地方公務員のおっさん、異世界へ出張する?

白眉

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第六章

6-7 完成

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 酷い…。
 ディートリヒの時もそうだったが、何故ヒトはここまで出来るのか…。
2つの塊はどちらも女性のように見えるが定かではない。

 ディートリヒが予め敷いてくれたのは遠征で使った馬車での敷物だった。
既に血に染まり始めている。
両方危険な状態なのは分かるが、危険な方を先に措置しなくてはいけない。

 小さい方は両腕が切られてはいるが、まだモノはある。しかし、腹部に何十か所も刺し傷があり、内臓の機能が危うい。それに顔の左半分が青くなっている。これは何だろう?
 大きい方は右腕が欠損し、併せて右わき腹が大きく抉られており、あばらと腰骨が見えている。そしてこのヒトの顔の右側半分が青くなっている…。
こんな状態で良く生きていると思うも、先ずは欠損が大きい方を治療することにする。

 奴隷ではないから、確認は要らない。
もし、なにかあれば、そのままどこかに行かせればよい。
先ずは欠損部位と内臓などが再生することをイメージし、治癒魔法をかけた。

「治れよ…、スーパーヒール!」

 黄色い光が全身に覆う。うお!一気に半分以上持ってかれたぞ。
そこにディートリヒが帰って来た。

「カズ様、すべて処理してきました。」
「ありがとう。今一人治癒魔法をかけたところだ。
 あと一人だが、マナポーション2本分で何とかいけるかいけないかって思う。
もしかすると倒れるかもしれないから、明朝ここにジョスさんが来たら、3階には入らないように言ってくれ。それと家具屋も来るからこの部屋には何も置かず、あとの家具の配置を頼みたい。」
「はい。任せてください。」
「俺が倒れても、ここに置いといてくれ。あ、この間、馬車で使った布団があっただろ?あれ敷いておいてくれれば、俺もここで寝るから。」
「では、私も。」
「琥珀亭のみんなが心配するからな…。じゃ、申し訳ないが、ここで一緒に休んでもらい、さっきの事を頼む合間に琥珀亭に話しておいて欲しい。その時間には回復していると思うから。」
「カズ様、絶対無理してはいけませんよ。
もし、何でしたらマナポーションをもう少し飲んでいただき、あの夜のようにしていただいても良いのですが…。」

 ん?あの夜?
あ、マナ中毒になった時のことか…。
あかん…、ディーさんクネクネし始めてる。こんな時に、もう!
あんな状態になったら、両方とも朝起きられませんよ…。

「ごめん…。あれはもう経験したくない…。」
「そうですか…、残念です…。」
「あ、でもマナポーション飲んで治癒魔法かけた後なら、何しても良いからね。」
「え、何しても良いのですか?!」

 ディーさん…、違う意味で目がキラキラしているけど…、一応ここに2名居るからね…。

「まぁ、ここに2名いるって事を忘れないでね…。
 じゃぁ、いきますよ。」

 もう一度バフをかけ、マナポーションを2本飲む。
この人の腕が元どおりになり、刺された箇所、内臓も再生し、笑顔で動ける姿をイメージする。

「治れ…スーパーヒール!」

 うぉ…、ヤバい状態になりそうだ。
あ、でもアナウンスが流れない。
このまま倒れないと、またディーさん悲しむかな?
でも、一回ディートリヒが何したいのかを見るのも楽しみだよね。
ここの2人は明日も動けないと思うから、じゃぁ隣の部屋に行ってみようかな。

「ディートリヒ、倒れそうだから、隣の部屋に連れて行ってほしい。そこで布団敷いて休もう。」
「はい!!カズ様!!」

 なんだ、ディーさん、この元気は…。
俺、多分死ぬかも…。

 うん。とっても凄いことされました。
あんなことや、そんなことも…。でも、ディーさんもしっかりと愛してくれたみたいだし、満足もしたのかな。それに俺もそれなりに楽しみました。ハイ。

 翌朝、俗に言う朝チュンです。

「ディートリヒ、起きれるか?」
「ふぁ…、カズ様。昨日はとても良かったです。」
「うん。そうこうしているうちに、ジョスさん来ちゃうからね。」
「そうでしたね。カズ様は立てますか?」
「うん。すこしフラフラするけど、大丈夫だよ。」
「よかったです。私は…、えへへ。立てません…。」

