ちょっと待ってよ、シンデレラ

scene 5 それは、魔女の館？

１５

慌てて付け足すように言うエラに、
「ふうーん」と、シュウヘイは疑うようにエラを見ると
「とにかく、こんなところにいたら、変な奴に絡まれるといけないし、ここにも狼がいるしねぇ～」
ヘラッと笑って言うと・・・
「カスミが心配しているよ。
　早く家に帰ろう・・・」
いつの間にか、すっかり酔いがさめた顏をして、
シュウヘイはエラの背中を押しました。
　　

　家に帰ると、当然だけれど、カスミが待ちかまえて
いました。
責めるでもなく、怒るでもなく、
「無事でよかったぁ」
そうつぶやくカスミです。
「お腹、空いたでしょ？」
微笑みながら聞くので、エラは少しホッとしました。
「実はね、どうしようか・・・と迷っていたの」
相変わらずの口ぶりです。
おそらくシュウヘイのさっきの電話で、なにかしら
聞かされているのでしょう。

責めるでもなく、優しい瞳でエラのことを見つめます。
カスミなりに、エラのことを心配しているのでしょう。
「おかえりなさい」と言うのを聞くと、
エラはカスミのために、夕食を作ろうと思っていた
ことを思い出しました。
「ごめんなさい・・・すっかり遅くなって」
と言うと、
「いいのよ、別に。
こちらこそ、いつもいつも、ご飯を作らせていて、
　ごめんなさいね」
と、優しく言いました。