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Scene10 シンデレラを取り戻せ!

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  もうすぐ『シンデレラ』の初演の日が、近付いて来ました。
今回は今までのように、施設を訪問してやるものとは、明らかに
違います。
これは市の主催するイベントで…紙芝居や人形劇や朗読など、
子供向けの活動をするサークルが、発表する催しです。
いつもより、大きなイベントなので、礼美たちも、
初めての経験です。

 度胸だめしのタイトルです。
いつもより大きなイベントがないので、なんとなく覚えて居るのです。
エントリーも、何か月も前から依頼が来て、
「度胸試しに、やってみない?」と、メグミさんの知り合いから
誘われたものです。
投票制で、人気の高かったサークルは、活動資金として、
賞金も出る、という夢のようなイベントです。
もちろん、礼美たちのように、やってみたい、と思うのは、仕方のないこと。
だけども、日を追うごとに緊張してきて、自分たちは4人のサークル
なので、助っ人の人を呼んでも、6~7人。
こんな弱小ボランティアのグループで、
「こんな大きなところに、出てもいいのだろうか」
礼美は心配そうに言います。
「私たちには、バチガイなんじゃないの?」と。
それでも信子は、人一倍の自信を持って言います。

「メグミさんの作る人形は、日本1だし、礼美さんの台本は、
どこよりも完璧よ」
だけど、そんな大きな大会に出ると、どこかで噂を聞きつけた、
信子の父親が、また押しかけて来ないとも、限りません。
「一度、キチンと警察に相談しないとね」
大人たちは、信子の顔を見て、心を決めました。
















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