卑怯と言われても最強です。〜ヒロインは全てヤンデレだけど不意打ちスキルで異世界無双

真木悔人

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第二章 人間の国

第23話 レベル2の不意打ち

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 ──ギルド会館、地下闘技場。


 テニスコート四面分程の、何も無い石壁に囲まれた空間。俺とアスカ、そして、絡んできた三人組はその中央で対峙していた。決闘の立会人として、アリスが同行している。

「地下に、こんな空間があったなんて……」

「ここは、冒険者同士が揉め事を起こした時に、その決着をつける為に設けられた部屋スペースよ。街中で暴れられるよりはマシだからね。何しろ、血の気が多い連中ばかりだから……冒険者は」

 驚く俺に、アリスはそう説明した。そして、更に付け加える。

「因みに、ここはギルドランクの昇給試験にも使われる事があるわよ。まあ、試験があるのはA級やS級に上がる時か、飛び級が見込めるくらいの冒険者が現れた時だけだけど。余程、必要だと判断された時に限っての話ね」

 まるで、俺達には関係の無い話だとでも言いたげに、アリスは笑いながら言った。しかし、俺はその言葉に反応を示す。

「飛び級? そんな事も出来るんですか?」

 高い報酬の依頼を受ける為にも、ギルドランクは早目に上げておきたい。そんな制度があるのなら、チマチマ小さな依頼をこなさなくて済む。魔物の討伐ランク等を見る限り、俺はA級ぐらいの依頼なら受けれる実力ちからはある筈だ。

「飛び級なんて、それこそS級になる様な伝説級レジェンドクラスの冒険者くらいしか対象にならないわ。変な夢は見ないで、地道に頑張った方がいいわよ。幾ら、その若さでレベルが『ニ』だからって、そう甘い物じゃないんだからね」

 若さ故の傲慢だとでも思われたのだろうか。少し語気を強め、戒める様にアリスは語った。鼻っ柱の高いガキにでも見えたのだろう。何しろ、B級格上冒険者三人を相手に新人冒険者ルーキーが喧嘩を売ったのだから。正確には、絡んで来たのはこいつ等の方だけど。

 その辺りの事情を理解しているからか、アリスは差程、俺達を責めはしなかった。ただ、純粋に心配はしてくれているらしい。

「今更、怖気付いたって遅いからな、坊主! まあ、その女を置いて、土下座して謝るなら許してやらねえ事もねえけどな」

「それは名案ですねぇ……ククク……」

「グフフフ……可愛いなぁ……」

 相変わらず、下卑た笑いを浮かべる三人組。

「ルールは双方、代表者一人ずつの一対一シングルマッチよ。どちらかが戦闘不能になるか、降参したら負け。いい、ゲイル? こないだみたいにやり過ぎだと判断した場合は、直ぐに止めさせて貰いますからね」

 アリスが大男に釘を刺す。この大男、名はゲイルと言うらしい。話を聞く限り、相当、凶暴な性格をしている様だ。

「御託はいいから、サッサと始めよう。正直、アスカ連れを見るお前等の目が不快過ぎて、イライラしているんだ。どうせなら、三人纏めて相手してやりますよ。その方が、早く済んで助かる」

「何だと、テメエ~!!」

 怒りで、今にも飛び掛かって来そうなゲイル達。俺は、わざとこいつ等を挑発した。相手の冷静さを奪う事は、何においても有利に働く。

「は、始めっ!」

 これ以上、ゲイルを静止出来ないと判断したのか、アリスが慌てて開始の合図を告げる。

「うらあああああっ!!」

 合図と同時、我慢出来ないと言わんばかりに、ゲイルが襲い掛かってきた。大剣を大きく振り被り、真っ直ぐに突っ込んで来る。

「──【不意討ちサプライズストライク】!」

 視界が、薄い紅に染まる。


 ──レベル『ニ』の『不意討ちサプライズストライク』。その能力ちからを見せてやろう。
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