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第12章 優しくしてよ、モンスター
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男はピクリと肩をこわばらせるけれど、何も言わず、
じっとその場に固まっていた。
「今までずっと、1人でいたんですか?」
続けて言う珠紀のその言葉には、かすかに今までにはなかった
いたわりの心が込められていた。
だが男は何も言葉にすることはなく、黙ってその場を離れた。
「あなたは、本当にいい子ねぇ~」
この日は新たに、珠紀のために用意された部屋で目覚めると、
早速山内さんが、カーテンを開けにのぞきに来た。
その部屋は、昨日までいた、穴倉のように暗い部屋とは違い、
陽の光のさす、とてもすっきりとして、居心地のよい部屋だ。
カーテンは花柄で、レースのカーテン越しに、柔らかな日差しが入る。
壁はクリーム色で、窓の外には、やはりあの庭が見える。
だがこの部屋にも、やはり絵がかかっている。
おそらくどの部屋にも、彼の描いた絵が飾ってあるのだろう。
「なんのこと?」
澄ました顔で振り向くと、山内さんはニヤニヤとして、
こちらを向いている。
「その気になれば…あなた、ここから帰れたでしょうに」と言うので
「だって、だましたようにして逃げるのではなくて、
堂々と正面から、帰りたかったんですもの!」
まっすぐな瞳で、元気よく答えた。
実を言うと、珠紀は方向音痴なのだ。
だから1人で逃げるにしても、どっちに行けば、帰れる道なのか…
見当もつかないのだ。
(それにあの時は、夜だったし!)
まさか正直に打ち明けるわけにもいかず、心の中で、ひそかに
そう思っていた。
「へぇ~」
やはりニヤニヤと笑いながら、珠紀を見ると
「あなた、案外坊ちゃんとお似合いかもねぇ」
とからかうように言った。
じっとその場に固まっていた。
「今までずっと、1人でいたんですか?」
続けて言う珠紀のその言葉には、かすかに今までにはなかった
いたわりの心が込められていた。
だが男は何も言葉にすることはなく、黙ってその場を離れた。
「あなたは、本当にいい子ねぇ~」
この日は新たに、珠紀のために用意された部屋で目覚めると、
早速山内さんが、カーテンを開けにのぞきに来た。
その部屋は、昨日までいた、穴倉のように暗い部屋とは違い、
陽の光のさす、とてもすっきりとして、居心地のよい部屋だ。
カーテンは花柄で、レースのカーテン越しに、柔らかな日差しが入る。
壁はクリーム色で、窓の外には、やはりあの庭が見える。
だがこの部屋にも、やはり絵がかかっている。
おそらくどの部屋にも、彼の描いた絵が飾ってあるのだろう。
「なんのこと?」
澄ました顔で振り向くと、山内さんはニヤニヤとして、
こちらを向いている。
「その気になれば…あなた、ここから帰れたでしょうに」と言うので
「だって、だましたようにして逃げるのではなくて、
堂々と正面から、帰りたかったんですもの!」
まっすぐな瞳で、元気よく答えた。
実を言うと、珠紀は方向音痴なのだ。
だから1人で逃げるにしても、どっちに行けば、帰れる道なのか…
見当もつかないのだ。
(それにあの時は、夜だったし!)
まさか正直に打ち明けるわけにもいかず、心の中で、ひそかに
そう思っていた。
「へぇ~」
やはりニヤニヤと笑いながら、珠紀を見ると
「あなた、案外坊ちゃんとお似合いかもねぇ」
とからかうように言った。
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