桜ハウスへいらっしゃい!

daisysacky

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第7章   突然あらわれた謎の住人

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  一瞬、シンと周りが押し黙って、待子のことをうかがうように
見つめる。
そうは言っても、ここは待子の部屋なのだ。
今さら、何か言われては困る…と待子も黙りこくったまま、
みんなの視線に耐えていた。
 すると後ろの方から、
「あなたたち…人の部屋で、何やってるの?」と声がしてきた。
大家さんだ!
待子は救われたように、大家さんに視線を送る…
だが大家さんは、ニッコリ笑うと、
「あら、なぁに?懇親会?」
何を思ったのか…全くの見当違いのことを言うので…
この人、カンが鋭いのか、そうじゃないのか…
まったくわからないなぁ~とかなりガッカリとする。
それでも大家さんは、入り口をふさぐ人のすき間から、のっそりと
中に体をねじ込むと…
「大丈夫?」と待子に聞いた。

「ごぶさたしています」
待子が口を開く前に、その人がゆうゆうとした顔で、振り向くと
「あらあら、まぁまぁ~」
大家さんは、大げさなくらい、驚いた顔をする。
大げさにのけぞる大家さんに…
「その節は、ご迷惑をおかけしました」
きちんと両手を揃えて、頭を下げた。
(なんだ、きちんとした大人なんだ…)
待子は不思議な気持ちになる。
しょせん待子は、親のスネカジリになるのだから…
自分はまだまだ世間知らずの、お子ちゃまなのだ…と
妙に感じ入ったりする。

 まるで日本人形のようなその人は…
それでも堂々とした態度で、大家さんを見ると…
「もう、新しい人が、住んでいるんですね」
と…まるで責めるように言った。
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