桜ハウスへいらっしゃい!

daisysacky

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第6章  魔女の館へようこそ!

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「どうもありがとう」
 それでもサッと自転車から降りると、さっさとチェーンを巻き付けて、
持って帰ってきた荷物を、当たり前のように手に取るひよりちゃんに、
頭の上がらない、待子だ。
 するとひよりちゃんは、クスリと笑って、
「これくらい、当然でしょ?
 何しろお昼をごちそうになったし」
 キッパリと言うので、なんだか待子は、居心地が悪い。
どうせおごるのなら、今流行りのパンケーキとか、
オムライスとか、もっとこじゃれたものにしてあげれば、よかったかなぁ
なんて、申し訳なく待子は思う。

それでも「よいせ」と門をくぐり、
「ほいしょ」と荷物を持って、今日買ってきたものを、2人で手分けして
えっちらおっちら持って行くと、
「電気屋さんと、よろず屋さんが来てたわよ」
玄関先で、大家さんが待ち構えていた。
「ありがとうございます」
 ようやく玄関先まで、荷物を運び込むと、
「あら、ずいぶん、大荷物ね」と、感心したように笑う。
「勝手に、部屋の中に運び込んでもらったけど…
 よかったかしら?」
淡々とごく当たり前のことのように、話す大家さんは…
一体、どのくらい待っていたのだろう…
そのことを思うと、頭が上がらない、そんな気がする待子だった。
「すっかり、何もかも…お願いしちゃって…」と言うと、
「いいの、それくらい」
頼もしい笑顔で、大家さんは得意気にそう言って
「でも大丈夫?」と聞いた。

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