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第二章 人間の国
第44話 スミス親子
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「──そう。儂も固有持ち……混血者なんだ」
真剣な表情でそう告白し、スミスは更に続けた。
「儂は、人間の母と亜人の父との間に生まれたんだよ」
ドワーフ!
スミスは、ドワーフの血を引いていたのか。鍛冶職人にはピッタリのイメージだ。そんなスミスが、自らの生い立ちについて語り始めた。
「親父は優秀な鍛冶職人だった。儂の技術は、親父から叩き込まれた物なんだよ」
親父も鍛冶職人だったのか……。スミスの風貌と言い、妙に説得力がある。
「亜人は人間程、混血者に対する差別は酷く無いからな。優しい男だった親父は、自然と、混血だった母とも愛し会う様になった。そして、俺が生まれたんだ。だが、この世界は、そんな親父達には厳し過ぎた……」
少し悔しそうな表情を浮かべ、スミスは拳を握り締めた。相当、辛い思い出がある様だ。
「幾ら人間程は酷く無いとは言え、亜人の国でも差別はある。相手が人間なら、尚更だ。母にとって亜人の国は、暮らしやすい国では無かった」
なるほど。亜人の国は、混血者に対して人間の国よりは差別が少ないのか……。だが、人間に対する差別はあるみたいだ。混血への差別も、ゼロと言う訳では無いだろう。確かに、人間の女が暮らすには、少し辛い環境なのかも知れない。
「そこで、親父は母の為……そして、生まれたばかりの儂の為に、人間の国で暮らす決意をしたんだ。母との関係や、俺が混血である事を隠してな……」
家族と一緒に暮らせない。愛する妻と子供に父親として接する事が出来ないと言うのは、相当辛い事だったろう。どれ程の決意でスミスの親父がその決断をしたのか、容易に想像が付く。それもこれも、全ては愛する妻と子供の為。どうやら、立派な男だったみたいだな……スミスの親父は。だが、その息子の顔は暗く沈んでいた。そして、口惜しそうに続きを語る。
「だが、そんな生活も長くは続かなかった。親父と母の関係は、すぐにバレた。そして、勿論、俺が二人の間に出来た子供……混血である事もな」
一層、表情を曇らせるスミス。その顔には、怒りすら滲み出している。
「母は知らなかったんだ。親父が、亜人であるが故に町の奴等から酷い差別を受けていた事を。そして、それを知った母は全てを話した。町の人間達に、理解を求めて。親父は亜人だが、自分の愛する大切な人なんだと。他の人間と、同じ様に接して欲しいんだと……」
「それで……どうなったの?」
珍しく、アスカが口を挟んだ。もしかすると、他人事だと思えなかったのかも知れない。
「最初は厳しかった。だが、それでも少しずつだが理解を示す人間も現れ始めてたんだ。しかし、そんな風潮に異を唱える奴等が現れた……」
「まさか……」
思わず、声が漏れた。嫌な予感がする。そして、その予感は的中した。
「……そう。教会だ」
やはりか。この世界の教会と言うのは、本当に禄な事をしない。アスカ達への弾圧と言い、スミスの両親の話と言い……。
「教会は、亜人や混血者の平等な権利を訴える母が邪魔だったんだろう。教会は、徹底的に俺達親子を弾圧した。もう誰も、俺達には関わりたく無くなるくらいにな……」
「酷い……」
口元を抑え、ビビが呟く。しかし、スミスの告白は終わらない。
「町で暮らせなくなった俺達は、人目を避けて暮らす様になった。。亜人だった親父は、名もなき村に行けば迷惑をかけると考えたのかも知れない。とにかく、その日から俺達は山奥でひっそりと暮らした。親父に、鍛冶職人の技術を叩き込まれたのもこの頃だ」
「え? 鍛冶職人の技術は固有能力では無いんですか? 魔法剣なんて物を造れるくらいなのに……」
他のどの職人も、真似出来ない程の超技術。てっきり、生まれ持った能力だとばかり思っていたのだが…。
「何バカな事を言ってるんだ。そんな都合の良い能力がある訳ないだろ。それに、魔法剣を打てる様になったのも、つい最近の話だ」
「最近? つまり、レベルが上がったから打てる様になったと……そう言う事ですか?」
思わず、尋ねた。何か、俺が考えていた状況と少し違う。すると、スミスは驚く様な答えを口にした。
「──あ? ああ、その通りだ。この歳になって、ようやく固有能力のレベルが上がったんだよ……レベル『四』にな」
真剣な表情でそう告白し、スミスは更に続けた。
「儂は、人間の母と亜人の父との間に生まれたんだよ」
ドワーフ!
