地方公務員のおっさん、異世界へ出張する?

白眉

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第五章

5-28 遠征完了

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翌朝、宿屋を出て馬車に乗り門に向かうと、イカツイ漢が10名ほどと艶やかな女性が20名ほど通りの両側で整列している。
皆何事かと遠巻きに見ている。

「おぉ、あの馬車だ!兄貴!またこの街に戻ってきてください。」
「お待ち申し上げておりんす。」

艶やかな女性とイカツイ漢が一斉にお辞儀をする光景は圧巻だ。

「お、おぅ…。また来るからね。」
「是非、次回はゆっくり滞在してくださいまし。」

艶やかな女性陣は、俺をうっとりと見ている。
その中にひときわ目立つ綺麗な女性がサーペントの髪留めをしていた。
あ、あの人がザックさんのヒトね…。と思いながら、手を振って街を後にした。
横で、ディートリヒが怖い顔しているけど、俺、そんな事しないから安心して。

 ヤハネのメンバーもシーラさんも青ざめている。

「あ、あの、ニノマエ様、昨晩一体何があったのでしょうか…。」
「あ、あの人ね。ザックさんって言って、色街でいろんな店を経営しているヒトだよ。」
「色街に行かれたんですか!?私を置いて?」

いえ、あなたが置いてかどうかは問題ではありません。お風呂をゲットするために行ったんですよ。

「さすが、カズ様なのです。
あの様な方々を従えるなんて…。
でも、遊郭はご遠慮くださいね。」

ディートリヒさんがふんすかしてる…。

「お風呂好きな仲間って事だよ。」
「ですね。あの素晴らしい魔道具を早く堪能したいものです。」
「魔道具(まどうぐぅ~)!」

 全米中が驚愕した、リターン…。

「あぁ、家で使うものを買ったんだ。」
「そうですか…。はぁ、ニノマエさんはどんどん前に進んでいくんですね。」
「あぁ、立ち止まると死んでしまうかもしれない病だ。」
「え、病気なんですか?」
「すみません…、モノの例えです。」

 俺たちは和気あいあいと馬車を進ませる。
駅舎で最後の昼食を摂る。
今日は遠征最後となるので、オーク肉を焼くことにした。

 味付けはレルネさんにもらったジンジャーのような根と醤油…。
そう!なんちゃって生姜焼きを作る事にする。

 簡易コンロにフライパン、油をしいて肉を入れる。
ジンジャーの根をすりおろし、醤油とあえたソースを肉にかけて焼く。
うん!これも嗅覚への暴力だ!

「ニノマエさん、この料理は?」
「あ、これ?なんちゃって生姜焼きね。ほんとは米が欲しいところだけど、米なんて無いから肉料理だけね。」
「米ってなんですか?」
「あ、こんな小さな実の穀物でね。それを大量に煮て蒸かして蒸らすと美味しい“ご飯”というものになるんだ。」

 すまん。米を主食とする俺が米自体のウンチクを語れない…。
それほどまでに身体に染み付いているんだなぁと感心する。
おそらく無いのだろうと決めつけ、今は諦めるか…。
まぁこれまでの世界からアイテムボックスで持ってくれば事足りるし、もし籾を持ってきて俺だけの田を作り栽培しても良いか…。

 少し物思いにふけり気が付けば、全員がフライパンの前に座り涎を出していた…。

「あ、ごめん。じゃぁみんなで食べよう。」
「はい(((はい)))。」





「うめ~~~~~なんじゃこりゃ。」
「こんな美味い物はサーペントのかば焼きに次ぐ料理です!」

 あ、やっぱかば焼きが一番なんだ…。

「すみません。師匠、ビールなるものはありませんか…。」

 ベアさん、いつの間にビール党に?

「じゃんじゃん焼くからいっぱい食べてね。」
「はーい(((はい)))。」

 皆腹がパンパンになった後、馬車を走らせる。
今日帰ればちょうど7日だな、順調、順調。
右手に森を見ながら馬車を進めると、街道に見知った可愛い子が手を振っている。ナズナだ。

「お館様、お待たせしました。」
「おかえり、ナズナ。お疲れ様、chu!」
「あん…、ありがとうございます。では、馬車に入らせてもらい、中で報告させていただきますね。」

 俺たちは馬車の中でレルネさんの郷の話を聞く。
テイムはうまくいっている。おそらくテイムが解けたとしてもコカトリスとうまくやっていけるようだ。
コカトリスもあのエルフの5人であれば問題なく巣の中に入れるくらいになっている。

「コカちゃんの中にも宝を探すのが上手い子がいて、こんなものも取ってくるんですよ。」

 ん?いつの間に名前をつけたんだろう…。きっとナズナの事だからすべてのコカトリスに名前をつけているんだろうな…。

ナズナが手に持った白い骨を鑑定してみることにした。
 ドラゴンの骨:マナは無いが装飾品となる。希少な骨。

「え、ドラゴン…。やっぱり居るんだ…。」
「はい。今度コカっちにその場所に連れて行ってもらえる約束もしてくれました。」
「そ、そうか。凄いな。」
「あ、それとこれがレルネさんの作った外套です。」

 外套を見せる。
表は普通だが、裏地は…、ん普通だけど…。何か違うのか?

