地方公務員のおっさん、異世界へ出張する?

白眉

文字の大きさ
304 / 318
第十二章

12-7 軍師、再び…

しおりを挟む
 久しぶりにキレてしまった。
反省しなければ…。

 我に返り、皆を見ると…、あかん…。みんな引いてる。
奴隷の2人はといえば、顔色が青から白に変わっている。

やっちゃったか…。

「ジーナさん、少し言い過ぎた。
 でもな、あんたたちがやろうとしていることはそういう事なんだよね…。
 自分の欲求だけ満たされれば、後はどうなっても構わない。
 それが金貨3枚だとしてもね…。」
「旦那様、私達はこれからどうすればよろしいのでしょうか…。」
「悪い事は言わない。その話から抜けろ。
 もし抜けられないなら、俺たちを頼れ。流石に旦那は助かるかどうかは分からないが、少なくともあんた達だけでも助けることはできる…。」
「助けてください。それに、もし夫も助けていただけるのであれば、私達は何でもします。」
「だから、そういうのは要らないって言ってるだろ…。
 何でもなんて、できないんだよ…。」

できればこの2人だけでも助けてあげたい…。
でも、もし旦那も騙されているだけなら、助けてあげたい…。

「メリアさん、レルネさん、ディートリヒ…。このヒトたちだけでも何とかならないかね。」
「やはりカズさんですね。
 そうですね。ホールワーズ家は領地没収、帝国の貴族も何とかできるとしますが、闇に葬るためには、カズさんにも手伝っていただくことにはなりますが、よろしいですか?」

 お、我が家の軍師が動き出すぞ。

「先ずはジーナに手紙を2通したためてもらいます。
 一つ目は、今回の件についてジーナとサーヤはこの店の技術を盗むだけと言われた事に間違いはない事を供述書として残し、署名してください。
 二つ目は、ジーナの夫に技術を石鹸の技法を盗んだこと。そして、その技術と同時にミシンという機械も盗めたことを伝えること、最後に機械はすぐに見つかるので大至急渡したいことを記載するのです。
 そうですね、私たちが引っ越しするという情報も入れて、明後日の夜、皆が準備のために動き始めるので、夜の9時に南の門で落ち合う旨を記載してもらいます。できれば翌日にでも機械の足取りを消したいと書けば、何か動いてくる可能性はありますね。」
「その手紙を書いて、どうすれば良いのですか?」
「あなた方が昨晩まで情報を渡していた方法で良いでしょう。
 おそらくジーナの夫もこの街に来ているのでしょ?
 であれば、明後日の夜、一緒にホールワーズまで行けるのではないですか?
 ただし、これまでの事を夫にも話さないようにしてください。さらに筆談もダメです。
 あなた方には監視を付けていますので、そのことを重々覚えておいてくださいね。
 あ、レルネ、仮の奴隷の首輪を2個作ってください。
 それを見れば、喋れないことが分かるでしょう。あと、首輪は中クラスの解除魔法で外れるものとしてください。ホールワーズ家では首輪は解除できず、帝国にお願いすることとなるでしょうから。」

 ジーナさんは言われたとおり、紙に書き始めた。
メリアさんの背後にだんだん黒い闇が溢れてき始めた…。
こういう戦略というか策略を練るのはメリアさん大得意だもんな…。
俺も術中にハマったし…。

「明後日の夜にジーナとサーヤが移動する際には、サーシャとネーナが影に入っておりますからね。
その後、数時間したら三下でしたか?彼らがここを襲う可能性もありますね。
 守るのは私達で出来ますので、全員を殲滅するのではなく一人だけ泳がせましょうか。その泳がせる三下の影にナズナさんに入ってもらいます。アジトが分かれば、私達に報告を。
 その後、討ち入って、一味を取り押さえましょう。
 多分別館には来ないとは思いますが、念のため、別館には強い結界を張っておきましょうね。」

「書きました…。」
「はい…。分かりました。では、この一通をこれまでと同じような方法で渡して下さい。
 ナズナさん、ベリルさん、一応見張っててください。
 そして、情報が向こうに渡ったのなら、ベリルさんが報告を。ナズナさんは申し訳ありませんが、監視をお願いします。」

 ジーナさんとサーヤさんが部屋を出ていった。

「なんだか、こういうのってイヤだね。」
「カズさんは、ヒトを信じますからね。」

そうなんだよな…。これまで何度も痛い目に遭ってきた。
それは俺が悪いんだって決めつけていたけど、これだけのヒトを守るためには仕方が無いことなのかもしれない。

「明後日の夜の行動は分かったけど、その後はどうするんだ?」
「街にいる組織を潰してから、クラリッセにホールワーズに先行してもらいます。
 向こうは馬車ですから、飛んでいけばすぐに追いつくでしょうからね。
 その後、カズさん、私、ディートリヒ、ナズナ、ベリル、ニコルで後を追いかけます。
 おそらく3日後の夜には、ホールワーズ領と帝国領の境界辺りで会敵することになりますね。
 そこを押さえます、というより、根を断ち切ります。」

