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第15章 いのち短し 恋せよ乙女?
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「へぇ~あのピアノ?」
「そう」
「まさか…プロのピアニストさん?」
「違ったと思うよ。
フリーで演奏しながら、別に働いているんじゃなかったっけ?」
よくよく考えると、待子は何も詳しいことは知らない、と気づく。
なぜなら、実のところ、そういうプライベートな話は、サラさんは
一切しないからだ。
本当はどんな人なんだろう、と待子は頭をかしげる。
「サラさんて…何だかミステリアスなんだよね…」
よく知っている、と思っていたつもりが、どこで何をしているのかも、
何も知らない、と気づく。
そういえば、大家さんの姪だっていうのも、初めは知らなかったのだ、
と思い出していた。
「佐伯さん…越して来たんだって?」
ふいに思い出したように、杏子が言う。
「あ、そうそう、条件付きで、と言ってた」
条件付き、というのも怪しいところなのだが。
「期間限定?」
杏子はおかしそうに笑った。
あれからなぜだか、とても楽しそうに、廊下を歩くのを見かける。
でも…こんなボロボロで、昭和感がするこの古ぼけた家に、
よく越して来るなぁ~と、待子は不思議に思う。
「ホント、変り者でしょ?」
そう言うと、
「あら、待子と変わらないじゃない」
のどかな声で、杏子は笑った。
「えっ、少なくとも私、お金がもしあったら…
もう少しマシなアパート借りて、住むわよ」
あの変り者の佐伯さんと、一緒にしないで…と、少しばかり、
心外だなぁ~と、待子は苦笑いを浮かべる。
「なんだかね、毎日、それはそれは楽しそうよ!
なんでもね~いい子でいるのに、疲れちゃったんですって」
ふと思い出して、待子は言う。
「えっ、なにそれ?」
杏子は思わず声を上げる。
「なんかね、家でおとなしくしているのが、イヤになったんだって!」
付け足すように言う待子に、
「へぇ~」とただただ珍しそうにする杏子だ。
もっとも自分たちには、そんな心配は、一切いらないなぁと、
思ってはいるけれど。
「佐伯さんって、どんな家に、住んでいるんだろう?」
がぜん好奇心を刺激される、待子だった。
「そう」
「まさか…プロのピアニストさん?」
「違ったと思うよ。
フリーで演奏しながら、別に働いているんじゃなかったっけ?」
よくよく考えると、待子は何も詳しいことは知らない、と気づく。
なぜなら、実のところ、そういうプライベートな話は、サラさんは
一切しないからだ。
本当はどんな人なんだろう、と待子は頭をかしげる。
「サラさんて…何だかミステリアスなんだよね…」
よく知っている、と思っていたつもりが、どこで何をしているのかも、
何も知らない、と気づく。
そういえば、大家さんの姪だっていうのも、初めは知らなかったのだ、
と思い出していた。
「佐伯さん…越して来たんだって?」
ふいに思い出したように、杏子が言う。
「あ、そうそう、条件付きで、と言ってた」
条件付き、というのも怪しいところなのだが。
「期間限定?」
杏子はおかしそうに笑った。
あれからなぜだか、とても楽しそうに、廊下を歩くのを見かける。
でも…こんなボロボロで、昭和感がするこの古ぼけた家に、
よく越して来るなぁ~と、待子は不思議に思う。
「ホント、変り者でしょ?」
そう言うと、
「あら、待子と変わらないじゃない」
のどかな声で、杏子は笑った。
「えっ、少なくとも私、お金がもしあったら…
もう少しマシなアパート借りて、住むわよ」
あの変り者の佐伯さんと、一緒にしないで…と、少しばかり、
心外だなぁ~と、待子は苦笑いを浮かべる。
「なんだかね、毎日、それはそれは楽しそうよ!
なんでもね~いい子でいるのに、疲れちゃったんですって」
ふと思い出して、待子は言う。
「えっ、なにそれ?」
杏子は思わず声を上げる。
「なんかね、家でおとなしくしているのが、イヤになったんだって!」
付け足すように言う待子に、
「へぇ~」とただただ珍しそうにする杏子だ。
もっとも自分たちには、そんな心配は、一切いらないなぁと、
思ってはいるけれど。
「佐伯さんって、どんな家に、住んでいるんだろう?」
がぜん好奇心を刺激される、待子だった。
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