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正された勘違い
そして隆文エスコートのもと、車で十分くらいのところにある彼の行きつけの割烹料理店へ向かった。
(へぇ、お洒落なお店……)
京都の有名料亭出身の大将のお店だそうで、カウンターのみの小さなお店だが、とても上品で雰囲気がいい。
「素敵なお店ですね」
「ここは目の前で天ぷらを揚げてくれるんだ。天ぷら好きだろう?」
「はい」
(お兄様情報かしら……)
自分の情報がすべて相手に渡っていると思うと変な気分だが、今みたいに何も考えたくないときは、好き嫌いを熟知してくれていると楽だなと思う。
侑奈が小さく頷くと、店員が角のほうの席に案内してくれる。肩を並べて座ると、隆文がメニューを開いた。
「俺は車だから酒飲めないけど、侑奈はどうする? 飲みたい気分?」
「そうですね。明日もお仕事なので少しだけ飲みたいです……」
隆文のおかげで大分嫌な気持ちが晴れたが、それでもまだ浮上しきれないので、お酒を飲んで紛らわせたい気分だった。
彼は「OK」と言って慣れた感じにオーダーをし、ついでとばかりに侑奈の頭を撫でてくる。
「やめてください」
やんわり払いのけると、彼がクスッと笑った。
「おじいさんにもそう言えばいいじゃないか。身内なんだし嫌なことは嫌って言え」
「それができたら苦労しませんよ。偏屈で頑固だし苦手なんです……怖いし」
侑奈が眉間に皺を寄せると、隆文は肩を竦めてグラスに口つけた。隆文の手の中のグラスが立てる氷の音を聞きながら、口をへの字にして彼を見る。
「侑奈は本当に打たれ弱いな。ちょっとしたことで簡単に悩むし泣くし」
「う、うるさいです。泣き虫になったのは隆文くんのせいなんですからね……」
「だからこそだよ。侑奈を泣かせるのは俺の専売特許なんだから、身内とはいえほかの男に泣かされないでくれよ」
隆文の言い様に、口をぽかんと開ける。
(専売特許って何? 誰もそんなこと許してないわ)
侑奈がキッと隆文を睨みつけると、先ほど来たばかりの海老の天ぷらを侑奈の唇にあててくる。
「熱っ……」
「ほら、あーん。怒ってないで食え。美味しいから」
「はい……」
不満げに一口齧ると、さくさくとしていて本当に美味しかった。侑奈が目を輝かせると、もう一口食べさせてくれる。
「辛いことがあったときは美味いものを食べて元気出せ。どこでも好きなところに連れて行ってやるから」
「隆文くん……」
「今までたくさん泣かせた分、これからは俺が守るって約束する。侑奈のおじいさんにだってもう好き勝手はさせないから、落ち込むのはおしまいにしろ」
柔らかく微笑んだ隆文の表情に目を奪われる。侑奈は高鳴りそうな胸を誤魔化すために、お酒を呷った。瞬間、くらりと眩暈がして頭を押さえると、隆文にグラスを取り上げられる。
「こら、一気に飲むな」
「ご、ごめんなさい……」
「なぁ、侑奈。おじいさんのせいで勘違いしてると思うんだけど……」
(また勘違い? そんなに私は何も分かっていないと言いたいの?)
