博多に移住して人生をやり直す

yamajuu

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第四章 1年生 2学期

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エイジア製菓学校の学校祭、俺はカフェ専科の実行委員に選ばれている。
やる以上、成功させるのは当然だ。
最初のミーティングで委員長に立候補したら、すんなりと了承された。

「先生、過去の学校祭の資料をお願いします」
担任に頼んで 過去の実施プランと結果報告を用意してもらった。

「さすがに香川くんは社会人からだけあって、手順に無駄が無いね」

「一から始めるなんて、効率が悪すぎます。
過去から学べば、プランの7割は出来たも同然ですよ」
学校から許可をもらい、放課後に資料を読み込んでいく。
1週間で叩き台のプランを作り上げて、委員会に臨んだ。

「あと、一か月で学校祭になる。
俺たちに残された時間は少ない。そこで実施プランの叩き台を作ってみた。読んでくれ」
実行委員のLINEグループにPDFファイルを貼り付けた。
委員たちが、静かにスマホの画面を見ている。

「ここ10年間の実施プランと結果報告を、全て調べて作ってる。
異論、反論があれば、言って欲しい」
あえて追い打ちをかける、文句が有れば聞いてやるよくらいの気持ちだ。
俺のプランはあっさりと了承されて、製菓学科との会合になった。
結果から言うと、向こうのプランは穴だらけだった。
俺が過去の失敗を例にあげて反論したら、ぐうの音も出ないほど静かになる。
実現可能なプランをこちらが提案すると、飛びついてきて無事に会議はクリア出来た。

「香山さん、さすがです」
製菓側の委員、山本涼介が褒めてくれる。

「時間が無いんだ、会議は夢を語る場所じゃない」

「まさか15分で終わるとは思ってなかったです」

「会議は決める場所だ、決議だけなら5分もあればいい」
カフェ学科は俺が一任を取り付けているから、あとは製菓の担当が涼介なら話が早い。

「涼介、製菓側の責任者になれ。俺と二人で牛耳ろうぜ」

「やりますか」

「邪魔な女子を手なずけて、俺たちで仕切る」
涼介はもっと出来るはずだが、男子高出身だけに女子に遠慮がある。
紗彩との仲も、あと一歩踏み込めていないようだ。
俺と組んで成長すれば、周りの評価も変わるだろう。

面倒な事は、人に押し付ける。
今の若者気質を逆手に取り、涼介が委員長に立候補して合議制から製菓の一任を取り付けた。
あとは俺たちで全部決めていいから、成功したも同然だ。

ティータイムは、ドリンクとスイーツ3点セットが候補だ。
製菓の実習室でアップルパイとモンブランの試作をしている山本涼介と山田健太に付き合っていた。

「アップルパイとモンブランって、定番べた過ぎません?」
健太が俺に聞いてくる。

「健太、客を考えてみろ。学生の親、兄弟や友達、受験生と保護者がメインのはずだ。
市販のケーキと比べやすい定番のケーキは、俺たちの腕が試される。
製菓の人間は手が抜けないはずだ」

「香山さん、怖いことを考えてますね」

「プレッシャーがあるから、成長出来るんだ。
俺がトップに立つ以上、誰も甘やかさないよ」

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