桜ハウスへいらっしゃい!

daisysacky

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第9章   ネクストミッション!

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  とても手順よく、無駄のない動きをするので、この人は何者なんだ、と
待子はサラさんのことを思う。
そんな機微に気付いたのか、チラリと待子の顏を見ると、
「ちょっと、しっかりしてよ!
 そんなんだと…ひよりちゃん達を、守り切れないわよ」とハッパをかける。
「あ、ごめんなさい」
 あわてて待子が頭を下げると
「この子はまだ、学生さんだから…そういうの、慣れてないのよ」
すかさず大家さんが、フォローしてくれた。
それにしても…この人たちにとっては、当たり前のことなのか、と
疑問だけが残った。


「欲張ったらダメよ!
 荷物は必要最小限でね!何があるか、わからないから」
相変わらず慣れた様子で、サラさんはダメ押しのように言う。
だけど大っぴらには出来ないので…とりあえず人目につかないように
コソコソと…
(なぜなら、他の住民は、何も知らないのだ)
かえって、怪しい人に見えるかもしれないのだが…
とにもかくにも、下宿屋の玄関へと回り込む。
もちろん、どこに男の監視の目があるか、わからないので
慎重に、ことを運ばないといけない。

「じゃ、私の知り合いに、車を頼んでおくわ」
待子たちの様子を見ると、大家さんは部屋を出て行った。
口が堅くて、信頼できる人…と言っていたけれど、大家さんとは
どういう関係なのだろう。
だが、あえて待子たちは、詮索はしない。
それよりも、大切なことがあるのだ。
とにかく安全に、首尾よく引っ越しを成功させないといけないのだ。
「とにかく荷物はそのままにして。
 誰にもわからないように、出来れば秘密裏にしましょ」とはサラさんの弁。
「誰が居場所を漏らすか、わからないから…話さない方が、
 漏れる心配はないから」
少しばかり、真剣な表情だ。
「あっ、学校は?」
思い出したように、突然待子は声を上げた。
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