7 / 12
第7話 ポニョを救いたい
しおりを挟む
ポニョを――救う。
そう決意した俺は、覚悟をもってLINEを打ち込んだ。
誰かの優しさを信じるなんて、もうとうに終わったと思ってた。
でも、林静は――違った。
騙されてるのだとしても、嘘でもいい。
俺の心の深部に手を伸ばしてくれた人間がいた。
それがどんな形でも、無視はできなかった。
どうか俺に助けを求めてくれ。
直接的に何もできない。けれど、今度は――俺がポニョを癒してやる番だ。
「こんなことを言うのは失礼かもしれませんが、あなたのように聡明で慎重な方が、まだ関係の浅い私にご自身の写真を送るというのは、少し意外に感じました。
なぜなら、それはとてもリスクのある行為だからです。
あの写真の女性は本当に美しく、品があって、誰が見ても魅力的だと思います。
だからこそ、あれは本当に林静さん本人なのだろうかと――
少しだけ気になってしまいました。
もし、私の勘違いで、本当にあなたの写真だったなら……
その時は、疑うようなことを言ってしまってごめんなさい。
でも、これまで誠実な気持ちでやり取りをしてきたと思っているからこそ、
正直な言葉を交わせたら嬉しいです。」
詐欺でいい。
もう、君が詐欺師だってことは受け入れてる。
でも――あの写真だけは、君であってくれ。
俺の祈りにも似た一通に、返事は意外にも真面目モードだった。
『率直に言ってくれてありがとうございます。まず、あの写真は本当に私本人のものです。あなたが感じる不安や疑念は、私も理解しています。私たちの関係がまだ深くないので、こうした行動が疑問を抱かせるのも当然だと思います。
ですが、私は最初からずっと誠実な気持ちであなたと交流してきました。写真を送ったのも、自分を少しでも知ってもらいたかったからで、何か目的があったわけではありません。
信頼関係や誠実なコミュニケーションがとても大切だと考えているからこそ、少しでも私を知ってほしいと思ったんです。あなたも真摯にやり取りしてくださっていて、本当に感謝しています。
確かに、ネットの世界には不確かな部分や不誠実な人もいますが、私たちが誠実で透明な気持ちを持ち続ける限り、どんな疑念も解消できると思います。もし私の行動で不安にさせてしまったり、気持ちを傷つけてしまったなら、それについてあなたの意見を聞き、改善したいと思います。
お互いに真摯な気持ちと信頼をもって、これからも良い関係を築いていけることを願っています。改めて、理解してくれてありがとう。これからも楽しく、そして誠実にお話しできることを楽しみにしています』
よかった。詐欺師だとしてもあの写真は林静だった!
な訳ない。
真面目に真面目で返してきた。
だったら――とことん、付き合ってやろうじゃないか。
“ポニョ”とのLINE。
たとえフィクションだとしても、今は俺の現実なのだ。
そう決意した俺は、覚悟をもってLINEを打ち込んだ。
誰かの優しさを信じるなんて、もうとうに終わったと思ってた。
でも、林静は――違った。
騙されてるのだとしても、嘘でもいい。
俺の心の深部に手を伸ばしてくれた人間がいた。
それがどんな形でも、無視はできなかった。
どうか俺に助けを求めてくれ。
直接的に何もできない。けれど、今度は――俺がポニョを癒してやる番だ。
「こんなことを言うのは失礼かもしれませんが、あなたのように聡明で慎重な方が、まだ関係の浅い私にご自身の写真を送るというのは、少し意外に感じました。
なぜなら、それはとてもリスクのある行為だからです。
あの写真の女性は本当に美しく、品があって、誰が見ても魅力的だと思います。
だからこそ、あれは本当に林静さん本人なのだろうかと――
少しだけ気になってしまいました。
もし、私の勘違いで、本当にあなたの写真だったなら……
その時は、疑うようなことを言ってしまってごめんなさい。
でも、これまで誠実な気持ちでやり取りをしてきたと思っているからこそ、
正直な言葉を交わせたら嬉しいです。」
詐欺でいい。
もう、君が詐欺師だってことは受け入れてる。
でも――あの写真だけは、君であってくれ。
俺の祈りにも似た一通に、返事は意外にも真面目モードだった。
『率直に言ってくれてありがとうございます。まず、あの写真は本当に私本人のものです。あなたが感じる不安や疑念は、私も理解しています。私たちの関係がまだ深くないので、こうした行動が疑問を抱かせるのも当然だと思います。
ですが、私は最初からずっと誠実な気持ちであなたと交流してきました。写真を送ったのも、自分を少しでも知ってもらいたかったからで、何か目的があったわけではありません。
信頼関係や誠実なコミュニケーションがとても大切だと考えているからこそ、少しでも私を知ってほしいと思ったんです。あなたも真摯にやり取りしてくださっていて、本当に感謝しています。
確かに、ネットの世界には不確かな部分や不誠実な人もいますが、私たちが誠実で透明な気持ちを持ち続ける限り、どんな疑念も解消できると思います。もし私の行動で不安にさせてしまったり、気持ちを傷つけてしまったなら、それについてあなたの意見を聞き、改善したいと思います。
お互いに真摯な気持ちと信頼をもって、これからも良い関係を築いていけることを願っています。改めて、理解してくれてありがとう。これからも楽しく、そして誠実にお話しできることを楽しみにしています』
よかった。詐欺師だとしてもあの写真は林静だった!
な訳ない。
真面目に真面目で返してきた。
だったら――とことん、付き合ってやろうじゃないか。
“ポニョ”とのLINE。
たとえフィクションだとしても、今は俺の現実なのだ。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
麗しき未亡人
石田空
現代文学
地方都市の市議の秘書の仕事は慌ただしい。市議の秘書を務めている康隆は、市民の冠婚葬祭をチェックしてはいつも市議代行として出かけている。
そんな中、葬式に参加していて光恵と毎回出会うことに気付く……。
他サイトにも掲載しております。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
マグカップ
高本 顕杜
大衆娯楽
マグカップが割れた――それは、亡くなった妻からのプレゼントだった 。
龍造は、マグカップを床に落として割ってしまった。そのマグカップは、病気で亡くなった妻の倫子が、いつかのプレゼントでくれた物だった。しかし、伸ばされた手は破片に触れることなく止まった。
――いや、もういいか……捨てよう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる