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洗礼
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ヘルメスとの挨拶を皮切りに、他の子供たちとの自己紹介が始まった。
その結果、レオとアレクのほかに判明した子供たちは3人。
ロンド公爵家嫡男ヘルメスは、レオポルドとアレクシスのいとこだった。
ロンド公爵の奥方とヘレネ母上は実の姉妹だという。
レオポルドよりも年が一つ上で、同じ質感の金髪碧眼で、確かに同じ血が流れていることを感じさせた。
レオとアレクと違って、どこかえらそうな雰囲気があった。いや身分は上だから偉いんだが。
まあ、そんな感じだ。
トレイル侯爵家嫡男ジェラルドは、領地が隣り合っている縁で赤子のころからの付き合いらしい。
ちなみにレオポルドと同い年だ。
赤みがかった金髪で、瞳はやはり王家の血筋を感じさせる美しい蒼だった。
幼いながらも体格が良くたくましい感じだった。
ケリガン伯爵家嫡男リカルドは、父親であるケリガン伯爵とグラン侯爵が学生時代からの友人であった縁で、今に至るらしい。レオポルドよりも一つ下で、淡い白金のような金髪に淡い緑色の目で、全体的に優し気な雰囲気が漂っていた。
そう、子供たちの中でアレクも俺もいちばんのみそっかすだった。
先ほどの挨拶では大人顔負けの様式に則った振る舞いをしていたが、
着席して茶会がはじまると、とたんに気を置けない仲間に切り替わって、俺はこの世界のお子様たちに少し安心したのだった。
その後は、俺はひたすら気配を消して、練習を再開するまでの辛抱だと、静かにしておくことにした。
そんなとき、ヘルメスが俺に聞いてきた。
「カインはなぜこの魔力操作の訓練に出てこないんだ?
次回は我が家で訓練をするのでこのメンバーだけでなくたくさんの子弟が集まるんだ。
その時はカインも来るといい。」
養子の俺を気遣っての、こころにくい気づかいだ。さすがは公爵家嫡子。
レオポルドとアレクシスが動揺したように口を開こうとしたが、俺はそれよりも先に答えてしまった。
「ああ、わたしは魔力を一切持っていないので、来てもやることがないからだと言われています。」
途端に皆の視線が変質したことを感じた。
「・・・魔力なし?」
誰ともなくつぶやかれた言葉が、静寂の中に響いた。
そうして、ヘルメスが口火を切った。
「ああ、なるほど、それで田舎の別邸に厄介払いされていたというわけか。」
「レオとアレクがしきりにお前のことを話すから、どんな奴かと会うのを楽しみにしていたが、魔力無しとはな。」
ジェラルドがあきれたように言った。
「じゃあ、これからあまり関わることもなさそうだ。残念だけどね。」
少しも残念そうではないリカルドが軽い調子で言った。
あとは、俺のことはまるでそこにいないかのように茶会は進んだ。
子供達の中にも、ごく自然に魔力至上主義があるのを見て、思った以上に魔力無しとはこの世界においてハンデが重いと肌で感じた。
あと、俺の中のカインの感情が響いてきて、ツキンと胸が痛んだ。
レオポルドとアレクシスは、俺のことを心配するようにちらちらと視線を向けてきたので、気を使わせてすまんな兄弟たちよ、とねぎらいの気持ちを込めて笑っておいた。
そうして、コーリンのまずい紅茶を懐かしく思いながら 最高レベルの紅茶をおとなしくすすっていたらようやくお開きの時間となった。
それぞれが席を立ったその時、それはおこった。
「本当に魔力がないか、試してみたい。」
そう言って、瞬時にヘルメスの手に魔素の粒子が集まってくるのが見えた。
パチンコ玉くらいの炎の玉が、おれの顔に目掛けて飛んできた。
魔素に気づいていた俺は当然ずっとそれを横目で追っていた。
そして当たる直前にわずかに首を傾け避けたのだった。
俺の髪をわずかに凪ぎながら、耳のすぐ横を灼熱が駆け抜けていった。
「・・・最低だな。背中を向けた相手にも同じことをするのか?」
そう言っておれは踵を返してその場を後にした。
ああいっておけば、やくざと同じでメンツを何よりも後生大事にしている高位貴族だ。
後ろからやられることはないだろうと思ったが、やはり俺の背中に魔法は襲ってこなかった。
かましてやった手前、後ろを気にしながら去っていくのはちょっと情けない。
保険をかけて言っておいてよかった。
この世界は全員が何かしらの火器を携帯してるようなものだからなあ。
お子様には魔力操作よりも心得の方を重点的に教えた方が良いんじゃないだろうか。
ところで、このチョーカーは、ちゃんと仕事をしてくれるんだろうか。
さっきの火の玉は結果的には俺には当たらなかったが、うんともすんとも言わなかったぞ。
もしかして、おとなしくチョーカーを付けさせて、GPSを俺に埋め込むための方便だったんだろうか。
かえすがえすも侯爵の野郎め。。。。
こうして攻撃を回避できたのはデモンのおかげかもしれない。
デモンとの鬼ごっこを通じて、剣道で培った動体視力と反射神経だけはすぐにカンを取り戻した。
子供のせいかむしろさらに研ぎ澄まされた気がする。