またもや『勘違い』という言葉が飛び出して高揚しかけていた気持ちが萎んでいく。侑奈が「してません」と反論して目を逸らすと、彼が手を握ってくる。
「してるよ。うちと侑奈の家は、別に改めて婚姻を結ばなくても大丈夫なくらい強固な関係じゃないか。もしもどちらかに何かあれば、必ず片方が助けるだろ」
「え……はい、そうですね。祖母も玲子さんも放っておかないと思います」
「だろ。俺も悠斗とは親友だし、今後もその関係は引き継がれていくよ」
「……」
「それでも婚姻を結びたいのは、本物の家族になりたいという祖母たちの願いだ。政略結婚ではないよ」
(あ……)
侑奈が目を丸くすると、隆文がクスッと笑う。
「そもそもそこがズレてるんだよな。それに俺もちゃんと侑奈に好きになってもらってから結婚したいと思ってるから、別に侑奈が恋愛結婚を望んだからって間違ってない。身内だから難しいかもしれないけど、侑奈の祖父の言うことなんて気にせず、俺たちのペースで進めていこう」
「……っ!」
隆文の熱い眼差しに動けなくなり、しばし見つめ合う。勝手に高鳴る心臓を悔しく思うのに目が離せなかった。
すると、自分の頬に向かって隆文が手を伸ばしてきたので、咄嗟に避けると彼が苦笑する。
「俺たちは空白の時間も長いし、まずはお互いをよく知っていこう。侑奈の好きなものとか教えてよ」
「お兄様から聞いて知ってるでしょう」
「それでも知りたい」
「……うーん。一番好きなのは勉強でしょうか。知識は裏切りませんし」
「言うと思った。お前らしいな」
「隆文くんだって仕事好きでしょ」
くつくつと笑う隆文に頬を染めて、薄く睨みつけると、また頬に手が伸びてくる。でも次は避けさせてもらえなくて、呆気なく頬を触られてしまった。
「もう少し仲良くなったら、研究所のほうで働けるようにしてやるよ」
「本当ですか?」
「ああ、任せておけ。うまく働きかけてやる」
(嬉しい!)
先ほどとは違う高揚が胸を包む。
思わず隆文に抱きついてお礼を言うと、彼が意地悪な笑みを向けてきた。そして隆文の唇をトントンと叩く。
「お礼はハグよりキスのほうがいいかな」
「ばっ、馬鹿! 何言ってるのよ!」
顔を真っ赤にして立ち上がると、周りの驚いた視線が侑奈に集中し、途端に恥ずかしくなった。周りを憚りながら座り直し、隆文に恨みがましげな視線を送る。
「隆文くんの馬鹿。変なこと言わないで」
「変なことじゃないよ。俺の希望を伝えたまでだ」
(希望って……何言ってるのよ!)
不貞腐れつつ、お酒に手を伸ばす。
(へぇ、お洒落なお店……)
京都の有名料亭出身の大将のお店だそうで、カウンターのみの小さなお店だが、とても上品で雰囲気がいい。
「素敵なお店ですね」
「ここは目の前で天ぷらを揚げてくれるんだ。天ぷら好きだろう?」
「はい」
(お兄様情報かしら……)
自分の情報がすべて相手に渡っていると思うと変な気分だが、今みたいに何も考えたくないときは、好き嫌いを熟知してくれていると楽だなと思う。
侑奈が小さく頷くと、店員が角のほうの席に案内してくれる。肩を並べて座ると、隆文がメニューを開いた。
「俺は車だから酒飲めないけど、侑奈はどうする? 飲みたい気分?」
「そうですね。明日もお仕事なので少しだけ飲みたいです……」
隆文のおかげで大分嫌な気持ちが晴れたが、それでもまだ浮上しきれないので、お酒を飲んで紛らわせたい気分だった。
彼は「OK」と言って慣れた感じにオーダーをし、ついでとばかりに侑奈の頭を撫でてくる。
「やめてください」
やんわり払いのけると、彼がクスッと笑った。
「おじいさんにもそう言えばいいじゃないか。身内なんだし嫌なことは嫌って言え」
「それができたら苦労しませんよ。偏屈で頑固だし苦手なんです……怖いし」
侑奈が眉間に皺を寄せると、隆文は肩を竦めてグラスに口つけた。隆文の手の中のグラスが立てる氷の音を聞きながら、口をへの字にして彼を見る。
