桜ハウスへいらっしゃい!

daisysacky

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第 16章  転がる石のように…

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  1人取り残され、仕方がないなぁ~と待子は呆然とする。
そういえば…途中で別れたサラさんは、今どうしているのだろう、
と気にかかる。
 佐伯さんのストーカーをまくために、待子と2手に分かれたのだけれど、
それからどこへ行って、今どうしているのかは、
まだ連絡がないので、わからないのだ。
だけども待子は何となく…
おそらくサラさんは、佐伯さんの所なのではないか、と
そう思っていた。

(そろそろ帰って来たかなぁ)
すっかり静まり返った室内で、何となく気になっている。
 気が付くと、すうすうと寝息が聞こえる。
レイコさんは、壁に寄り掛かったまま、ずり落ちそうな姿勢で
身体をもたれかけている。
マイコは、畳の上で気持ちよさそうに、手足を思い切り投げだして、
いつの間にか本格的に、寝る態勢になっている。
少々の刺激では、2人とも起きてこなさそうだ…

(仕方ないなぁ)
 結局は自分1人かぁ~と思うと、すっかり目もさえて、
待子は体を起こすと、転がったグラスや、散らばったおつまみの空き袋を
拾い集める。
ポテトチップスのかけらが、こまかく砕かれて、たたみのすき間に
はさまっている。
このまま放置していたら、さらにひっくり返すのが、関の山だ…と、
せっせと拾い始めた。

 何かしていないと、自分まで睡魔に負けてしまいそうで…
本来の交代の見張りが、これでは誰も実行できなくなるので、
ここは自分が、と腹を決める。
 まずは押入れに手をかけると、上の段に入っていた、
タオルケットを2枚取り出して、壁によりかかるレイコさんと、
大の字になって、すやすや寝ているマイコにそぅっとかける。
自分は一体、何をしているんだろう…
待子は何だか、おかしくなってきた。

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