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第二章 人間の国
第21話 王道(テンプレ)
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「──アスカ、読めるか?」
ギルド内に設置された掲示板を眺め、俺は尋ねた。無事に冒険者としての登録を終えた以上、俺達は目の前に貼られた依頼書の仕事を受けられる。但し、俺達の様な新人冒険者が受けられるのは、C級の依頼に限られているのだが。
「……問題ない。ここにある依頼は、主にペットの世話や捜索……それに、薬草の採取。後は、店番とか大工の手伝い。報酬の平均は……大体、銅貨八枚くらい」
依頼書を一つ一つ確認しながら、アスカが簡潔に答える。やはり、アスカは読み書きが出来る様だ。俺は、この世界の文字がサッパリだから、正直助かる。
「禄なのが無いな……」
俺は、ぼやいた。銅貨八枚では、宿代で殆ど消えてしまう。それに、もっとこう、冒険者らしい魔物の討伐とかの方が、経験値も稼げてちょうどいい。幾らこの世界はゲームでは無いと言われても、現実の仕組みがゲームに近いのだから、どうしてもそう考えてしまう。
「C級の冒険者でも、ギルドの承認があれば、B級迄の依頼なら受けられるみたい……」
アリスに貰ったギルドの規約に目を通しながら、アスカは答えた。ギルドの承認……つまり、アリスが認めれば良い訳か。
「因みに、B級の依頼ってのはどんなのがあるんだ?」
掲示板のそれらしき場所に目をやり、俺は尋ねた。
「……ここに貼ってあるのは、B級だと小鬼の討伐依頼や、最近、出没している盗賊団の討伐依頼……ね。殆どは、魔物の討伐依頼みたいだけど。報酬の差も、大きい。最高は……岩壁の大熊の銀貨二十枚」
「銀貨二十枚!? 岩壁の大熊、そんなに金になるのか……!」
思わず、声に出てしまった。岩壁の大熊と言えば、この町に来る以前、何体か倒した魔物だ。魔物は、その体の一部が討伐の証明になるらしいが、惜しい事をした。しかし、岩壁の大熊がB級でも上位の魔物だとは……。正直、『迷いの森』にいた魔物の方が強かった様な気もする。
すると、俺達の会話を聞きつけて、見慣れない三人組が声をかけて来た。
「坊主、岩壁の大熊を受けるには、最低でも四人以上の仲間じゃねぇとギルドの許可は降りねえぜ? 何なら、俺達が仲間になってやろうか?」
声をかけて来たのは、大柄な髭の男。傍らには、痩せ型でつり目の男と、丸々太った小柄な男を従えている。三人共、ニヤニヤと下卑た笑いを浮かべていた。
「アスカ、そんな規約があるのか?」
「いえ。それは、あくまでそのパーティの戦力を見る為の目安。平均、四人くらいは必要だと言う、一般的な見解。クロスなら、こんなのがいなくても何の問題も無い」
淡々と、冷たく男達の言葉を否定するアスカ。
「だ、そうです。せっかくですが、お断りさせて貰います」
俺は、あくまで下手に断りを入れた。内心、期待に胸を踊らせながら。
「言ってくれるじゃねえか、お嬢ちゃん。俺達三人が、この坊主一人の戦力にも劣るって言いてえのかい?」
「ヒヒヒ……世の中の厳しさを教えて差し上げなきゃいけませんねぇ」
「グフフフ。か、可愛いなぁ……グフフ……」
あくまで、上から目線で憤る三人組。俺は、笑いを堪えるのが精一杯だった。
期待通り。
なんて、わかりやすい展開!
まさに、王道!
「──こ、困った人達ですね……ププ……」
ギルド内に設置された掲示板を眺め、俺は尋ねた。無事に冒険者としての登録を終えた以上、俺達は目の前に貼られた依頼書の仕事を受けられる。但し、俺達の様な新人冒険者が受けられるのは、C級の依頼に限られているのだが。
「……問題ない。ここにある依頼は、主にペットの世話や捜索……それに、薬草の採取。後は、店番とか大工の手伝い。報酬の平均は……大体、銅貨八枚くらい」
依頼書を一つ一つ確認しながら、アスカが簡潔に答える。やはり、アスカは読み書きが出来る様だ。俺は、この世界の文字がサッパリだから、正直助かる。
「禄なのが無いな……」
俺は、ぼやいた。銅貨八枚では、宿代で殆ど消えてしまう。それに、もっとこう、冒険者らしい魔物の討伐とかの方が、経験値も稼げてちょうどいい。幾らこの世界はゲームでは無いと言われても、現実の仕組みがゲームに近いのだから、どうしてもそう考えてしまう。
「C級の冒険者でも、ギルドの承認があれば、B級迄の依頼なら受けられるみたい……」
アリスに貰ったギルドの規約に目を通しながら、アスカは答えた。ギルドの承認……つまり、アリスが認めれば良い訳か。
「因みに、B級の依頼ってのはどんなのがあるんだ?」
掲示板のそれらしき場所に目をやり、俺は尋ねた。
「……ここに貼ってあるのは、B級だと小鬼の討伐依頼や、最近、出没している盗賊団の討伐依頼……ね。殆どは、魔物の討伐依頼みたいだけど。報酬の差も、大きい。最高は……岩壁の大熊の銀貨二十枚」
「銀貨二十枚!? 岩壁の大熊、そんなに金になるのか……!」
思わず、声に出てしまった。岩壁の大熊と言えば、この町に来る以前、何体か倒した魔物だ。魔物は、その体の一部が討伐の証明になるらしいが、惜しい事をした。しかし、岩壁の大熊がB級でも上位の魔物だとは……。正直、『迷いの森』にいた魔物の方が強かった様な気もする。
すると、俺達の会話を聞きつけて、見慣れない三人組が声をかけて来た。
「坊主、岩壁の大熊を受けるには、最低でも四人以上の仲間じゃねぇとギルドの許可は降りねえぜ? 何なら、俺達が仲間になってやろうか?」
声をかけて来たのは、大柄な髭の男。傍らには、痩せ型でつり目の男と、丸々太った小柄な男を従えている。三人共、ニヤニヤと下卑た笑いを浮かべていた。
「アスカ、そんな規約があるのか?」
「いえ。それは、あくまでそのパーティの戦力を見る為の目安。平均、四人くらいは必要だと言う、一般的な見解。クロスなら、こんなのがいなくても何の問題も無い」
淡々と、冷たく男達の言葉を否定するアスカ。
「だ、そうです。せっかくですが、お断りさせて貰います」
俺は、あくまで下手に断りを入れた。内心、期待に胸を踊らせながら。
「言ってくれるじゃねえか、お嬢ちゃん。俺達三人が、この坊主一人の戦力にも劣るって言いてえのかい?」
「ヒヒヒ……世の中の厳しさを教えて差し上げなきゃいけませんねぇ」
「グフフフ。か、可愛いなぁ……グフフ……」
あくまで、上から目線で憤る三人組。俺は、笑いを堪えるのが精一杯だった。
期待通り。
なんて、わかりやすい展開!
まさに、王道!
「──こ、困った人達ですね……ププ……」
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