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第12章 いざ、突破!

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 急に、腹が決まったミキ…
ならば、思い立ったが吉日!
早い方がいいのではないか、と思う。
「じゃあ、マーサさんがいなくなったタイミングで、お庭に
 出ましょう」
誰もいないかを見計らって、まずは庭のブランコの辺りまでならば、
大丈夫なのではないか…と思うのだ。
 もし万が一、何かあっても、その辺りならば、すぐに引き返せる…
と思ったのだ。
「幸い王子様は、お城の方に戻られているから…
 あとは、大臣の息子さんの目さえごまかせれば…何とかなります」
わざと明るく、ミキは言いきった。
キッパリと断言してはいるけれど…もちろん何の根拠があるわけではない。
 せめてちょっとでも、外の空気を吸って、気分転換をしたら、
この姫を納得して、少しは落ち着くのではないか…と思ったのだ。
「うまくいくかしら?」
言い出したものの、少し不安そうな顔をするエラ。
「大丈夫ですよぉ」
自信満々に、ミキは言う。
 そう言いきってしまうと、何だか簡単に、出来るような気がしたのだ。
「ホント?」
うれしくなって、思わずエラの声がはずんでくる。
すると見ているミキもつられて微笑むと、
「大丈夫!きっとうまくいきます」
大きくうなづいてみせた。

「これは、2人だけの秘密よ!」
 信子は新たに現れた、信頼できるメイドさんに、ささやきかける。
「はい」
神妙な面持ちでうなづくと、まずは信子の着替えを手伝う。
 計画は、とてもシンプルだ。
ミキが調達してきた服に着替えて、出入りの使用人のフリをして、
外へ脱出しようというものであった。
「ねぇ、そんなことをして、本当に大丈夫なんでしょうか?」
やはり気になるのか、ミキは心配そうな瞳を、信子に向けて来る。
「こういうのはねぇ~勢いと思いきりが大事なのよ。
 エイッとやってみないと!」
励ますように、信子は言った。
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