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scene 5 それは、魔女の館?

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「でも・・・仕事、見つけないといけないのに・・」
ためらいがちに言うエラに、カスミは年上の威厳でもって、
「焦らなくても、大丈夫!
 そのうち、したいことも見つかるわ」
と言います。
「でも・・・いつも、迷惑かけてるのに」
「そんなの、当たり前だよ」
カスミの言葉に、シュウヘイは大きくうなづいて、
エラの肩をポン、とたたくと、
「焦って、変なとこで働くより・・・
 まずはのんびりすれば、いいんじゃないの?
 もしかしたら・・・家に帰る手がかりが、見つかる
 かもしれないしさ・・・」
この人もやはり、エラが迷子で、記憶喪失になっている・・・と、思い込んでいるのです。
「でも、働かないで、たべさせてもらうのは・・・」
まだ、心に引っかかっているようです。
仕方なしに、声をかけると、ほかにも余計なひとことが、口からこぼれ出そうです。

 初めてタイムトンネルを抜けたところに、出くわした、というのに。
魔女に一目、会えたというのに・・・
ま、どんな人でも、こんな設定は、まねができません。
さして気に病んでもしょうがない・・・
運は天にまかせることにしました。
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