「レルネ様からの言伝です。『見ても分からないように隠蔽をかけておいた。詳しく鑑定すれば分かる。』との事です。」

 んじゃ、鑑定してみましょう。
 トレンチコート:経年劣化防止、耐熱・耐寒向上、===、===、===、===

「ナズナ?二重線の隠蔽は何?」
「はい、軽量化、防御力+5、水属性付与、水龍の加護だそです。」
「あの…、最初3つもとんでもないものだと分かるんですが、後ろの防御力+5とか、水龍の加護って何?
俺たちがデカいサーペントを倒したんだろ?何で加護が付くんだ?」
「分かりませんが、レルネ様の力のようです。」
「加護の意味が分からなくなってきた…。」

俺はこめかみを押さえる。

「それと、ベアトリーチェさんの杖もできたとの事で持ってきましたが、見てみますか?」
「あぁ…、どうせ“とんでも武器”なんだろうな…。」

ナズナから杖を受け取る。

う…、前に話していた内容の杖じゃない…。
キラキラのピカピカでマジカル何とかが持っていそうな“ステッキ”じゃねぇか!
取り敢えず鑑定してみることにする…。

マジョカるロッド:防御+2、水属性、===、===、===

「この隠蔽されている部分は何だ…。」
「はい。魔力向上、マナ増加、水芸だそうです。」
「ちょっと待て。
魔力向上とマナ増加に隠蔽をかけるのは分かる。だが、何で水芸に隠蔽をかけるんだ!せめて水属性くらいに隠蔽かけろよ!
絶対遊んでるだろ!あのばばぁ…。」

 とりあえず、レルネさんからの杖だと言ってベアさんに渡すと、でれ~と笑っている。

「私の杖…、私だけの杖…、オリジナルウェポン…、マイ・ウェポン…。」

 多分性能見て落ち込むぞ…。

「ベアトリーチェさん、その杖、水芸ができるそうです。」
「え、そうなの…?どうやるの…?」
「これをこうして…こうすると出るそうです。」
「はい。それじゃやってみる…。」

 ベアさん、ナズナに教えられ、杖を前に掲げる。
すると、杖の先から三方向に水がぴゅーと出た…。

「素敵…。」

 あかん…、マイ杖に洗脳され、冗談装備にも完全に毒化されてる…。

「おぉ!すげえ!ベアトリーチェ!凄いぞ!」

 あれ?みんな完全におかしくなってるぞ…。
まぁいいや…。俺のじゃないから。

「なぁ、ナズナ。もしお前がエンペラー・サーペントの牙であんな能力がある武器を作ってくれたらどうする?」
「先ずは、その武器でレルヌ様をぶっ刺してから、レルネ様の頭に水芸を出しますね。」
「うん。ナズナの判断は間違っていない。正常だ。」
「お館様、ありがとうございます。」

「うん。じゃぁ、ディートリヒだったらどうする?」
「宴会芸に使います!」

ちと残念だけど、まぁ良いか。俺は彼女たちには甘いんだ。

そんなこんなで街に戻って来た。
久しぶりのシェルフール。
久しぶりに戻って来たって感じがする。
門に入ったところでバーンさんが持っている依頼書に完了のサインをし、ヤハネのみんなとシーラさんはギルドに向かった。
俺たちは馬車小屋に行き、馬車を返して琥珀亭に向かう。

 さて、これから残務がいろいとあるけど、先ずはディートリヒとナズナとゆっくりしたい。
琥珀亭に戻ると、ラウロさん、イヴァンさん、マリベルさんが笑顔で出迎えてくれた。
なんか、琥珀亭の匂いが懐かしく感じる。すごく嬉しい。
俺は涙ぐみながら、3人で食べてくれと、デカいサーペントの肉を1㎏渡し、調理方法を教えた。
早速作るとは言ったが、それは閉店してから家族だけで食べた方が安全だと伝えると、イヴァンさんは納得したようで、夜食に食べるって事にしたようだ。

 俺たちは部屋に戻ると、すぐに服を脱ぎクリーンをかけて、ベッドにダイビング。
皆、定位置に収まると二人ともすぐ寝息をたて寝る。
旅の疲れが一気に出たようだ。
いろいろと気苦労かけたからな。今日くらいはゆっくり休んで欲しい。

明日は休日にしようか。
皆行きたいところ、やりたい事もあるだろう。
そうだ、ユーリ様とティエラ様にあの髪留めをお土産として渡しておくのも良いな。
後は店の状況を見つつ、お風呂をお願いしよう…。
いろいろとやる事を思い浮かべながら、いつしか俺も睡眠という深い海の中に沈んでいった。
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