの職員だ。サラサラの金髪セミロング。これもお決まりの、美人なお姉さんだ。
「あ、はい。冒険者になりたいんですが」
「そうですか、ありがとうございます。今はC級の依頼を受けてくれる冒険者の人手が足りないので、坊やみたいな若い冒険者でも大歓迎ですよ」
坊や。
やっぱり、慣れない。それなりに若者らしく受け答えはしている物の、中身はおっさんなんだ、俺は。何だか、むず痒い。
「では、早速、登録に取り掛からせて頂きますね。もしかして、そちらのお嬢さんも冒険者志望ですか?」
テキパキと手続きを始めたその女性は、アスカに目を止め、そう聞いて来た。
「はい。彼女も一緒にお願いします」
基本的に無口なアスカに代わり、俺は答えた。特に、それ以上は聞かれる事も無く、手続きが進められる。一通り書類の様な物を揃え終わり、その女性は改めて名乗った。
「ご挨拶が遅れましたね。私は、このギルドで冒険者のサポートをしている、アリス。今日から、貴方達を担当する事になるわ。宜しくね」
そう言って、ウインクしながら微笑むアリス。少し馴れ馴れしい態度なのは、おそらく、俺が若いから舐められているのだろう。まあ、いい。実際、俺は若いのだから……この世界では。
「はい。宜しくお願いします、アリスさん」
当たり障りない返答に、満足そうな笑顔を見せるアリス。彼女は取り出した羊皮紙をカウンターに置くと、指差しながら説明を始めた。
「では、登録しますので、こちらにお二人の事を書いて貰えますか? 銅貨一枚で代筆も出来ますよ?」
よくある設定だ。読み書きが出来ない相手に対し、代筆を行うサービス。俺も、この世界の文字はわからない。ここは、お願いする事にしよう。
「すいません。では、代筆をお願い出来ますか? 出来れば、二人分……」
アスカが読み書き出来るのかどうかは、わからない。いや、おそらくだが出来る。しかし、何を書いているのか、俺も知っておきたい。質疑応答形式のこれなら、アスカがヘタな回答を書き込む事も防げる。そう考えた俺は、アスカの分も代筆を頼む事にした。
「わかりました。では、銅貨二枚ですね。必要な項目は私が読み上げますので、口頭で答えて下さい」
──こうして俺は、冒険者になる為の第一歩を踏み出した。若干、背中に悪寒の様な物を感じながら……。
異世界と言えば、定番の存在。少しだけ期待に胸を踊らせながら、俺はその建物の前に立っていた。
「やっぱり、酒場なんだな……」
これも、お決まりの設定だ。ウエスタンゲートを潜り、俺はそう呟いた。正面に見える受付と、右側に併設された酒場。如何にも、俺の思い描いていた冒険者ギルドだ。
「クロス、冒険者になる?」
アスカが問いかけて来る。
「とりあえず、稼がなきゃならないだろ? だったら、冒険者になるのが一番だ」
ある程度、この世界のギルドについては話を聞いた。宿屋のオーナー、ケリーからだ。
冒険者のランクはSからC。其々、条件を満たせす事でランクアップして、相応の依頼を受ける事が出来る。この辺りの仕組みも、俺の想像と同じだ。何のあてもコネも無い、そんな人間が腕ひとつだけで夢を見れる職業。それが、この世界の冒険者だ。
「新規のご登録ですか?」
受付の前で立ち尽くしていると、声をかけられた。目の前の窓口に座る、ギルドの職員だ。サラサラの金髪セミロング。これもお決まりの、美人なお姉さんだ。
「あ、はい。冒険者になりたいんですが」
「そうですか、ありがとうございます。今はC級の依頼を受けてくれる冒険者の人手が足りないので、坊やみたいな若い冒険者でも大歓迎ですよ」
坊や。
やっぱり、慣れない。それなりに若者らしく受け答えはしている物の、中身はおっさんなんだ、俺は。何だか、むず痒い。
「では、早速、登録に取り掛からせて頂きますね。もしかして、そちらのお嬢さんも冒険者志望ですか?」
テキパキと手続きを始めたその女性は、アスカに目を止め、そう聞いて来た。
「はい。彼女も一緒にお願いします」
基本的に無口なアスカに代わり、俺は答えた。特に、それ以上は聞かれる事も無く、手続きが進められる。一通り書類の様な物を揃え終わり、その女性は改めて名乗った。
「ご挨拶が遅れましたね。私は、このギルドで冒険者のサポートをしている、アリス。今日から、貴方達を担当する事になるわ。宜しくね」
そう言って、ウインクしながら微笑むアリス。少し馴れ馴れしい態度なのは、おそらく、俺が若いから舐められているのだろう。まあ、いい。実際、俺は若いのだから……この世界では。
「はい。宜しくお願いします、アリスさん」
当たり障りない返答に、満足そうな笑顔を見せるアリス。彼女は取り出した羊皮紙をカウンターに置くと、指差しながら説明を始めた。
「では、登録しますので、こちらにお二人の事を書いて貰えますか? 銅貨一枚で代筆も出来ますよ?」
よくある設定だ。読み書きが出来ない相手に対し、代筆を行うサービス。俺も、この世界の文字はわからない。ここは、お願いする事にしよう。
「すいません。では、代筆をお願い出来ますか? 出来れば、二人分……」
アスカが読み書き出来るのかどうかは、わからない。いや、おそらくだが出来る。しかし、何を書いているのか、俺も知っておきたい。質疑応答形式のこれなら、アスカがヘタな回答を書き込む事も防げる。そう考えた俺は、アスカの分も代筆を頼む事にした。
「わかりました。では、銅貨二枚ですね。必要な項目は私が読み上げますので、口頭で答えて下さい」
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