 あ、ヒトを殺めるって事か…。
魔物は耐性があっても、ヒトとなると…。
それも、ディートリヒ以外殺めたことは無いだろう…。
そうすると、彼女たちに苦しみやPTSDを与えないためにも、俺がやるしかないって事か…。
覚悟決めないとな…。

「確認だが、ホールワーズってやつと、帝国の貴族も一緒に殺っていいのか?」
「できれば、その2名だけは生かしてほしいというのが王宮の思いでしょうね。」
「そこは善処しますが、難しいな…。」
「カズさんが思ってる最善の方法は何ですか?」
「闇に葬るという事は、氷は不可能だ。なぜならこの辺りの天候で雪は降らないから、魔法だとわかってしまうし、何よりも氷の魔法の専売特許はメリアさんだからね。
 じゃ、魔銃であれば、と思うが、人数が多ければ力を込めなければいけないから、木っ端みじんになってしまい、2人を残すことは無理だ。
 残る方法はただ一つ。雷しかない。」
「カズ様、あれを使うと、カズ様だと分かってしまいます。」
「あれだけ大きなものは撃たないよ。“プチ・インドラ”で良いんじゃないかな?
 ま、その前に回りのヤツに水をぶちまけてもらうと嬉しいけどね。」
「では、水は私達で周囲のモノにかけましょう。」

 雨が局地的に降って雷が落ちた体にすれば良いんだが、そううまくいくのか?
あ、いかん…、変なフラグを立てないようにしよう。

「あ、アイナ。一つお願いがあるんだが。」
「はいな、社長!今日の夜の御供ですか?」
「いえ、そう言う事ではなく、来月までに20人くらい乗れる乗合馬車を一台作ってもらえるか?」
「それもバネ入れるんですか?」
「あぁ。ノーオの街の工場で働くヒトがクローヌで温泉につかれるようにしたいんでね。」
「福利厚生ですか?」

 何でお前がその言葉を知っているんだ…?
あ、知能向上か?

「であれば、うちも20人乗りを一台作っておきましょうかね。」
「そりゃ、助かるよ。差し当たり一台金貨15枚くらいか?」
「はぁ?社長、どんな豪奢な馬車を作るんですか?一般のヒトが乗れる馬車であれば、金貨7,8枚で十分ですよ。」
「それじゃ、座席も良くしてもらって一台金貨10枚、今作ってる馬車と同じ金額で頼む。」
「はいな!」

 皆で意思統一を図る。
皆、覚悟を決めてくれた。でも殺めるのは俺だけでいい。

 部屋に戻り、セネカ様にコンタクトする。

 『大変な事態になりましたね…。』
 『こんなことはしたくないんですけどね。』
 『でも、誰かがやらねばなりませんからね。』
 『それを俺に言いますか?まぁ文化を1ランク上げるという事はそういうリスクもある訳ですからね。』
 『ニノマエさんは、他の柱よりも理解がありますね。』
 『神様ならどうしますか?』
 『駄々こねます。で、誰かにやってもらいます。』
 『うわ、最悪ですね。』
 『神なんてわがままで意地悪で自己中心的ですから。』
 『それを自分で言うんですか?』
 『そう言われても仕方ありません…。』
 『セネカ様…』
 『はい、何でしょうか?』
 『今日はいやに塩らしいですね。』
 『そういう時もあります…。神も万能ではありませんから。』
 『あの…、うぬぼれかもしれませんが、俺の事だったら心配しなくていいですよ。
  俺は俺が愛するヒト達を守るために行動を起こすだけです。』
 『ふふふ。ニノマエさんはやはり面白いヒトです。
  では、行動の際のヒントです。魔獣は石化や麻痺ができます。それは何故でしょう?』
『そういった器官があるからでしょうね…。
…あ!そう言う事ですか。
  ありがとうございます。これで皆も喜ぶと思います。』
 『でも、ヒトを殺めるには変わりありませんよ。』
 『それでも、皆が苦しまなくて済みます。ありがとうございました。』
 『では、良い報告を待っていますね。』

 なんだかんだ言って、セネカ様も味方になってくれる。

しかし、殺めることは間違いない。
ただ、今回はヒトだ…。

だから、その業は俺が背負うよ…。、
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...