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第22章 最後の選択
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しおりを挟むどうしよう?
信子は迷う…
まさか、今、この瞬間に、決断を迫られるなんて!
ふいに弟のジュンヤの顏が、1番に彼女の脳裏に浮かんでくる。
だけども…先日会った時の顏が、とても楽しそうで、
(あの子がもう、私がいなくても、大丈夫…)
そう感じた。
自分が今、ここにいないといけない理由は、もうどこにもない…
「これが、最後のチャンスです。
後で後悔しない道を、選びなさいね!」
再び声が聞こえる。
そう言われても、選べない場合は、一体どうしたらいい?
(そういえば…もう1人のあの子が、すでに選んだ、と言っていたけれど、
どうしたのだろう?)
急に、気にかかってきた。
(じゃあ、私は?)
信子は1人、頭を悩ませる。
時間が、もうない。
(一体、私は、どうしたらいい?)
信子は目の前の靴を、じぃっと見つめる。
他に選択肢はない、とはわかっていた。
でも今、この靴をはいたとしたら、どうなるのか…と思うと、
やはり、どうしても、ためらってしまう。
もしも、このまま残ったら?という思いも、頭のどこかをかすめた。
「あなたの選択は、ここに残る…ということで、いいのですね?」
ダメ押しのように、突然声が聞こえてきた。
今、気が付いたのだが、あの声は…
おそらく自分の頭の中から、聞こえてくるのでは、と思っていた。
何だか、おかしな感じだ…
魔法使いのおばあさんに、自分の頭の中を、のぞかれているのでは…
と感じていると、
「私には、そこまでは出来ません」
やはり声が聞こえてきた。
(じゃあ、これは…幻聴なのか?)
急に自分の判断に、自信がなくなる。
(確かあの子、決心した、と言っていたよね?)
再び思い出すと、その思いつきにすがる思いで
「1つだけ教えて!
あの女の子は、どっちを選んだの?」
声を押し殺して聞いた。
「そんなこと、あなたには、教えられません」
淡々とした声がかえってくる。
じゃあ、質問を変えてみよう、と思い、
「それなら、あの子と私が、もしも同じ世界を選んだとしたら…
一体、どうなるの?」
その可能性がない、とはいえない…
なぜならば、もともと彼女は…
おとぎの国の住人だったからだ。
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