地方公務員のおっさん、異世界へ出張する?

白眉

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第一章

1-18 琥珀亭にて

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 トーレスさんの店から北へ向かう。
少しいったところに宿屋街があり、その真ん中あたりに「琥珀亭」があった。

 俺は店の中に入る。
店の中は右側が食事するところだろうか。テーブルとイスが置いてある。
30人くらい入るスペースだ。
左側がカウンターになっていて、そこに少女が暇そうに座っている。

「すみません。宿泊したいのですが。」

 俺は、少女に伝える。
少女は怪訝そうに顔を上げるが、客だと分かると途端に笑顔になる。

「あ、いらっしゃいませ。宿泊ですね。一泊銀貨5枚で朝食夕食付ですと銀貨6枚になります。」
「連泊したいんですが、大丈夫ですか?」
「連泊だと少しお安くなりますよ。例えば一週間ですと銀貨40枚になり銀貨2枚お得です。1か月ですと、大銀貨18枚のところ16枚となります。」

一泊6千円か…。リーズナブルな料金だ。
流石トーレスさん。良いところを紹介してくれた。
見栄は張らず、相応の暮らしで十分だよ。

「では、30日連泊でお願いします。」
「分かりました。では前金で大銀貨16枚となります。もし、途中でキャンセルされるようであれば前日までにお知らせいただければ、翌日分から差額をお返しします。」
「分かりました。」
「では、2階の4号室になりますので、ご案内しますね。」

少女は、後ろの棚にある鍵を取り、2階へ案内してくれる。

「お客さん、夕食は6時から9時の間に取ってくださいね、ご飯は宿泊されている人用のメニューを用意します。あ、あとお酒は別料金になりますので、食事が終わりましたらお会計をお願いします。朝食は朝5時から8時までです。それ以外の時間にはご準備できませんので、ご了承願いまーす。あ、それと別料金になりますがお湯はたらい一杯で銅貨2枚です、その場でお支払いいただきます。」

営業スマイルが板についていますね。

「では、ここがお客さんのお部屋です。どうぞ~。」

俺は部屋の中に入る。
うん。なかなかシンプルで良い部屋だ。
ベッドはシングルサイズ。ベッドの脇には机が置いてあり、クローゼットも置いてある。

「ところで店員さん」
「あ、私のことはマリベルと呼んでくださいね。」
「はい、マリベルさん。ひとつ伺いたいのですが良いですか?」
「何なりと。」
「トイレはどこにありますか?」
「トイレ?トイレって…、あぁ、厠ですね。厠は二階ですと1号室の奥の通路になります。」

 うぉ、個室にトイレはないんだ…。
そうすると、夜中に何度もトイレに起きる俺は、いちいち鍵を開け廊下に出て、鍵を閉めトイレに行き用を足す…、その繰り返しを少なくとも3回、いや4回はやらなきゃいけないのか…。

「あの、マリベルさん…」
「なんでしょう。」
「部屋に厠がついている部屋は空いていますか?」
「ありますが、高いですよ。」
「ええと、30日でいくらになりますか?」
「うーんと、大銀貨20枚になります。」
 
はい。決定! 30日分で4万円のプラスだがトイレは必須です。

「では、そちらの部屋でお願いします。」

「えー、折角案内したのにぃ~。でも、高い部屋に宿泊してくれるから許してあげる。んじゃ、鍵取ってくるから、ここで待っててください。」

 とことこと小走りで下に行き、新しい鍵を持ってくる。

「この階の上になるので、ついてきてくださいね~。」
 
 3階に着き、部屋の前に来る。
「2号室でーす。この奥にトイレがありますよ。」

鍵を開け中に入る。

部屋の大きさは、先ほどと変わらない。ベッドは少し大きいかな?
それよりもトイレがあるのだよ。
奥に扉がある。そこを開けると… おぉ!トイレだ!

洋式だけど、便座が無い…。
これは立ってするタイプか…。水は、背面に水をためて流すタイプだな。
水を入れるのが手間だが、水魔法使えばすぐだな…。
うん。でも、トイレがあるのと無いのでは大違いだ。
あとはトイレットペーパーだけど…、まず無いわな…。
どうやって拭くの?と思いながら便器の奥を見ると、ツボに柄杓のようなものが入っている。
うお!これ、もしかして柄杓の水を使って、流しながら洗うタイプ、言うなればウォ〇ュレットの手動versionだ。まぁ、これまでの世界でも、トイレ文化は国によって全く違っている。日本のような最先端のトイレ技術が無い国がほとんどだ。

「では、ごゆっくり~。」
「ありがとう。」

 マリベルさんに銀貨1枚のチップを渡すと、彼女満面の笑顔で1階へ戻っていった。

 さて、ようやく拠点となる部屋を30日分確保できた。
これから、文明・文化レベルを上げることとなるが、先ずはこの2日間で俺に何ができ、これまでの世界と何が違うのかを書き出すことにした。

 先ずは、俺に出来る事か。
忘れるといけないので、これまでの事を箇条書きにまとめておく。
齢は取りたくないが、歳をとると、つい10分前に“これしなくちゃいけない!”と思っていた事さえも思い出せないものなんだ…。

〇出身:辺境の村
〇身分:冒険者(依頼義務有)、商業ギルド登録(年間金貨1枚)
    トーレスさんの店:アドバイザー契約
〇創造魔法
①:火(チャッ〇マン、ター〇ジェット、火炎放射)
②:水(球、ケ〇ヒャー5m)
③:光(八つ〇き光輪20m(+風))
④:風(かまいたち=エアカッター20m、波〇拳5m)
⑤:空間(5.4m×5.4m×5.4m、1,000kg、アイテムボックス=バッグ)
⑥:バリアー(結界、仲間の出入り自由とイメージすれば可能)
⑦:治癒(スーパーヒール)
⑧:感知(索敵)
⑨:暗視(ナイトスコープ)
 〇鑑定

 こんなものかな。また創造できたら追加できるよう余白を空けておくか。
次はこれまでに会ったヒトだ。
 〇人物
  ・ヤハネの光…バーン、ブライオン、ベアトリーチェ、エミネ
  ・トーレス…トーレス商会
  ・ギルド…シーラ(できる子)、アシェリー(お局様、ギルド長の女、次会ったらしめる女)
  ・琥珀亭…マリベル(受付)

次に神様からの依頼分だが…、これまでの世界と比較し感じたことを書く。
 〇時代:中世?
  ①衣…要調査
  ②食…塩少々、香辛料ほとんど無し
     肉有(魔獣、家畜?)
     卵? 牛乳? 酒? 野菜(草?) 要調査
  ③住
   ・電気・ガス:なし(魔法有)
   ・トイレ事情:最悪、簡易水洗、トイレットペーパー無し、手動ウォ〇ュレット(瓶)
   ・上下水道:不明(簡易水洗があるので多少は?)要確認

 全然書けない…。そりゃそうだ、街に来たけど冒険者ギルドとトーレスさんの店しか行ってないからな…。
何をどうレベルアップさせていくのかだけど、これはタフな仕事になるかもしれない。
トイレ事情は改善しなくては…、それとたらいにお湯って事は風呂は無いのか? 日本人に風呂は必須だぞ!などと思いながら、ベッドに横たわる。

 明日は、先ず街を知って生活レベルを理解しがてら情報収集だな…と考えていると、いつの間にか深い眠りについていた。
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