地方公務員のおっさん、異世界へ出張する?

白眉

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第一章

1-2 異世界到着

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 気が付けば、そこは薄暗い森の中、所々に光がさしているという事は、お日様があるってことだ。
俺は、夢ではないことを改めて確認した。

 光がさしている方向に歩き、開けた場所に出た。
 「よっこらせ」
 俺は、掛け声をかけながら腰を下ろす。そうしないと“ぎっくり腰”になってしまうから。

 乾いた地面に腰を下ろし、先ずは、身の回りの品々を確認していく。
服は休日出勤した時の服装、トレーナー、チノパンにジャンパー、スニーカー、ビジネスバッグ(T〇MIのショルダーバッグ)。
ビジネスバッグの中には、スケジュール帳と筆記用具、名刺入れ、スマホと充電器(は電源は入るがそれ以外使えない…)、ペットボトルの水500ml、昼食用のおにぎり2個、カ〇リーメイト1箱と飴の袋1つ、いつのかは分からないがコンビニでお弁当を買ったときにもらった胡椒と塩が入った袋4つ、不織布のマスク7枚か…。

うーん…。
全く考えが浮かばない、視界も悪い…。
 
 あ、俺、眼鏡かけてた…、この眼鏡見づらいな。
眼鏡を外すと、あら?ちゃんと見えます。
神様、ありがとう! ちゃんと聞いてくれてたんですね。

 と思いつつも、これからの事で頭が真っ白になる。
多分、これ与えられた事だけしているヒトだったら詰んでるな…と客観的に今の状態を見つめなおす。
これまでの世界では、与えられた業務だけしていれば、お給料がもらえる…。そこに改善や工夫などといったものはなく、前例踏襲、長いモノには巻かれろ主義で行けば何も問題ない。企業では、100人の社員がいれば、10人は神輿に乗る人、30人は神輿を担ぐ人、60人はその神輿を見ている人だと聞いたことがある。これが公務員に当てはめると、10人は神輿に乗るものの、担ぐ人は10人しかいない。60人が神輿を見て、残りの10人は神輿とは関係がなく、そっぽを向いている…そんな体制であり、業務は必然と神輿を担ぐ10人に集中しもはやブラック企業も真っ青な状況(月200時間以上の残業を課せられた事もあった)だと思っている。5年前までは神輿を担ぐ10人の中で死に物狂いに仕事をしてきた。

俺は、民の税金を預かっている以上は、民が幸せになるような政策を立てていくことが必要な事だと常々感じていた。皆が笑顔で過ごせるよう、ある時には河川や道路の改修を、また、ある時には病気と向き合いながら、常に先々のことを見据え業務を行ってきた。

しかし、公務員という業種は、変わらなければいけない局面であっても、頑なに変えようとせず、現体制があたかも正義であるかのように守ることだけに固執し、いくら苦言を呈しても変わらない素晴らしさにある。殊更に多くを述べるつもりではないが、多くの公務員は、性根がチキンなため変えるという勇気が無い。まさに現在の社会構造を浮き彫りとした業種であると思う。

その結果、俺は他の職員からは“煙たい存在=面倒くさい存在”として扱われ疎外されていく。そして、これまでの世界ではある意味、何も動かない、変わらない、変わることすらないルーチンワークだけの管理職のポストに追いやられている。それが良い事なのか悪い事なのかは分からない。こんなポストを廃止してしまえば、それだけ必要な部署への配置も可能となるとは思うが、50歳を越えた者が、今更現場に戻っても邪魔だという意見もあるようだ…。定年年齢が65歳に延長しようとしている中、いっその事、公務員の定年退職する年齢を55歳にしてしまえば…ゲフンゲフン。。。

など、ここでは全く関係ない事を考えながらも、やるべきことを考え始める。
すぐ忘れるお年頃なので、神様と話した内容、つまり、ここでやるべき事をメモにまとめることにした。

 大項目として、文明・文化レベルを1ランクアップする。そのために、この世界で感じた事を伝える。
現状は…森ばかり。まぁ、少し移動すれば何とかなるか。
特典としてもらったスキルは、多言語理解、創造魔法+マナ増量、鑑定眼だったよな。
人がいないから、言語スキルを使うのは無理。では、創造魔法と鑑定眼の立証。

次に、今すべき事を書き出す。これが一番の重要課題だ。
 生きるために必要なものは、衣・食・住。衣は今着ているもので当面は我慢。問題は食と住だ。
人が生きていくに必要なものは、水、塩、酒。
ごめん。ちょっと言葉で遊んでみただけ。酒は、今は必要ない。
 次に、安全に身体を休めることができる場所の確保、ねぐらの確保。雨露に濡れながら休めば体力を消耗してしまう…。昔、ボーイスカウトで教えてもらったことだな…。
 住が確定すれば、火か…。
あ、創造魔法で火は起こせないのか?水も出せないのか?

あれやこれや考えながらも、いつの間にか創造魔法へと意識がシフトチェンジしていく。

 俺は、これまでの世界では、考えたものをそのまま熟考し眠らせる性格ではなく、先ずは試しに実践していくタイプだった。その中で出来る事、できない事を区分けした上で改善していくといった研修をイヤというほどさせられてきた。つまりPDCAサイクルの実践だ。
今はそのPDCAサイクルもP(計画)部分にかける時間が長すぎるなどと言って古いとされ、OODAやSTPDといったシステムに変わりつつあるようだ。
その中での創造魔法について考察を始めるも、創造=イメージだと結論付け、即実行に移すことにした。

 先ずは火である。
チャッカ〇ンを想像し、指先に着火点をイメージし火を出すことを試みる
結果、ボシュっと音を立て、いきなり人差し指からターボジェット並の火が出た!・・・( ゚Д゚)
次に水だ。これができれば飲み水にも困らない。
水をイメージして出ろ!と念じると、頭の上からバケツの水を被ったかのように水が降って来て、ずぶ濡れになった。
これ、あかんやつだ。イメージで流れるとしたのが間違いだと思い、球体になるようイメージし念じる。

まぁ、なんて事でしょう!
空中に水が球体に集まっているではありませんか!

これは成功だ。

 次に、ずぶ濡れになった衣服を乾かしたいので、風をイメージし念じる。
あ、普通に風は出ます。でも風だけじゃ、衣服って乾かないんです…。

仕方がないので、小枝を集め、指先のチャッカ〇ンで火をつけ焚火をし、衣服を乾かすことにした。

 少し、腹が減ったので、カバンの中にあったカロ〇ーメイトを頬張る。

衣類が乾く時間が暇なので、さっき出た火や水、風を使った“魔法”らしいものを使ってみようと考える。

 昔、息子が「俺は魔法が使える。が、その魔法を解放するには、右目の魔眼が開くことが前提だ。」とか言って、海賊のような眼帯が欲しいって言っていたのを思い出す。いわゆる厨二病ってやつだ。

 俺はおっさんだけど、その気持ちは大切だと思う。
だって、俺たちがガキだった頃、ウル〇ラマンや仮面〇イダーが全盛期(今も放映しています)で、悪の組織や怪獣と闘うため、日々努力したものだ。
スペ〇ウム光線だったり、ライ〇ーキックと叫んでいたよ。
挙句、木の上からライ〇ーキックをかました際、足を骨折し一か月病院で死ぬほど退屈な日を送った事だってある。
最悪だったのは、骨折したのが夏休みの初日であり、夏休みほとんどを病院で過ごした。その年だけ夏休みの宿題の提出が良かったと先生に褒められたよ。

 遠い記憶ではあるが、あの頃が一番輝いていたような気がする…。
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