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第9章 失った時を探して…
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「でも、本当に何もないトコだよ」
ダメ押しのように、タクトは言う。
「いいから、ちゃっちゃと連れて行ってよ」
渋るタクトをたしなめるようにして、ユリカさんが言う。
2人の力関係は、こうなんだ…と珍しいものを見るように、エラは目を
パチクリとさせた。
「だってぇ~あんなトコ、行ってもつまんないよ!
それよりも…夜景のきれいなトコとか、美味しいものを食べに行くとかさぁ」
まだ未練がましく、タクトは文句を言う。
それをイラついた目で、ユリカさんはにらみつけると、
「いいから、さっさと運転してよ!」
じれたように、バンと思いっきり、タクトの背中を叩くと、乱暴に助手席の
ドアをバンと閉めた。
タクトの前で、初めて女の子らしいファッションを披露したあの日…
すかさずユリカさんが、タクトに、あのトンネルに連れて行って欲しい…と、
交渉してくれた。
もともとエラが行きたいと熱望していたのだけれど…
まさかユリカさんが、言い出してくれるとは、思ってもいなかった。
なので、心の底では、かなり感謝していたのだ。
だが、当のタクトは、エラの事情など、知る由もなく、
「えぇ~そんなトコに行っても、何にもないよ!
ぜぇったい、退屈するってぇ」
ブツブツ言って、かなり渋っている。
そんなタクトの様子を見ていると…
よっぽどそこには、何にもないいんだろうなぁ~と、エラにも知れる。
それもまた、もしかしたらかえって、好都合なのでは、と一瞬思う。
なぜならば…人がひんぱんに出入りするところだったら、
エラの落とし物など、当の昔に持ち去られているか、なくなっている可能性
だってあるからだ。
(ということは…もしかしたら、まだ、残っているかも?)
つい期待してしまう、エラだった。
ダメ押しのように、タクトは言う。
「いいから、ちゃっちゃと連れて行ってよ」
渋るタクトをたしなめるようにして、ユリカさんが言う。
2人の力関係は、こうなんだ…と珍しいものを見るように、エラは目を
パチクリとさせた。
「だってぇ~あんなトコ、行ってもつまんないよ!
それよりも…夜景のきれいなトコとか、美味しいものを食べに行くとかさぁ」
まだ未練がましく、タクトは文句を言う。
それをイラついた目で、ユリカさんはにらみつけると、
「いいから、さっさと運転してよ!」
じれたように、バンと思いっきり、タクトの背中を叩くと、乱暴に助手席の
ドアをバンと閉めた。
タクトの前で、初めて女の子らしいファッションを披露したあの日…
すかさずユリカさんが、タクトに、あのトンネルに連れて行って欲しい…と、
交渉してくれた。
もともとエラが行きたいと熱望していたのだけれど…
まさかユリカさんが、言い出してくれるとは、思ってもいなかった。
なので、心の底では、かなり感謝していたのだ。
だが、当のタクトは、エラの事情など、知る由もなく、
「えぇ~そんなトコに行っても、何にもないよ!
ぜぇったい、退屈するってぇ」
ブツブツ言って、かなり渋っている。
そんなタクトの様子を見ていると…
よっぽどそこには、何にもないいんだろうなぁ~と、エラにも知れる。
それもまた、もしかしたらかえって、好都合なのでは、と一瞬思う。
なぜならば…人がひんぱんに出入りするところだったら、
エラの落とし物など、当の昔に持ち去られているか、なくなっている可能性
だってあるからだ。
(ということは…もしかしたら、まだ、残っているかも?)
つい期待してしまう、エラだった。
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