 そこまでがんばっちゃったのね。
そうだよね。すごかったもの。

「じゃぁ、俺が少し動くから、ディートリヒはここで、彼女たちが目を覚ますのを見てて欲しい。
 もし、起きたら念話でもして。この街の距離だったら、もしかすると聞こえるかもしれないからね。」
「はい。すみません。えへへ。でも、カズ様ってすごいです。」
「そんなに凄くないよ。動いてくれたのはディートリヒだからね。」
「また…、お願いしてもよいですか?」
「うん。またお願いね。chu!」

 うん。若いってこういう事なんだね。
でも、ディートリヒ、凄く良かったよ。

 さて、1階に行き、そしてジョスさんが来るのを待っていると、ガヤガヤと大勢の声が聞こえる。
ジョスさんたちだ。

「おぉ!ニノマエさん、早いな。今日明け渡しだもんな。
 今屋上の最終調整をするから、それまで待っててくれ。」
「ありがとうございます。あ、2階と3階はこのままで良いです。
 今、ディートリヒが部屋をチェックして、これから家具を運びますので。」
「おぉ、そうか。んじゃ、おめーら、早速屋上行って最終調整だ!」
「へい((((へい))))。」

『ディートリヒ、聞こえる?』
『は、はい。』
『ジョスさんたちが屋上で工事するけど2,3階は入らないって言ってたから安心してね。もし、来ても部屋のチェックしてますって言っておくんだよ。』
『はい。』

 俺は家具屋に行く前に、琥珀亭に行き、今日でチェックアウトすることを伝える。
ラウロさんも俺が家を建てていることを知っているので、今度遊びに行くって言ってくれた。
イヴァンさんが残金を返そうとしてくれたが、それは今後この店に来てご飯も食べるので、その分に取っておいて欲しいと言ったら、背中を叩かれたよ。
 ラウロさんたち3人に見送られながら、琥珀亭を後にした。

 次に向かったのは家具屋で、保管してもらったものを運んでもらうようお願いした。
余分に日当を払ったので、皆俄然やる気だ。計5人の人夫で家まで家具を運んだ。
大きい荷物はリヤカーで、小さいものはアイテムバッグで持って行く。

『ディートリヒ、聞こえるか?』
『は、はい。聞こえます。これ凄いですね。』
『そうだね。で、2人は起きた?』
『いえ、まだ寝ています。』
『分かった。今から家具を持って行くから。でもその部屋には何も入れないからね。』
『分かりました。』

 ガラガラとリヤカーを引きながら店まで向かう。
皆見てるよ…。
あ、ご近所さんに何か渡さないといけないな。何が良いかな?
なんて考えているうちに、店に到着した。

「では、2階から入れましょう。」

俺は、てきぱきと人夫さんに指示していく。
彼らもプロだから、一つ一つ丁寧に運び、指定の場所にセッティングする。
2階はリビングだけなので、ものの30分で終わった。
俺は3階を行き、ベッド類とその他の家具を入れていく。勿論あの部屋は倉庫という名目で何も入れず、そのまま素通りさせる。3階は1時間くらいで終了。
残りは1階と屋上だが、屋上はまだ調整しているので、1階を先に。
それもすぐ終わる。
なんだかプロがやると早いんだよね。
午前中で家具を配置できてしまった。
人夫さんに、昼食代として一人銀貨5枚、計25枚を渡すとニッコニコの顔で帰っていった。

 さて、お昼になる。
俺は2階のリビングに行き、台所の使い勝手を確かめる。
うん。いい塩梅だ。すごく使いやすい。
なら、ジョスさんたちに昼食を作ってあげるか、と思い、なんちゃって生姜焼きを作る。
それを屋上に持って行き、昼食ですと渡すと、すごく感謝された。
それに、酒も少し渡したので、皆大喜びだ。

「ニノマエさん、ほんとすまねえな。」
「いえいえ。台所も使いましたが、凄く使いやすいですよ。」
「そう言ってくれると嬉しいね。そうだ、あと小一時間で完了するから、また連絡する。」
「では、自分は2階で整理していますので。」

そう言って2階に行き、ディートリヒと俺の昼食を作りディートリヒを2階に呼んで昼食を摂った。

 ほんとに小一時間だった。

「ニノマエさん、完成したぜ。」
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