桜ハウスへいらっしゃい!

daisysacky

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第8章  援軍来たる…

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「私…どうしたらいいの?」
 おびえるひよりちゃんを見て、さすがに待子は困り果てた。
すると、背中にはりついたまま、
「お姉さん…携帯、貸して」
くぐもった声で、しがみついたまま、待子に向かって言った。

 ただごとではない…
あきらかに、非常事態だ、とさすがの待子もそう思う。
窓の外の男と…ひよりちゃんの、おびえた姿を比べて見る。
「ね、大家さんとこに、ひとまず行った方が、いいんじゃない?」
そう言うと、背中に貼りついて、離れないひよりちゃんに
声をかけてみた。
するとひよりちゃんも…この提案に、黙ってうなづいた。
 それから、窓の外を、おそるおそる再び見ると…
作業着を来た男は、諦めきれない顔つきで、こちらの窓を
見上げる。
「あっ、動いた!」
 待子が思わず、声をもらすと、ワラワラと、2人の間で
固まっている。
それでもまだ…あきらめきれな様子で…
未練がましそうに、ヘラヘラとして、ひよりちゃんは、ゆっくりと
はい出して来た。
 作業着の男は、そろりそろりとのぞき込む…
「ホント?」と言うと、まだ表情が引きつっている。
 男はちらりちらりと、こちらをうかがうと、
まだ人目を気にしている様子だ。
「あっ、動いたぁ」
またも気になる様子で、コチラを見る。
その時ようやく…この人、どこかで見たぞ、と…思い出すのだった。



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