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第11章 トンネルの向こうには…

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「おい、大丈夫かぁ?」
 警戒するまなざしで、タクトはその方角を見つめている。
(ユリカのけんかっ早いトコは、問題だよなぁ)
タクトの目が、そう物語っている。
「夢?」
いきなりピタリと、エラは足を止めると、ボーッとして、何かを
思い出そうとしている。
(私も何か…奇妙な夢を見たような気がする。
 その夢って、どんなものだっただろう?)
ふいにそう思い至ると、一生懸命、失った記憶を思い出そうとしていた。


 ようやく二手の光が合流した時に、トンネルの中がぱぁ~っと明るく
なってきた。
向こうからは、20代の女性と男性の2人組が見えた。
それにエラとユリカさんとタクトが、顏を見合わせている。
いささかちょっと気まずくて…互いに顔を見合わせるだけだ。
「あのぉ~もしかして、何か…見つけたんですか?」
勇気を振り絞って、エラはその2人に話しかける。
黙っていても、気まずいだけだ。
もしかしたら、この2人が、何かを知っているのではないか…と思ったのだ。
「あぁ~」と男性が、声をもらす。
「あなたたちも…何か、なくされたんですか?」
人の良さそうな、優し気な雰囲気の女性が、エラに向かって声を張り上げる。
「あっ!」
 すっかり、忘れそうになっていた。
エラはようやく、本来の目的を思い出して、思わず声を上げる。
「そう、そうなんです!
 何か、見かけませんでしたか?」
 どうやら、危ない人たちでは、なさそうだ…
そうエラは確信すると、その女性に向かって、声を張り上げる。
(やっぱり、どこかで会ったのかしら?)
エラはそう考えると、辺りを見回す。
それが、いつのことだったか、どこだったのか…と頭をひねる。
(この子…やっぱり、私のこと、知っているの?)
その女性も、全く同じように感じていた。
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