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決闘②
しおりを挟む「マルコ、朝っぱらから何をやっている?」
突然の声により教室中に張り巡らされた緊張感は一気に霧散した。
その声により次々に生徒は、席へと座っていく。
今まで激昂していたフレイの許嫁も「チッ」と舌打ちを残し、先程の僕の前の席へと勢い良く腰を下ろした。
その声を放った人物は、シロイに一瞬だけ視線を向けるが、興味を失ったのかゆっくりと教卓へと足を進める。
そして用意されている椅子に面倒臭そうに腰を下ろし、慣れた動きで両足を浮かし教卓へと乗せる。
どうやらこのクラスの担任にあたる人物のようだ。
赤い、汽車で出会ったリオラよりも更に真っ赤な髪と目、そして無精髭を生やしている30代位の男。
その体は鍛えられていて一目で強者である事が分かる。
「ほらいつまで突っ立ってんだ?」
余りの衝撃に立ち尽くしていたシロイも急いで元の席へと戻った。
「どうやら紹介はいらないみたいだな。」
直ぐに自分の事だと分かる。
朝からこんな目立ってしまったのだ。
羞恥心を抱いていると、教師であろう人物がシロイへ人差し指を向け「立て」の合図を見せる。
「シロイと言います。先程は騒ぎを起こしてしまってすみませんでした。短い間ですが宜しくお願いします。」
その意味を理解したシロイはその場で勢いよく立ち上がり、簡潔に皆へと挨拶をした。
「仲良くしろよ~。」
前からはやる気が全く感じられない声援が聞こえた。
教師の一声で所々で小さな拍手が鳴り始める。
シロイは緊張の糸が切れたのか倒れる様に椅子へと座った。
(僕はやっぱり目立つのが嫌いだ。)
時間は少し過ぎ、その男は教室から出て行った。
最後までやる気はなかった様だ。
何故この男が教師をしているのか不思議でならない。
後にこの教師は「ギン」という名前である事が分かった。
しかもこの学園で1、2を争う位強いらしい。
「ギン先生はずっとあんななのよ、けど実習においては一番勉強になるから。」
フレイがこう言うからには間違いないのだろう。
さて、僕の問題はここからだ。
「みなさんおはようございます。
それでは休み明け恒例の魔力検査を始めましょう。」
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