「侑奈は本当に打たれ弱いな。ちょっとしたことで簡単に悩むし泣くし」
「う、うるさいです。泣き虫になったのは隆文くんのせいなんですからね……」
「だからこそだよ。侑奈を泣かせるのは俺の専売特許なんだから、身内とはいえほかの男に泣かされないでくれよ」
隆文の言い様に、口をぽかんと開ける。
(専売特許って何? 誰もそんなこと許してないわ)
侑奈がキッと隆文を睨みつけると、先ほど来たばかりの海老の天ぷらを侑奈の唇にあててくる。
「熱っ……」
「ほら、あーん。怒ってないで食え。美味しいから」
「はい……」
不満げに一口齧ると、さくさくとしていて本当に美味しかった。侑奈が目を輝かせると、もう一口食べさせてくれる。
「辛いことがあったときは美味いものを食べて元気出せ。どこでも好きなところに連れて行ってやるから」
「隆文くん……」
「今までたくさん泣かせた分、これからは俺が守るって約束する。侑奈のおじいさんにだってもう好き勝手はさせないから、落ち込むのはおしまいにしろ」
柔らかく微笑んだ隆文の表情に目を奪われる。侑奈は高鳴りそうな胸を誤魔化すために、お酒を呷った。瞬間、くらりと眩暈がして頭を押さえると、隆文にグラスを取り上げられる。
「こら、一気に飲むな」
「ご、ごめんなさい……」
「なぁ、侑奈。おじいさんのせいで勘違いしてると思うんだけど……」
(また勘違い? そんなに私は何も分かっていないと言いたいの?)
またもや『勘違い』という言葉が飛び出して高揚しかけていた気持ちが萎んでいく。侑奈が「してません」と反論して目を逸らすと、彼が手を握ってくる。
「してるよ。うちと侑奈の家は、別に改めて婚姻を結ばなくても大丈夫なくらい強固な関係じゃないか。もしもどちらかに何かあれば、必ず片方が助けるだろ」
「え……はい、そうですね。祖母も玲子さんも放っておかないと思います」
「だろ。俺も悠斗とは親友だし、今後もその関係は引き継がれていくよ」
「……」
「それでも婚姻を結びたいのは、本物の家族になりたいという祖母たちの願いだ。政略結婚ではないよ」
(あ……)
侑奈が目を丸くすると、隆文がクスッと笑う。
「そもそもそこがズレてるんだよな。それに俺もちゃんと侑奈に好きになってもらってから結婚したいと思ってるから、別に侑奈が恋愛結婚を望んだからって間違ってない。身内だから難しいかもしれないけど、侑奈の祖父の言うことなんて気にせず、俺たちのペースで進めていこう」
「……っ!」
隆文の熱い眼差しに動けなくなり、しばし見つめ合う。勝手に高鳴る心臓を悔しく思うのに目が離せなかった。
すると、自分の頬に向かって隆文が手を伸ばしてきたので、咄嗟に避けると彼が苦笑する。
「俺たちは空白の時間も長いし、まずはお互いをよく知っていこう。侑奈の好きなものとか教えてよ」
「お兄様から聞いて知ってるでしょう」
「それでも知りたい」
「……うーん。一番好きなのは勉強でしょうか。知識は裏切りませんし」
「言うと思った。お前らしいな」
「隆文くんだって仕事好きでしょ」
くつくつと笑う隆文に頬を染めて、薄く睨みつけると、また頬に手が伸びてくる。でも次は避けさせてもらえなくて、呆気なく頬を触られてしまった。
「もう少し仲良くなったら、研究所のほうで働けるようにしてやるよ」
「本当ですか?」
「ああ、任せておけ。うまく働きかけてやる」
(嬉しい!)
先ほどとは違う高揚が胸を包む。
思わず隆文に抱きついてお礼を言うと、彼が意地悪な笑みを向けてきた。そして隆文の唇をトントンと叩く。
「お礼はハグよりキスのほうがいいかな」
「ばっ、馬鹿! 何言ってるのよ!」
顔を真っ赤にして立ち上がると、周りの驚いた視線が侑奈に集中し、途端に恥ずかしくなった。周りを憚りながら座り直し、隆文に恨みがましげな視線を送る。
「隆文くんの馬鹿。変なこと言わないで」
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