嫌だけどあいつに感謝しておこう。
そんなことを考えながら、帰りの道を行ったのだった。
その結果、レオとアレクのほかに判明した子供たちは3人。
ロンド公爵家嫡男ヘルメスは、レオポルドとアレクシスのいとこだった。
ロンド公爵の奥方とヘレネ母上は実の姉妹だという。
レオポルドよりも年が一つ上で、同じ質感の金髪碧眼で、確かに同じ血が流れていることを感じさせた。
レオとアレクと違って、どこかえらそうな雰囲気があった。いや身分は上だから偉いんだが。
まあ、そんな感じだ。
トレイル侯爵家嫡男ジェラルドは、領地が隣り合っている縁で赤子のころからの付き合いらしい。
ちなみにレオポルドと同い年だ。
赤みがかった金髪で、瞳はやはり王家の血筋を感じさせる美しい蒼だった。
幼いながらも体格が良くたくましい感じだった。
ケリガン伯爵家嫡男リカルドは、父親であるケリガン伯爵とグラン侯爵が学生時代からの友人であった縁で、今に至るらしい。レオポルドよりも一つ下で、淡い白金のような金髪に淡い緑色の目で、全体的に優し気な雰囲気が漂っていた。
そう、子供たちの中でアレクも俺もいちばんのみそっかすだった。
先ほどの挨拶では大人顔負けの様式に則った振る舞いをしていたが、
着席して茶会がはじまると、とたんに気を置けない仲間に切り替わって、俺はこの世界のお子様たちに少し安心したのだった。
その後は、俺はひたすら気配を消して、練習を再開するまでの辛抱だと、静かにしておくことにした。
そんなとき、ヘルメスが俺に聞いてきた。
「カインはなぜこの魔力操作の訓練に出てこないんだ?
次回は我が家で訓練をするのでこのメンバーだけでなくたくさんの子弟が集まるんだ。
その時はカインも来るといい。」
養子の俺を気遣っての、こころにくい気づかいだ。さすがは公爵家嫡子。
レオポルドとアレクシスが動揺したように口を開こうとしたが、俺はそれよりも先に答えてしまった。
「ああ、わたしは魔力を一切持っていないので、来てもやることがないからだと言われています。」
途端に皆の視線が変質したことを感じた。
「・・・魔力なし?」
誰ともなくつぶやかれた言葉が、静寂の中に響いた。
そうして、ヘルメスが口火を切った。
「ああ、なるほど、それで田舎の別邸に厄介払いされていたというわけか。」
「レオとアレクがしきりにお前のことを話すから、どんな奴かと会うのを楽しみにしていたが、魔力無しとはな。」
ジェラルドがあきれたように言った。
「じゃあ、これからあまり関わることもなさそうだ。残念だけどね。」
少しも残念そうではないリカルドが軽い調子で言った。
あとは、俺のことはまるでそこにいないかのように茶会は進んだ。
子供達の中にも、ごく自然に魔力至上主義があるのを見て、思った以上に魔力無しとはこの世界においてハンデが重いと肌で感じた。
あと、俺の中のカインの感情が響いてきて、ツキンと胸が痛んだ。
レオポルドとアレクシスは、俺のことを心配するようにちらちらと視線を向けてきたので、気を使わせてすまんな兄弟たちよ、とねぎらいの気持ちを込めて笑っておいた。
そうして、コーリンのまずい紅茶を懐かしく思いながら 最高レベルの紅茶をおとなしくすすっていたらようやくお開きの時間となった。
それぞれが席を立ったその時、それはおこった。
「本当に魔力がないか、試してみたい。」
そう言って、瞬時にヘルメスの手に魔素の粒子が集まってくるのが見えた。
パチンコ玉くらいの炎の玉が、おれの顔に目掛けて飛んできた。
魔素に気づいていた俺は当然ずっとそれを横目で追っていた。
そして当たる直前にわずかに首を傾け避けたのだった。
俺の髪をわずかに凪ぎながら、耳のすぐ横を灼熱が駆け抜けていった。
「・・・最低だな。背中を向けた相手にも同じことをするのか?」
そう言っておれは踵を返してその場を後にした。
ああいっておけば、やくざと同じでメンツを何よりも後生大事にしている高位貴族だ。
後ろからやられることはないだろうと思ったが、やはり俺の背中に魔法は襲ってこなかった。
かましてやった手前、後ろを気にしながら去っていくのはちょっと情けない。
保険をかけて言っておいてよかった。
この世界は全員が何かしらの火器を携帯してるようなものだからなあ。
お子様には魔力操作よりも心得の方を重点的に教えた方が良いんじゃないだろうか。
ところで、このチョーカーは、ちゃんと仕事をしてくれるんだろうか。
さっきの火の玉は結果的には俺には当たらなかったが、うんともすんとも言わなかったぞ。
もしかして、おとなしくチョーカーを付けさせて、GPSを俺に埋め込むための方便だったんだろうか。
かえすがえすも侯爵の野郎め。。。。
こうして攻撃を回避できたのはデモンのおかげかもしれない。
デモンとの鬼ごっこを通じて、剣道で培った動体視力と反射神経だけはすぐにカンを取り戻した。
子供のせいかむしろさらに研ぎ澄まされた気がする。
嫌だけどあいつに感謝しておこう。
そんなことを考えながら、帰りの道を行ったのだった。
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