桜ハウスへいらっしゃい!

daisysacky

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第13章  桜ハウスを守れ!

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「ちょっと!あの男をつかまえて!」
 叫ぶ声が聞えたかと思うと、いきなりドヤドヤと、背後から人が
押し寄せてくる音が聞こえる。
「なんだ、なんだ?」
 男があわてて振り返ると、いつの間に聞きつけたのか
(それともずっと、一部始終を見張っていたのか)
引っ込んでいた人たちが、再び駆けつけてきたのだ。

「いい?こうなったら、実力行使よ!」
その女たちの波の中に、マイコが混ざっているのが見える。
さらに男に飛び掛かるようにして、その腕をつかみ、
後ろ手にひねろうとする。
「うん、と言うまでは、帰しませんからね!」
その背中に馬乗りになる姿勢で、大きな声で中田さんがそう言うと、
「あなたには…私たちの家を奪う権利はありません」
今度はどこからか聞きつけて来たのか、ひよりちゃんのお母さんまで、
駆けつけて来ている。

「なんだ?一体、どういうことだ?」
男はサラさんの方を向いて、救いを求めるように彼女を見ると、
サラさんは、腕組みをしたまま、じぃっと前を見つめる。
「しかたがないわね」
そう言うと、そのままの姿勢で見守っている。
「ちょっと、おい!何してるんだ?
 早く助けてくれよぉ」
男がさらに声を張り上げると、
「ごめんなさいね!これも自業自得ね!
 自分のしたことを、よく考えて…
 どうしたらいいのか、よく考えた方がいいのかもしれないわね!」
そう言うと…ゆっくりと奥の方へと引っ込んで、声を張り上げた。


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