スミスは、ドワーフの血を引いていたのか。鍛冶職人にはピッタリのイメージだ。そんなスミスが、自らの生い立ちについて語り始めた。
「親父は優秀な鍛冶職人だった。儂の技術は、親父から叩き込まれた物なんだよ」
親父も鍛冶職人だったのか……。スミスの風貌と言い、妙に説得力がある。
「亜人は人間程、混血者に対する差別は酷く無いからな。優しい男だった親父は、自然と、混血だった母とも愛し会う様になった。そして、俺が生まれたんだ。だが、この世界は、そんな親父達には厳し過ぎた……」
少し悔しそうな表情を浮かべ、スミスは拳を握り締めた。相当、辛い思い出がある様だ。
「幾ら人間程は酷く無いとは言え、亜人の国でも差別はある。相手が人間なら、尚更だ。母にとって亜人の国は、暮らしやすい国では無かった」
なるほど。亜人の国は、混血者に対して人間の国よりは差別が少ないのか……。だが、人間に対する差別はあるみたいだ。混血への差別も、ゼロと言う訳では無いだろう。確かに、人間の女が暮らすには、少し辛い環境なのかも知れない。
「そこで、親父は母の為……そして、生まれたばかりの儂の為に、人間の国で暮らす決意をしたんだ。母との関係や、俺が混血である事を隠してな……」
家族と一緒に暮らせない。愛する妻と子供に父親として接する事が出来ないと言うのは、相当辛い事だったろう。どれ程の決意でスミスの親父がその決断をしたのか、容易に想像が付く。それもこれも、全ては愛する妻と子供の為。どうやら、立派な男だったみたいだな……スミスの親父は。だが、その息子の顔は暗く沈んでいた。そして、口惜しそうに続きを語る。
「だが、そんな生活も長くは続かなかった。親父と母の関係は、すぐにバレた。そして、勿論、俺が二人の間に出来た子供……混血である事もな」
一層、表情を曇らせるスミス。その顔には、怒りすら滲み出している。
「母は知らなかったんだ。親父が、亜人であるが故に町の奴等から酷い差別を受けていた事を。そして、それを知った母は全てを話した。町の人間達に、理解を求めて。親父は亜人だが、自分の愛する大切な人なんだと。他の人間と、同じ様に接して欲しいんだと……」
「それで……どうなったの?」
珍しく、アスカが口を挟んだ。もしかすると、他人事だと思えなかったのかも知れない。
「最初は厳しかった。だが、それでも少しずつだが理解を示す人間も現れ始めてたんだ。しかし、そんな風潮に異を唱える奴等が現れた……」
「まさか……」
思わず、声が漏れた。嫌な予感がする。そして、その予感は的中した。
「……そう。教会だ」
やはりか。この世界の教会と言うのは、本当に禄な事をしない。アスカ達への弾圧と言い、スミスの両親の話と言い……。
「教会は、亜人や混血者の平等な権利を訴える母が邪魔だったんだろう。教会は、徹底的に俺達親子を弾圧した。もう誰も、俺達には関わりたく無くなるくらいにな……」
「酷い……」
口元を抑え、ビビが呟く。しかし、スミスの告白は終わらない。
「町で暮らせなくなった俺達は、人目を避けて暮らす様になった。。亜人だった親父は、名もなき村に行けば迷惑をかけると考えたのかも知れない。とにかく、その日から俺達は山奥でひっそりと暮らした。親父に、鍛冶職人の技術を叩き込まれたのもこの頃だ」
「え? 鍛冶職人の技術は固有能力では無いんですか? 魔法剣なんて物を造れるくらいなのに……」
他のどの職人も、真似出来ない程の超技術。てっきり、生まれ持った能力だとばかり思っていたのだが…。
「何バカな事を言ってるんだ。そんな都合の良い能力がある訳ないだろ。それに、魔法剣を打てる様になったのも、つい最近の話だ」
「最近? つまり、レベルが上がったから打てる様になったと……そう言う事ですか?」
思わず、尋ねた。何か、俺が考えていた状況と少し違う。すると、スミスは驚く様な答えを口にした。
「──あ? ああ、その通りだ。この歳になって、ようやく固有能力のレベルが上がったんだよ……レベル『四』にな」
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