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幕間…揺れる心
モノローグ
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自分はずいぶん以前から、人に期待することをやめてしまっていた。
どうせ自分のことなど、本当に愛してくれる人など、現れるわけがない…
そうずっと、自分に言い聞かせてきた。
醜いアヒルの子が、実は白鳥だった…というおとぎ話があるけれど…
自分はいつまでたっても、醜いままで、白鳥になる兆しもない。
さらには、あの女の子が本当に自分のことを、好意を持っていてくれる…など
ただの絵空事に過ぎない…と、分かってはいたけれど。
そう思わずにはいられない。
出来るだけ…自分を傷つけないように、心を固くして、麻痺させるのに
長けていると思っていた。
こんな小娘に…自分の心を読み解かれてたまるものか…と。
「坊ちゃんは、それでいいんです」
山内さんは、やや心配そうな顔で、ハッキリと言う。
だが答えは…中々見つからない。
1日のうちでも、朝と昼とでは、モチベーションも違うけれども、
他のことにも、何かが違うようだ。
その違和感の正体が、なんなのか…
やっぱりわからないままだ。
「お前は、何が言いたいのだ?」
イライラしながらも、彼は言った。
このオバサンは…自分に一体、何をさせたいのだ?
もちろん、うすうすは気付いているつもりだ。
わかってはいるけれど、それは…かなうはずもない、と。
こんな自分のことを、本当に愛してくれる者など…
この世に存在するものか、と壁際に置かれた写真を振りかえる。
母親は、自分のことを、哀れだ…と泣いた。
せめてどうにか出来ないものか、
お前を残して死ぬことが…とても心残りだ…と。
自分はこのまま、この地の果てのような城の中で、
老いさらばえ、朽ちて行く運命だ…
そう思っていたのに…
そう、あれは、夢だったのだ。
一瞬見た夢…
まさか自分の前に、初恋の人とそっくりな女の子が現れる…などと、
まさに夢物語の世界でしか、あり得ないのではないか…と。
心は見せては、いけない。
脱ぎかけた仮面でしっかりと、隠さねば…
男は、自分に言い聞かせる。
もしも彼女が、この仮面の下の素顔を見たのなら…
おそらくあの女の子も、恐れおののいて、逃げだしてしまうだろう…
そう思うと、あらためて自分を戒めるのだった。
どうせ自分のことなど、本当に愛してくれる人など、現れるわけがない…
そうずっと、自分に言い聞かせてきた。
醜いアヒルの子が、実は白鳥だった…というおとぎ話があるけれど…
自分はいつまでたっても、醜いままで、白鳥になる兆しもない。
さらには、あの女の子が本当に自分のことを、好意を持っていてくれる…など
ただの絵空事に過ぎない…と、分かってはいたけれど。
そう思わずにはいられない。
出来るだけ…自分を傷つけないように、心を固くして、麻痺させるのに
長けていると思っていた。
こんな小娘に…自分の心を読み解かれてたまるものか…と。
「坊ちゃんは、それでいいんです」
山内さんは、やや心配そうな顔で、ハッキリと言う。
だが答えは…中々見つからない。
1日のうちでも、朝と昼とでは、モチベーションも違うけれども、
他のことにも、何かが違うようだ。
その違和感の正体が、なんなのか…
やっぱりわからないままだ。
「お前は、何が言いたいのだ?」
イライラしながらも、彼は言った。
このオバサンは…自分に一体、何をさせたいのだ?
もちろん、うすうすは気付いているつもりだ。
わかってはいるけれど、それは…かなうはずもない、と。
こんな自分のことを、本当に愛してくれる者など…
この世に存在するものか、と壁際に置かれた写真を振りかえる。
母親は、自分のことを、哀れだ…と泣いた。
せめてどうにか出来ないものか、
お前を残して死ぬことが…とても心残りだ…と。
自分はこのまま、この地の果てのような城の中で、
老いさらばえ、朽ちて行く運命だ…
そう思っていたのに…
そう、あれは、夢だったのだ。
一瞬見た夢…
まさか自分の前に、初恋の人とそっくりな女の子が現れる…などと、
まさに夢物語の世界でしか、あり得ないのではないか…と。
心は見せては、いけない。
脱ぎかけた仮面でしっかりと、隠さねば…
男は、自分に言い聞かせる。
もしも彼女が、この仮面の下の素顔を見たのなら…
おそらくあの女の子も、恐れおののいて、逃げだしてしまうだろう…
そう思うと、あらためて自分を戒めるのだった。
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