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第2章 こんなはずじゃなかったアパート探し
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「どうもすみません…ちょっと抜けられない、所用があったもので…」
にこやかにその女性が言うと、あらためて淑子たちに挨拶をした。
「私、滝川さんのご紹介でまいりました、Fステートの藤吉と申します」
そう言うと、薄手のスプリングコートから、名刺を取り出すと、
コートの間から、ヒョウ柄のTシャツがチラリと目に入った。
(?)
何気に待子の目に留まり、思わず目が点になった。
(ヤバイ!もしかしてまた、キャラの濃いオバサンが登場した?)
内心面白がりながらも、思わず後ずさりすると…
「こら!逃げないの!」
母は強し。
淑子は、後退しようとする待子のジャケットの裾を、ムンズとつかんだ。
動きを奪われた待子。
先ほどまで、不機嫌だった母淑子も、すっかり笑顔になり、
「いいえぇ~お忙しいとこに、どうもすみません。
うちの娘がね、そうしても下宿したい…と、言うもんですからねぇ」
見事に裏声も駆使して、ヒョウ柄の藤吉さんの名刺を、しっかりと
握り締めた。
「わかりますぅ」
ヒョウ柄の藤吉さんも、負けてはいられない…
「親御さんも、ご心配ですよねぇ。
みなさん、同じようにおっしゃいます」
と言うと、サッと待子たちの前に回り込むと、
「もう、みなさん動いてらしてねぇ。
かなり決まっているんですよ」
巧に淑子の不安をあおるように、チラリ…と青く塗られた
マブタをトラックの方へ向けた。
(すごいなぁ~ヘビとマングースの対決みたい)
待子はしばし、傍観者に徹しよう、と考えていた。
にこやかにその女性が言うと、あらためて淑子たちに挨拶をした。
「私、滝川さんのご紹介でまいりました、Fステートの藤吉と申します」
そう言うと、薄手のスプリングコートから、名刺を取り出すと、
コートの間から、ヒョウ柄のTシャツがチラリと目に入った。
(?)
何気に待子の目に留まり、思わず目が点になった。
(ヤバイ!もしかしてまた、キャラの濃いオバサンが登場した?)
内心面白がりながらも、思わず後ずさりすると…
「こら!逃げないの!」
母は強し。
淑子は、後退しようとする待子のジャケットの裾を、ムンズとつかんだ。
動きを奪われた待子。
先ほどまで、不機嫌だった母淑子も、すっかり笑顔になり、
「いいえぇ~お忙しいとこに、どうもすみません。
うちの娘がね、そうしても下宿したい…と、言うもんですからねぇ」
見事に裏声も駆使して、ヒョウ柄の藤吉さんの名刺を、しっかりと
握り締めた。
「わかりますぅ」
ヒョウ柄の藤吉さんも、負けてはいられない…
「親御さんも、ご心配ですよねぇ。
みなさん、同じようにおっしゃいます」
と言うと、サッと待子たちの前に回り込むと、
「もう、みなさん動いてらしてねぇ。
かなり決まっているんですよ」
巧に淑子の不安をあおるように、チラリ…と青く塗られた
マブタをトラックの方へ向けた。
(すごいなぁ~ヘビとマングースの対決みたい)
待子はしばし、傍観者に徹しよう、と考えていた。
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